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「見える光合成」と、水槽内のエゴイスティックな生態系のこと #エッセイ

水草を飼っています。
メダカの水槽で、水草を育てている、ともいいます。
この水草が、なかなか面白い。いろいろ考えさせてくれる。

まず面白いのが、光合成をしているのが見えるということ。
カバー画像は、アナカリス、という藻の一種なのですが、葉についた細かい泡が見えるでしょうか。
晴れて気温の高い日には、水槽の中に酸素ボンベでもある!?というくらいに、ずっとブクブクと細かい泡を吐き出しています。

また、別の水草、椿の葉に似たアヌビアス・ナナを見るとわかるのが、気泡がたくさんついているのは、葉裏であるということ。
「葉は、表側に葉緑素が多く、裏側に気孔が多い。葉裏の気孔を通じて、酸素や二酸化炭素が出入りしている」と、なんだか、むかし理科で習ったようなことを思い出します。

光合成とは、小学校の理科的にいうと、“植物が二酸化炭素と水を材料にして、光を使って炭水化物を作り出す過程”のこと。植物は、炭水化物を作ることによって生長し、また、光合成の副産物として作られた酸素を吐き出しています。

6CO2 + 12H2O   → C6H12O6 + 6H2O + 6O2
二酸化炭素 + 水→ 炭水化物 + 水 + 酸素    懐かしの化学反応式!

メダカが出す二酸化炭素と水槽の水を材料にして、日光のもとで水槽の水草たちは光合成をしているわけです。
なんだか、ぶくぶく上がる気泡や、水草をつつくメダカを見ていると、「あぁ、ここに小さな生態系があるんだ」と、少し壮大な気分になります。

けれども、一方で、水槽内にあるのは、あくまでも人工的な生態系です。
私の家の水槽では、メダカに天敵はいないし、エサは与えられているし、水は定期的に入れ替えられているし、掃除によって不要なものは除去されています。それは、メダカや水草が生きるための環境づくりのためでもあれば、「見やすくてきれいな水槽にしたい」という、飼い主のエゴによる環境づくりでもある。
人工的に調整された環境の中で、めだかと水草は生きていて、その調整がなくなれば、きっと生きていくのが難しい。

それでも、飼ってるんですよねぇ。そして、それは癒しになるし、生き物への興味関心や意識を高めるという意義もある。
イヌやネコなど、すべての生き物を飼ううえで共通する矛盾ではありますが、なんというか、水槽の場合には、水中の環境を作る手間が多い分、矛盾を感じやすいような気がします。
と、ごちゃごちゃと思いながらも、今日もメダカと水草を見て楽しんでいます。人間って、矛盾に満ちた生き物です。

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