見出し画像

HOKA ONE ONEが生んだ革新的なスタイル−裾広がりのソールがもたらす新しいランニング体験

2009年に誕生し、アメリカ・カリフォルニア州のサンタバーバラに本拠を置く「HOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)」。スタートして間もなく、軽量かつ大ボリュームのミッドソールを搭載したシューズがトレイルランニングのシーンで注目を浴び、急成長を遂げた現在はロードを走るランナーたちからも熱い支持を受けている。また、その高いクッション性と個性的なデザインはファッションシーンからも注目され、今までに「OPENING CEREMONY(オープニングセレモニー)」や、「ENGINEERED GARMENTS(エンジニアド ガーメンツ)」などとのコラボレーションも実現している。そんなHOKA ONE ONEからこの夏に登場したCLIFTON EDGE(クリフトン エッジ)は、着用者に新しいランニング体験を提供してくれるユニークなシューズだ。

“裾広がり”のソールを搭載したニュータイプのシューズ

画像1

HOKA ONE ONEのCLIFTONは、数々の業界賞を受賞してきたブランドを代表する人気シリーズ。HOKA ONE ONEらしいクッション性に優れたボリュームのあるミッドソールが搭載され、スムーズな足運びをサポートするためにメタロッカーテクノロジーが採用されている。メタロッカーテクノロジーとは、つま先と踵の高低差、いわゆるドロップを小さくしながら(CLIFTON 7のドロップは5mm)、つま先と踵部分を滑らかに削ぎ落としたゆりかごのような独特のソール形状のこと。車輪のようなローリング運動を導くことで、自然な体重移動を実現する。つまり、ランナーはシューズに足を任せるように走るだけで、小さなエネルギーで効率よく前に進むことができる。

従来の、特にビギナー向けのランニングシューズは、ドロップが10mm以上のものが多く、踵で着地した後に、足首を底屈させ、つま先で地面を蹴るような動きを促すものが多かった。メタロッカーテクノロジーを採用したシューズは、この足首の底屈と背屈の繰り返しによるエネルギー消費を抑制できるのだ。

今シーズンのニューモデルであるCLIFTON EDGEは、CLIFTONシリーズを進化させたもので、従来のロードモデルとは一線を画すものとなっている。

これまでに培ったHOKA ONE ONEのフットウェアイノベーションの集大成として、あらゆるレベルのランナーの可能性を引き出せるように設計されたという、CLIFTON EDGE。最大の特徴は、やはりそのユニークなソール形状だろう。フレアアウトソールと名付けられているもので、踵周辺のソールが裾広がり型になっており、接地面積が大きく広げられている。真横、または真上から見ると、踵よりも後ろにソールが大きくせり出しているルックスは、従来のランニングシューズには見られないものなので、インパクトが大きい。

踵部分の面積を広がったことで、着地衝撃が和らぐと同時に、より安定した着地も可能になるCLIFTON EDGEは、長距離を走っている際、フォームがぶれにくく快適に走れるという。実際にCLIFTON EDGEを着用して走ってみると、すぐに踵部分のクッション性の高さと、接地面積の広さによる安定性を感じることができる。特に踵で着地するタイプのランナーは、大きな恩恵を受けられるはず。シューズに足を任せていると、自然とつま先へと体重移動ができる感覚もあり、快適に楽しく走ることができた。

自分の踵の後方にソールがせり出しているシューズ自体が新しいものなので、違和感があるのではと思う人もいるかもしれないが、走り始めこそ不思議な感覚があるものの、慣れれば高いクッション性と安定性が両立されていることによる快適さが強く感じられた。

フレアソールの原点はトレイルランニング用モデル

画像2

CLIFTON EDGEはロードモデルとして初めてフレアアウトソールを搭載したシューズだが、初めてこの斬新なスタイルのソールが採用されたのは、トレイルランニングギアのTENNINE(テンナイン)だ。

今年3月、数量限定でリリースされたTENNINEのコンセプトは、飛ぶように山を駆け下りる体験を提供するトレイルランニングギア。ランニングによって受ける体への衝撃やストレスを調査し、同じ接地時間でどのように体への負荷を減らすかを研究・テストした結果たどり着いたのが、このユニークなソール形状なのだ。

奇抜なスタイルに目を奪われるが、山を下るシーンで踵着地を意識すると、着地のソフトさ、安定性の高さによる安心感に驚くはず。

TENNINEは、ダウンヒルを快適に走ることを目的に開発されたモデル。HOKA ONE ONEは、スキーブーツやサイクリングシューズと同じように、トレイルランニング専用の“ギア”として設計している。トレイルランニングのシーン、特に山を下る場面では圧倒的なパフォーマンスを発揮するものの、それ以外の用途には適していない。HOKA ONE ONEの公式ホームページ上にも、階段の上り下りや自動車の運転で使用しないように注意書きがあるほど。それほど大胆なアプローチであるため、従来のシューズとは全く違うものが誕生したのだろう。

過去に縛られない自由な発想、オリジナリティの重視

画像3

近年、トップランナー向けのロード用モデルも、クッション性を重視してボリュームのあるミッドソールを搭載するのが主流となっている。アドベンンチャーレースや100マイルレースのような過酷な競技で、フィニッシュまで競技者を保護するシューズを作ることが出発点だったHOKA ONE ONEのシューズは、一貫して軽量かつボリュームのあるミッドソールを採用。それはトレイルモデルだけでなく、ロードモデルも同様だ。つまり、現在の流れを作ったブランドだとも言える。

また、長時間のランニングや、過酷なレースの後に足を休ませる目的で、クッション性に優れたリカバリーサンダルを開発。これもヒットモデルとなり、リカバリー目的のサンダルというカテゴリーのブームも牽引した。

CLIFTON EDGE、TENNINEに採用されたフレアアウトソールもまた、1つの新しいカテゴリーとして定着し、他社のシューズ作りに影響を与えることになるかもしれない。

ランニングを中心に、ウォーキング、フィットネス、アウトドアなどのフィールドにおけるユーザーの問題を解決することに重きを置き、従来の常識にとらわれず、時に大胆なアプローチでシューズ開発をするHOKA ONE ONE。これからもそのユニークなシューズ作りに注目したい。

TEXT by FUMIHITO KOUZU

<関連おすすめ記事>

ーーー

ZOZO FashionTechNewsのTwitterができました。【Twitter

ZOZOテクノロジーズでは、ファッションとテクノロジーに関する事業・研究を行っております。【ZOZOテクノロジーズ】【ZOZO研究所