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#番外編「抗がん剤副作用で、髪の毛が抜ける件」について

ルミナールAタイプ、ステージ3-cの乳がん。
右胸全摘手術を終え、現在、抗がん剤治療している、みそソムリエakikoです。

7月から、FMラジオおおだてにてnoteと同じタイトルの番組を担当することになりました。
ラジオでは、皆様からの様々なメッセージをご紹介しながら、
がん患者さんやそのご家族のかたなどの当事者の声もお届けしていきたいと思っています。

がんの本音、たくさんの方と一緒に学んでいく時間に出来たらと思います。

放送は、令和5年7月から。
第1・第3 木曜日 午前11時30分~正午
FMプラプラというアプリで、全国どこからでもお聴きいただけます。

番組の収益の一部は、大館市におけるがん治療のための関係機関に寄付させて頂きます。

現在、企業スポンサーと共に個人の方からの寄付も募っております
もしお心を寄せて下さる方がおられましたら、ご連絡いただけますとありがたいです。

814@odate-fm.com



◆髪が抜けるという副作用◆


前回の#7抗がん剤の副作用についてのまとめにも記した通り、
見た目に現れる副作用が「脱毛」です。

実は髪の毛だけではなく、身体を様々な役割で守っているあらゆる「毛」が抜けます。(前回も書きましたが、実際は「抜ける」のではなく「切れる」状態なのだそうです。)


髪の毛の他、どんな毛がどのくらい減量するのかは、個人差が大きいと言われていますが、

私の場合、(2回目抗がん剤投与後現在)①髪の毛、②まつ毛、③アンダー、それぞれ8割~9割くらい抜けました。

この「毛」の問題につては、抗がん剤治療が終わるとまた生えてくるということですので、一時的なものです。
(とは言え、抗がん剤治療は半年~1年続くわけなので、かなり苦痛と感じる方も多いと思います。)



では、ここから私の髪の毛に対するお話に。
まずはその①から。

見た目というのは自分のことであると同時に、第三者の方への気遣い(配慮、思いやり)でもあるんだな~と改めて気づかされています。という件について。

実は私、丸坊主の野球部員や父親が、夏の暑い日に水道の水を頭からかける姿に小学生の頃から異常に憧れておりまして。(^_^;)

「一生に一度でいいから、水道の水を丸坊主の頭で浴びたい~!」そんなことを大人になっても声を大にして口にするほどだったのです。

つまり、抗がん剤の副作用である髪の毛が抜ける件については、(事態は望まない乳がんではあったものの)私の小学生の頃からの願いが叶ったことになるのです。口にしていれば願いは叶う。引き寄せの法則です。笑

人生の中で経験をしたことがない「丸坊主」に、実は今、毎日お得感いっぱいのウキウキした気持ちで過ごしています。

特に最近は、6月だというのにここ大館市でも30度近い気温になる日や湿度の高い日があり、水でサッと顔を洗うような感覚で頭に水を浴びれることが感動でしかないのです!

タオルでパッとふいて終わり。実に素敵なリフレッシュタイムです♡

先日も、最高気温28℃という蒸し暑い日に家族で汗だくになりながらお家焼肉なんぞしておりました際、タオル一枚でパッと完結する私だけが、我が家の男子3人を差し置いて「頭の水洗い」でサッパリ~♪

我が家の男子たち、若干呆れておりましたが(^_^;)

で、話しを戻しますと・・・
そんなわけで「丸坊主は私の憧れ」だったものですから、できれば私としては今しかないこの姿を帽子やウィックで覆ってしまわず、現状で外出したいのです。ですが、それはそれで、第三者に色々気を遣わせてしまうわけで。。。

それに普段帽子をかぶる習慣のない私にとって、頭皮丸出しのような状態の頭に柔らかい素材のネックウォーマー兼ヘッドキャップを被ることですら、締め付けられるような苦しさがあるのです。

