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アイスクリームはプールで。

アイスクリームを頬張る君はプールから見えるひまわりの群れよりも誇らしげで輝いていた。
燦々と太陽が照りつける中、君とプールに行ったあの日。何かはわからないけれど私たちの中で確実に変わってしまっていた。
私の頼んだストロベリー味のアイスクリームはいつのまにか甘ったるいシロップに変わっていて、君の口にはチョコミントのアイスクリームが付いていて愛おしかったのを覚えていて、今でも目を閉じると目に浮かぶ。
その夏の最高気温を記録していたあの日。
こんなに暑かったらプールも干上がっちゃうね、なんてケラケラと笑い合ったあの日。
朝から暑い中、市営プール行きのバスを待ちながら駄弁ったあの日。
なけなしの小遣いで初めて君にアイスクリームを奢ったあの日。
過ぎ去ってゆく一瞬一瞬が尊かったあの日。
それがもう戻らないことを知って泣く。
君とはもう二度と行くことはないけれど、来世にプールがあるなら今度は何度だって連れていくし、そこにアイスクリームが売られていたら呆れるほど食べよう。

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