天命と体温

物理的に生きていることも
精神的に生きていることも
肉体がここにあることも
結論としては同じ

なにものでもなくなったとき
私をここに在らしめる依り代が消え
魂のみを浮遊させることになったとき
存在は原子へと仮託されるのではないか

意思が消えても存在は終わらない
とるに足らぬ極小のひと粒となって
いまだ物質世界をただよう
私はなにもできない

「死んだらどこに行くの」
「どこにも行けないのさ」

「どうして生きているの」

たぶん世界も生まれた意味を探している
存在以前を考えることを恐れている

理由なんて大抵が後付けだろう
結果論だけで僕ら成り立ってる
何度生まれ変われど同じ
ゼロから証明を始めなくちゃ

終わりがないだなんて嘘だと思いたい
いつか消えるなんて嘘だと思いたい

ねぇ、神様
いつから僕らここにいるんだろう
ねぇ、神様
いつまで僕らここにいられるんだろう

どうか触れさせてください
それだけが存在証明なのです
どうしようもない僕の
あなたの
どこからかやってきて
あなたになったあなたの
僕がどうしようもなく愛する
あなたを
証明するための

この肌が、この熱が
もしも誰かを思い出させるなら
僕は誰にでもなるし
誰にもならずにここにいよう

あなたがここにあることを
受けとめてあげられるよう
僕は生まれたのだから

だから泣かないでよ

すべては共に存在し
消える時には皆消える
それが何の救いになるかは解らないが

何度考えたって僕らは生きていた
事実は消えないから
それが仮説でもさ
幸せだったよ

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