マガジンのカバー画像

埴輪紹介所

183
はにこが出会った埴輪たち。埴輪との出会いの衝撃をあなたにも。これはと思う埴輪がいたら、会いに行ってみて。埴輪のいる人生が始まります。
運営しているクリエイター

2021年3月の記事一覧

照れ笑いの待ち合わせ【埴輪紹介所その180】

待ち合わせた友達みたい。 「久しぶりー」なんて。 会えてほっとしている。照れ笑いが隠れている。 円筒埴輪に表情を見てしまうのは私だけではないはず。 奈良県大和高田市の築山(つきやま)古墳(磐園(いわぞの)陵墓参考地)出土の鰭つき円筒埴輪。高さ110.0㎝、鰭を含めた最大横幅51.5㎝。 所蔵は宮内庁。 撮影は『発掘された日本列島2013』での宮内庁共催展示『陵墓の埴輪』にて。 またね。

追いかけっこ【埴輪紹介所その179】

円筒の側面で追われるは 猿の親子。 親はともかく、子は単独で見たら猿かどうかわからない。 親の前脚が円筒に付いていたことを示している。 追うは犬。のんきな顔に見える。 円筒はだいぶ復元で、犬がくっついていた部分は出土しなかったらしい。 犬の尻の方に、突帯にくっついていた跡があるとのこと。 位置の復元は、犬の表情で決めたらしい。 反対側から見ると ただの円筒埴輪? わからない。どこかに埋もれた別の像があるのかも。 小さめの四角い透孔。 そんな円筒の側面でバタ

パニエなカサ【埴輪紹介所その178】

スカートみたい。 パニエをつけてふくらませたスカート。二段切り替え。 しかし実はカサです。キヌガサ形埴輪です。 キュッと締まったウエストに見える円筒部に、差し込まれるはずの部分があるはずなのです。しかしその部分「立ち飾り」は出土していない。残念。 カサ本体より立ち飾りが目立つ埴輪。 立ち飾りがないと、広がったスカートになってしまう埴輪。 大阪府羽曳野市・藤井寺市の古市古墳群の誉田御廟山古墳(こんだごびょうやまこふん。別名、恵我藻伏崗陵(えがのもふしのおかのみささぎ))

大きすぎるあかべよろい【埴輪紹介所その177】

この埴輪の最大の特徴 大型の頸甲(あかべよろい)。 顎を隠すほど大きい。 大きすぎて、首を動かしにくそうだ。冑とぶつかりそうだし。 首と顎を守るにはいいかも。 作るときに、甲から下と頭部とを分けて作り、合体させたと見た。 両手で、頭椎(かぶつち)の大刀をしっかり握る。 三角錐のとんがり鼻、肩甲(かたよろい)、両手で大刀を握るなど、生出塚(おいねづか)埴輪窯跡出土の男子埴輪とよく似ている。 頸甲は彼だけ。 熊谷市の大境南6号墳出土の男子埴輪。高さ約130cm。 所

ぐるぐる武装【埴輪紹介所その176】

衝角付冑(しょうかくつきかぶと)のとんがり。 それに合わせたような三角錐のとんがり鼻。 肩甲(かたよろい)をつけている。 肩甲から籠手(こて)まで、ぐるぐると紐を巻く。 珍しい。おもしろい。だが武装の効果はあるのか? 甲の押さえにはなるか。 太ももが半球・ひざ下が異様に長い・靴が平べったい、は、二本脚で立つ埴輪の基本。 両手で大刀をしっかり握る。 いま抜刀しようというところなのか、さやに収めたところなのか。 腕は細く長い。指は細く直線的。 頭椎(かぶつち)の大

何かを見ようとしている【埴輪紹介所その175】

仁王立ちして 腰に手を当て 目を細めて 何かを見ようとしている。 遠くを? 近くを? 作られたのが埴輪時代の6世紀頃でも、埴輪が見ているのは、いつでも今。 今も、いつも、埴輪の時代。 何か言いたげ【埴輪紹介所その174】な彼と作りは大体同じ。 右端が【埴輪紹介所その174】、右から3つ目が【埴輪紹介所その175】 だが、顔、表情が違う。 同じ埴輪は2つない。同じ埴輪は作れない。 生出塚埴輪窯跡出土の男子埴輪。高さ135.4㎝。 所蔵は鴻巣市教育委員会、保管・

何か言いたげ【埴輪紹介所その174】

二本足の人物埴輪は大型。 右端の彼をご紹介。 袴は赤と地色の市松もよう。 振り分け髪に下げミズラ。ミズラはトンカチ型で赤の縞もよう。 保管・展示は「クレアこうのす」ですが、企画展への出張たびたび。 そのため何度か会っていますが、彼はいつも何か言いたげ。 生出塚埴輪窯跡出土の男子埴輪。高さ131㎝。 所蔵は鴻巣市教育委員会、保管・展示は「クレアこうのす」。 彼が表紙を飾る参考文献あり。 高田大輔(2010)『東日本最大級の埴輪工房・生出塚埴輪窯』(シリーズ「遺跡を学