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バイオネストを作る

昨日シナノキを剪定した
シナノキは古くは樹皮から繊維を取り科布を織って利用したそうだ
また和紙の原料にもなった
大量の剪定枝が出たので以前から頼まれていた腐葉土置き場を作った
バイオネストと言う
bio nestと書き木の枝や刈り取った植物残渣を鳥の巣のように丸く囲って堆肥置き場にしたところからそう呼ばれるようになった
トラックに積んで外に持ち出して処分するよりもその場で堆肥化した方が手間もお金もかからない

職場である庭園の入り口の林内にそっと自然に溶け込んだように作るのが私の狙いだ
訪れるお客様に秋の園内で集めた落ち葉を腐葉土にして再びそこに戻す過程を目で見て理解してもらう
近頃の言葉でサスティナブルとかSDGsとか言うらしいが要するにリサイクルである
近年の企業はこういう事を積極的に取り入れて持続可能な社会を創り出すのに貢献していますよと世間にアピールする事がトレンドだ
もちろん私に異存はない
大賛成である
それが掛け声だけで終わらない事を祈るのみ
それよりも何よりも私は作ることは大好きだ
楽しい
庭師は全体に器用な人が多い
というか機転を効かせてその場で何でもやる事がしばしば要求される
支柱にする太い目の枝を1メートルの長さに切る
先端を地面に刺しやすいようにナタで尖らせる
掛矢で一本一本30cm間隔で打ち込む

そして細い枝を一本ずつ編み込むように支柱に絡めていく
だんだんと形になってくる

ときどきスタッフが通りがかり立ち止まって見ていく
素敵!などと言われるとこちらは得意になってしまう
自然の素材を使い手仕事で作り上げていく
時間を忘れて夢中になった
朝から始めて昼頃には完成した
ナタ一本でざっくりと仕上げるのが普通だろうけどある程度しっかりとしたものを作った
庭師は見た目も気にするのが習性だ
こうやって単純なものでも人の手によって作り上げたものは接したときに心がホッとする
それは曲がっていたり不揃いだったりする緩さがそう感じさせるのだろうか
人間だってそうかもしれない
誰もいない庭園であっても手仕事によって織り込まれたものがポツンと存在するとさっきまでそこに誰かがいたような気がする

#バイオネスト #サスティナブル #手仕事  
#自然 #癒し #エッセイ

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