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彼らは点線、あいまいな境界線【埴輪紹介所その100】

記念すべき100番の埴輪は、やはり円筒埴輪。

ただし

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透孔(すかしあな)がない。

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紋様はある。実線と点線。綾杉紋?

上端ちかくに突帯(とったい)が1条? と思ったが

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口縁は

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二重口縁。

ということは口縁の一次口縁の外側が突き出ているだけ。突帯はない。

内側に点線と丸の紋様。

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内側に紋様があることは珍しい。

ほかではちょっと見ない円筒埴輪。透孔も突帯もない、内側に紋様がある円筒埴輪。

そもそもこれは円筒埴輪なのか? ひょっとして器台なのか?

見分けるポイントの脚部は修復が多くてあいまい。
円筒埴輪にせよ器台にせよ、透孔も突帯もないのは珍しい。
緩やかな二重口縁は埴輪時代っぽいデザイン。
器台と円筒埴輪の境界線に立つ埴輪。

埴輪はそもそも境界線を示す。いま生きている人たちと、星になった人たちとの境界に立つ。
そして埴輪による境界線は必然的に実線ではなく、点線となる。
埴輪は、境界というものはあいまいであることを教えてくれる。

あいまいさを受け入れて、これは円筒埴輪ということにしよう。

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並んで線を作る埴輪は数の多さも重要。
展示室でも、たくさん並んでいてほしい。

島根県安来市の造山1号墳出土の円筒埴輪。高さ72cm。
所蔵は東京国立博物館。

撮影は2017、2018年、2020年、東京国立博物館にて。

またね。


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