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【1Q決算】ライフドリンクカンパニー(2585)- 見た目は悪いが、中身はそれほど悪くない。

ライフドリンクカンパニー(2585)が、今期1Qの決算を発表しました。

とても好きな会社さんですので、1Qの決算について少し書いてみたいと思います。

ポイントは、
① 2桁の減益と厳しい決算でしたが、内容は見た目ほど悪くない。

② むしろ、気になるのは同時に発表した「1株 → 4株」の株式分割。

③ 現在のPERは21.4倍なので「適正」水準。但し、同社の今後の成長率が鈍化するとPERも縮小するので、注意が必要。

④ まとめとしては、新たに投資する対象としては「ちょっと割高」。既に保有していて、含み益がある場合には、一部を売却して利益確定をした上で、残りの株式を保有する、といった作戦が良さそう。

こんな感じです。


1.1Qの決算は「増収・減益」

1Qの決算は、「売上げは拡大したが、利益は減少した」という内容でした。その決算を受けて、株価はかなりネガティブに反応しました。

決算内容は、具体的に以下です。

同社の決算短信から抜粋

売上げは+13.4%の113億円。営業利益は▲11.5%の12.4億円。当期利益は▲10.2%の8.5億円でした。

利益が2桁の減益となり、投資家にはかなりネガティブな印象となったようです。8/14の株価は前日比▲460円(▲6.8%)の6,310円と大きく下げて終わりました。

ちなみに、通期の会社予想は据え置かれています。

同社の決算短信から抜粋

2.見た目の数字ほど悪くないのでは?

「2桁の減益」なので、見た目はかなり悪いのですが、実際の内容はそれほど悪くないように思います。

抜粋したPLを下記します - 上段がPL(前期1Qと今期1Q)です。下段が「各項目の売上げに対する比率」です。

同社の決算短信(2025年3月期 1Q)より数字を抜粋
同社の決算短信(2025年3月期 1Q)より数字を抜粋

まず、①の部分ですが、「粗利」は増加し、「粗利率」も(わずかですが)拡大しています。ビジネスとしては、引き続きしっかり儲かる構造を維持しています。

そして、②ですが、販売管理費が大きく拡大したことで、営業利益を削っています。販売管理費が拡大した要因は、(1)御殿場の新工場の稼働にあわせて人材採用の費用や人件費の増加が先行したこと。(2)大分県日田市の炭酸水の製造工場をM&Aした費用の2点です。

前者は新工場の稼働率が上がってくれば吸収できる費用。後者は一過性の費用です - もちろん、M&Aした工場を軌道に乗せることで回収するべき費用です。

一応、同社の会社説明会資料の該当ページを貼っておきます。

同社の決算説明会資料より抜粋

前期1Qの営業利益が1,406百万円で、今期1Qの営業利益が1,244百万円。162億円の減益です。

一方、「赤字の数字」の右から2つが直接的な減益要因で、▲100百万円と▲164百万円。あわせて、▲264百万円。これが、減益の要因です。

減益なので良いことではないですが、前向きな費用であり、近い将来「利益を生み出す源泉」になる費用ですので、そんなに悪い減益のようには思えません。

3.むしろ、ちょっと気になる株式分割

今回、同社は「1株 → 4株」の株式分割を発表しています。こちらの方が、ちょっと気になる施策です - 株式分割の基準日は今年の9/30。

この株式分割により、同社の株式への最低投資金額は現状(8/14終値)の631,000円から158,000円ほどに下がります。より多くの個人投資家の方々が参戦していただける環境になるので、(普通なら)株価にはプラス材料です。

しかし、最低投資金額を10万円台まで小さくする必要があったのかな・・・と、やや違和感があります。率直に表現すると、(利益成長が鈍化しそうなので)株価を押し上げる方法として株式分割に頼ったのかな・・・という印象を受けました(あくまでも、私の勝手な憶測ですので、まったくの的外れかもしれません)。

4.現在のPERは21.4倍

それから、バリュエーションですが、8/14の終値(6,310円)ベースでPER21.4倍です。バリュエーションとしては「適正」だろうと思います。

気をつけたいところは、仮に、同社の成長力が鈍化した時に、PERが縮小する可能性がある点です。PERが縮小すると、株価は下がりますので、損失が出る場合もあります(当然ですが・・・)。

同社の過去3年間の当期利益の成長率は31.0%です。今期の成長率は、会社予想だと22.0%になります。

今後2~3年のスパンで、当期利益が20%程度成長するとした場合、適正なPERは21~23倍くらいになりますので、現状の同社のPERは「ちょうどその水準」になります。

しかし、同社のビジネスは「水、炭酸水、お茶」のベーシックな3種類に絞って、コスト優位性でシェアを奪う戦い方です。

日本におけるミネラルウォーターの市場は約3,000億円、緑茶の市場は4,500億円ですので、同社が売上げを拡大する余地はまだまだ残されているとは思います - 同社の前期の売上げは382億円、今期の売上げ予想は440億円。

が、2~3年くらいのスパンだと「(シェアが高まるにつれて)市場を奪う費用が高くなる」という注意点があります。すると、売上げの成長率が鈍化したり、売上げの成長率に比べて利益の成長率が低くなったりするようになります。

その時に、投資家さん達からの期待値や評価が下がり、PERが縮小してしまうというリスクが少し心配です。

5.まとめ

同社は、今後2~3年というスパンで、当期利益を「年率20%程度」成長させる地力はあるのではないかと思っています。

御殿場の新工場の稼働や大分県の炭酸水工場の買収など、生産キャパをしっかり拡大していることや、それにあわせて販売先を着実に確保している点など、経営の計画性や堅実性を感じます - これまでの堅実な業績推移を見ると、そのように判断できそうです。

ですので、「同社の株式を既に保有しており、大きな含み益がある」場合には、一部(~半分くらい)を売却して利益を確定し、残った株式は引き続き保有という選択肢も「アリ」だと思います。

一方、「これから投資する」という場合には、同社の株価は「ちょっと割高」に感じます。

正確に言うと、現状のPERは適正だと思いますが、年率20%くらいで成長する企業であれば、もっと「割安」に買える銘柄はあると思いますので、そうした銘柄を探す方が(私、個人の感覚だと)期待値が高くなるように思います - 利益の成長とPERの拡大という2つを狙える銘柄の方が、期待値が高いのでは、と。

こんなところです。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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