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80代のセンパイと暮らす。(48)

最近のセンパイは、買い物の回数を減らし、その分、庭の草むしりに勤しんでいる。なぜかペッタリと正座してむしっている姿は、後ろから見るとおかしくて仕方ない。大概「足が痛い」と言って終わらせるが、「だろうね」といつもツッコミたくなる。

今朝、バタバタと音がするので何かと思うと、センパイが、

「ミチコちゃんがいたのよ!」

ミチコさんは近所の友達で、センパイより4つ年下だが、認知症が進んでいる。「ずっと連絡がないから、もう私のことを忘れちゃったのかも」と心配していたが、うちの前をミチコさんが歩いているのを見かけ、声をかけたら、反応してくれたらしい。

「今、外で待ってて貰ってるから、一緒にパン屋まで行ってくる!」

と、土足で家の中を歩き回り(いくらフローリングとはいえ、いつもどーにかならんかねと思うセンパイの癖)、ジャケットとマスクとサングラスを持って出かけた。

2時間くらいして、たくさんパンを持って帰宅。

「そんなに買ったの?(センパイ、いつもパン食べないじゃん)」

「だって狭いから3人ずつしか入れなくて30分待ったのよ。なのにミチコちゃん、1個しか買わないの。あり得ないでしょ。その分、なんかいっぱい買っちゃった」

と、よく分かるような、分からないようなことを言って、

「本当に疲れた。3回は同じこと言わないと通じないし」

と、グッタリしている。

ここ2日連続で、センパイはブロッコリーを茹ですぎていて、それを何とかするのはなぜか私の仕事。今日はセンパイが帰ってくる前に、ポタージュスープにしておいた。

「このスープに、パン食べたら昼寝する〜」

と言って、ホントに昼寝していた。

うん、センパイはやはりえらいと思うよ。たぶん疲れるのは分かっていただろうけど(だから最近、ミチコさんに会う時は複数で会ってたもんね)、声をかけずにはいられなかったのね。ミチコさんがまだ覚えていてくれていて、よかったよね、センパイ。お疲れ様さま!

#80代のセンパイ #備忘録 #ライフスタイル #エッセイ #認知症の友達




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