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「逃げるは恥だが役に立つ」を考える~(2)いじめられたメダカは逃げることで生きる

引き続きごめんなさい、あのドラマ・漫画の話ではありません。そうではなく、様々な困難から「逃げる」ことについて、「それもいいんじゃない?」とススメるものであります。

最近、メダカと同居を始めました。人にいただきまして。
夫が付けた名前は、メダ吉、メダ兵衛、メダスラ、メダックス、メダ太郎。呼ぶたびにちょっとずつ呼び方が変わります。適当。
かわいいし、見ていて癒されますよ。今のところ、観葉植物を育てるようなイメージで、簡単に飼うことができています。

さて、メダカの「逃げる」ことについて。
あるとき水槽を覗くと、いじめが起きていました。ひと回り体の大きなメダカが、小さなメダカを追い回している。メダカは、遊びで追いかけっこもすれば、求愛行動として追いかけることもあるそうですが、そんな様子でもない。
理由を調べると、メダカの数に対して水槽が狭すぎることが原因のよう。縄張りをもつ生き物なので、狭すぎるとストレスで他の個体をいじめることがあるとか。
というわけで、大きい水槽に移しました。すると、執拗に追い回す場面を見ることは(とりあえず現在は)なくなりました。追いかけっこはしていますが、追いかけられた個体は、逃げたり、隠れたりしてやり過ごしている。
メダカにとって、「逃げる」ことは、生きるうえで当然の選択肢なんですね。そのうえで各メダカは自分に合った住処を探している。(住処を見つけられないと、自然界では淘汰されてしまうわけですが。)

メダカ関連でもうひとつ。
メダカは、ほかの観賞魚と同様に、引っ越しの際に「水合わせ」をする必要があります。「水合わせ」とは、新しい水槽の温度や水質に徐々に魚をならせていくこと。人間も、急に激しい寒暖差に襲われると、体調を崩すことがありますよね。季節の変わり目の風邪や、高山病などがいい例かもしれない。
魚にとって、水は空気のようなものなので、急な変化は体に大きな影響があって、水合わせをしてから新しい水槽に移さないと、死んでしまうこともあるそうです。ちなみに当然、新しい水槽がそもそも住めない温度や水質であれば、これも生きてはいけません。

メダカを観察していると、なんだかメダカに起こっていることは、人間と同じだよなぁ、という気がしてきます。
同じ水槽の個体に、能力差があること。狭すぎればストレスがたまること。合う・合わない環境があること。急に環境が変われば調子を崩すこと。


でも人間の場合、「だったら逃げて、違う環境を探せばいい」という選択肢は、あまり考えないですよね。色々と考えて、現状に耐えてしまおうとする。
他人と自分を比べては悩み、満員電車を無になってやり過ごし、意に沿わない業務をすることになっても「仕事とはこういうものだ」と言い聞かせてがんばり、転職や異動のストレスも、「いずれ慣れてくる」と言い聞かせ、踏ん張って、生きている。
守るものや、夢、プライド。そういうものがあるから。

ただ、人間も生物である以上、生きる仕組みはメダカと同じなんですよね。だから、その枠を超えた生き方をすることはできないし、続けようとすれば、無理が来る。なので、ときには生物としての本能を尊重して、その判断に従う生き方を大切にしてもいいのではないでしょうか。

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