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帰る場所のない旅人
早朝チャンパサックの村を後にしてボートに乗って対岸に渡った
距離にして400から500メートル位の川幅だろうか 大河ゆえにちょっと距離感がつかめない
客は私ともう一人
そんなに大きくもないザックを背負い大きめのトートバッグを右手に提げて重そうな身体を揺らし彼女は乗り込んできた
その動作だけで息を切らし顔から汗を流していた
岸を離れると小さなボートのエンジン音だけがあたりに響きわたる
メコンの水は静かに流れる
挨拶を交わして話を聞くと6年間ミャンマーで英語を教えていたそうだ
それが軍事クーデターによる政変と混乱で失職しこうして旅を続けているようだ
『ロンドンにある私のフラットは人に貸しているから帰るところがないのよ』
と少し自嘲気味に話してくれた
岸に到着しボートから降りて土埃の道を少し歩くと通りに出た
バスはどうやらここに来るらしい
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角に食堂が一軒
中に入って荷物を下ろした
美味くもないコーヒーを飲んでただぼんやりといつ来るかも知らないバスを二人で待った
#エッセイ #旅行記 #ラオス #チャンパサック #メコン川
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