お嬢ちゃんへの返事

100円店へ、たまにゆく。色んな人が出入りしていて、澱みがない。一番目立つのは、ヤン&ヤン。ヤングなママと、ヤ△キー或いは元ヤンかと思(おぼ)しきママ達だ。あのお嬢ちゃんのママは、どちらなんだろう。

2、3年前。近所の100円店にいた。香炉灰と軽い事務用品だけが、本日のお買い物。しかし買い物籠の中が淋しい。そうだ、おやつ。小腹対策をばと、売り場へと向かう。途中通路で、目に入ったのが小さな子。女の子、お嬢ちゃんだ。2歳ぐらいだろうか?

目いっぱい右腕を伸ばし、何かを取ろうとしているのだが、全然足りずに届かない。悠に10センチぐらいは上だろう。イラスト入りのシール台紙だ。一生懸命やっているのにダメなもどかしさが、伝わって来るような泣き方である。

廻りを見る。客の多くが気にはしている。チラチラ見る。けど、声掛けはない。ヘタに子供に声など掛けたら、今や誘拐犯化と間違えられる可能性大。店員さん達は済ましたまま、各々の仕事に忙殺され中。こういう時でも売り上げ第一、仕事を優先せよとの会社なのだろうか?

もどかしさだけの泣き声が、更にあがった。

近づく。気がつかない。少ししゃがんで聞いてみる。「取りたいの?あれ」頷いた。おかっぱ頭が艶々だ。約160センチの身長が取れば、訳もない。フックからひょいと外して、手に乗せる。「はい」。

赤くなった鼻をヒックヒックとさせながらも、はっきりわたしに礼を言う「ありがとう」。「どういたしまして」が、大人であろう。けど、このような場合わたしはテレてしまうのだ。「早く、大きくなるといいね」とっさの一言が返事であった。                           




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