夫よ<完全妄想詩>

夫よ 今は亡き夫よ
あなたとの日々を思い出す

小春日和の休日。
たまたま夫婦で居間にいた。
何をするでもなく、ただ過ごす。

開けた窓の前に立ち、あなたは空を見上げていた。
と、「ブバッ!」
すんごいオナラが、あなたから出た。
同時に「すぅー!」
わたしからも出た。

(・・・・・)
(・・・・・)
共に視線を向けた先に、二本の白い線。
ニオイを帯びそうな、線が各々立ち上り、
やがて
1つとなって、空のどこかに消えてった。
幻(まぼろし)だったかも知れないが。

「見た?」
「ええ」
「笑っちゃうよな、なんか」
髭面が、愉快に揺れる。
「食いにゆく?芋懐石」
更に大きく笑いを立てる。
夫はあった一面だ。

十三回忌の弔いを済ませ、今。

わたしはあの日と同じ風景(いろ)を見る。

例え屁をぶっ放そうと、オナラをしようと
笑う夫は、そばにはおらず、空にいる。

<了>


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