かといって、苦しいさを理由に現状丸出しで仕事や買い物に出ると、きっと私以外の方は大いに集中力を削がれてしまうことに成りかねませんよね。慣れればということもあるかも知れませんが、いずれ一度でも気を遣わせてしまうのは社会人としては・・ねぇ。

ということで、
見た目というのは自分のことであると同時に、第三者の方への気遣い(配慮、思いやり)でもあるんだな~と改めて気づかされています。


あ、でも、外から帰ると家の中ではすぐに「フッふぁ~!」と言いながらヘッドキャップを脱ぎ、丸坊主の母ちゃんが「お帰り~♪」と家族を出迎えております。


そうそう。
抗がん剤治療の前に、知人友人にウイッグをおねだりしておりました。
色々な髪形や髪色にその日の気分で変化できることも、私にとっては楽しみで仕方なかったからです。

冬の寒さが厳しい大館。変幻自在のウイッグは、丸坊主頭にとってオシャレな防寒グッズとなるはずです♪


抗がん剤投与一回目から30日目の様子
(パヤパヤした細い髪が可愛い♡)


つづいて、私の髪の毛に対するお話その②。
経験値に基づく自信や信用まで髪の毛と一緒になくなるわけではない。という件について。


頭髪が抜けることについては、「間違いなく乳がんなんだ」と視覚的にその現実を家族が直視することでもあります。

髪の毛が日に日に抜け落ちてくるという視覚的な事実は、
前述した「丸坊主に憧れてきた私」以外、全ての家族にそれなりのショックを与えることが予想されました。

最初に抜け始めてきたことを伝えたのは母親でした。

お腹を痛めて生み、決して良い子ではなかった私を苦悩しながら育ててきた母親にとって娘の乳がんという現実。視覚的に直視せざる負えないというのは、私ですら言葉に出来ないほど胸を締め付けられるような母親の想いが痛いほど分かります。


「そうかぁ、いよいよ抜けてきたのねぇ」そう言いながら母は少しだけ涙ぐんでいたように思います。
ほんと、どこまでも良い子じゃなくてごめんね。私もそんな風に生まれて初めて母に心から謝罪の念が。


ところが!!


その直後、「あ!写真撮っておくといいね!!」と母親。


その瞬時の感情転換、思考転換、

あんた、さすがだわ!(≧▽≦)



母親。良く言うと前向きなプラス思考ですが、人生いろいろありながらも長く生きてくると、感情ろ過装置が標準装備されてくるものなのか?
さらに元来かなり大雑把で脳天気な母親の気質が功を奏し、この件に関しては、さすがの私も呆れてしまう結果となりました。

ただ、そんなところ、私も実に母によく似ております💦
親子とは残念なほど似ているのです。笑



前置きが長くなりました。
経験値に基づく自信や信用まで髪の毛と一緒になくなるわけではない。

という件についてです。

中学校1年生の三男坊(末っ子)もまた、現実を直視させるにはまだ幼く、心への影響が厳しいかなぁと思っていました。
「ママの髪、抜けてきたよ。だんだん無くなって和尚さんみたいになるかも。そんなママでも大丈夫?」とショックを少しでも和らげようと未来予想図がイメージできるようにしながら聞いてみたところ、

「ママは見た目とか気にならないの?」

と私のことを心配してくれたのか、それとも単に「髪が無くなるのは俺に関係なくてママの問題」だと言う意味で聞いたのかは定かではありませんが、質問に質問返し💦


特に準備していたわけでもなく、その時思わず穏やかに口から出たのは、
「ママは丸坊主に憧れててさ~!」・・・という話ではなく、(その話はもういい。笑)

「ママがこれまでやってきた仕事とか、学んだ知識とか、経験を重ねて身に付いた自信とか信用って、髪の毛と一緒に無くなるわけじゃないからさぁ。あまり見た目とか関係ないんだよね、ママは」

という私自身の根本的な考え方でした。


私の回答を聞いた三男坊(中一末っ子)は、

「結局のとろこ、ママはいつも通りガミガミうるさいってことか」

と、落胆。
おいおい、落ち込むポイントそこですかー?
そして、結構人生に役立つ物事の捉え方を伝えたつもりだったが、ちゃんと聞いてたかー??

