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私たちは、安室ちゃんを見てかっこいい女の子になりたいと思った。 #エッセイ

NHKのインタビュー番組『安室奈美恵 告白』を見ました。
こみあげてくるものがあったので、書き留めておきたいと思います。

90年代のあのとき、安室ちゃんは、本当にかっこいい女の子だった。

大ファンというわけではなかったけれど、あのときの彼女の歌は、ほとんど歌えると思う。
学校行事で、彼女の曲のダンスを踊ったりもした。
それくらいに、時代は彼女に熱狂していたし、多感な年代の女の子に与えた影響は大きかった。

安室ちゃんの後にも、かっこいい女の子が続いた。SPEED、MAX、浜崎あゆみ。宇多田ヒカルにいたっては、16歳にしてソングライターでもあった。
彼女たちはそれぞれカワイイ人でもあったし、セクシーであったり、ファッションであったり、歌がとても上手かったり、いろいろな個性や特徴があった。けれども、歌い、踊り、作詞し、作曲し、それぞれに、とてもかっこよかった。
年下のわたしから見て、とても自立して見えていた。

だから、わたしたちはかっこいい女の子にあこがれた。

いま、歯をくいしばって、色々なことに耐えて、がんばってしまうのも仕方ないのだ。わたしたちは、カワイイ女の子に憧れて育ったわけじゃないのだから。
かっこよく、自立して生きている姿に、憧れ、そうなりたいと思っていた。
そう思っている女の子たちの時代を象徴する存在が、安室ちゃんだった。

けれども、自分が30歳を過ぎた今、あのころや、その後の彼女を見ると、少し違った感慨も沸いてくる。
番組のインタビューを通じて、大スターであると同時に、ひとりの人間として、様々な葛藤の中で生きていたことが、伝わってきた。

「どうして売れないんだろう」と悩み、売れると「嬉しい」と純粋に喜んでいた10代。
小室哲哉プロデュースでトップスターになったけれど、「プレッシャーも感じていた」と語ること。20歳での結婚、出産、復帰と、番組では語られなかった悲しい事件。

23歳で小室哲哉の手を離れ、自分でプロデュースするようになってから、売上の落ち込みもあり、道を模索したこと。引退も考えたということ。
模索した結果、29歳で、主な活動の場をコンサートにすることを選んだこと。そのことで、自分を確立し、現在に通じていること。
そして、コンサートに集中してから、ますますきれいに、かっこよくなっていく、30代。
さまざまな場面で、息子さんに支えられてきたということ。

安室ちゃんは、本当に可愛くて美しい大スターだけれど、ひたすらに歌と踊りが大好きな女の子でもあり、普通の女性でもある。
華奢なからだに背負ったものや葛藤を、なんとなしに、理解できた気になった。自分がいくつかの彼女の年齢を経験したせいもあるのかもしれない。

安室ちゃんが葛藤し、選んできたことは、かっこいい。引退を決断したことだって、かっこいい。

たくさんの、かっこいい姿をありがとう。

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