思春期の中学生には、母親の乳がんよりも「ガミガミ母ちゃん」のほうが大きな腫瘍のようです。


つづいて、秋田市で一人暮らしをしながら高校に通っている長男(高3)。
なかなか会う機会も少ないので、次に会う時にいきなり坊主になった私と対面するのも厳しかろうと、途中経過の写真をLINEで度々送っていました。

ハッキリと頭皮が映る写真を最後に送ったあと、長男から

「お金なくなりそう」
「歯医者行きたいから予約しておいて~!」

母ちゃんの乳がんや髪の毛よりも、自分のことがとにかく大事なLINEが届く。

脳天気な実の母親のみならず、息子たちよ。
自分自身に実直に育ってくれてありがとう(-_-;)



抗がん剤治療がスタートしてから肌が弱くなったというか、敏感になりました。無添加のボディーソープなど色々試しましたが、現在のお気に入りはお味噌の業界の方からプレゼントして頂いた「馬油石鹸」です。

顔も頭も全身も、これ一つでしっとり♡
普通の方にももちろんおススメです。

秋田県北秋田市にある「肉のまつお」レストラン内で販売している無添加石鹸


経験値に基づく自信や信用まで髪の毛と一緒になくなるわけではない。という件についてのまとめ。

みそソムリエとして11年。ラジオ局の局長として2年。
私なりに目的意識を強めに勉強してきました。
多くの皆さんのおかげで、たくさんのお仕事での実績や失敗を重ねてくることが出来ました。乳がんになった今でも、私には仕事があります。大切な家族がいつも元気に私の近くで笑っています。
このことは、髪の毛が一時的に抜けることを嘆くどころか、それを「全く問題なし」と捉えられる宝物です。

一生懸命生きていると病気も含めて色々ありますが、
一生懸命生きてきたことによって生み出されたものが、自身を支えてくれます。

自分の努力だけではどうすることもできない事が起きても、
自分のことは積み上げてきた自分がきっと守ってくれます。

それは乳がんになったこれからもきっとそう。
一生懸命これからも生きたいと思います。



ここまで抗がん剤副作用で髪の毛が抜ける件について、お読み頂きありがとうございました。
もしかしたら、こんな大変なことを無秩序な表現で文章に記録していることに憤りを感じた方もおられるかも知れません。不謹慎だと思う方も。私はその気持ちも良く理解できます。

がんは100人いれば100通りのがんの形があると言われています。
同時にそれは、100人いれば100通りの受け止め方、解釈の仕方、感情の在り方もあるということです。
患者本人だけでなく、家族や周りの考え方や受け止め方もしかり。


前向きに考えることが正解ということではなく、泣きながら過ごすことが悪いわけでもありません。
がんを患った人やその家族の気持ちは、正直、その人にしか本当のことは分からないものだと思うから。
「がんは気持ち次第だからね」なんて、がんの経験が無い人に言われることもあります。もちろん励ましの心200%で言ってくれているのは分かります。
分かるけど、やっぱり当事者にしか正解はないのです。(何を根拠に気持ち次第と言い切れるの?とすら体調が悪いと思ってしまうことだってあります)
ある意味、主治医ですら私のがんの正解は持ち合わせていないとも思います。がんの主人公はどこまでいっても自分。そしてその家族だからです。

私を含む私たち家族の「私の乳がん」に対する考え方や受け止め方は、私たちにとっての正解。だたそれだけのことです。それで良いのです。

乳がんとの共生の中で、これからも色々な局面が訪れるかも知れません。
私たちの正解をその都度ゆっくり探していきたいと思います。

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