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【読書メモ】今週読んだ3冊

 自己啓発&ライフハック強化週間。


『夢をかなえるゾウ』水野 敬也


・よく書店で平積みされている本。気になったので読んでみた。
・内容を簡単にいうと、意識高くない自己啓発。「心構え」や「気の持ちよう」のようなフワッとした感じではなく、今日から始められる方法が載っている実践的な本。ただし実践内容は「靴を磨け」「募金をしろ」「トイレ掃除をしろ」から始まるので覚悟しておくように。
・主人公の一般男性とインドの神・ガネーシャのコントみたいな日常を描く形で進行する。なぜか関西弁でボケ担当のインドの神と、ツッコミが忙しい主人公のやり取りがコメディチックで楽しい。小難しい本が苦手な人にも読みやすい本。こりゃ売れるわけだな、と思った。
・Audibleで聴いているけれど、おっさん特有の喋り方を再現しているのかガネーシャの台詞の始めに「チュパッ」みたいなリップ音がよく入る。人によってはかなり気になるかも。私はメチャクチャ気になって内容に集中できなかった。
・ここからは印象的だった内容を要約。
・人間がしていることの大半は「反応」だ。Twitterを見ていれば分かるだろう。みんな反応しているだけで、自分で考えている人はごく少数。人生を成功させるための計画を立てているか否かが日々の行動にも現れる。たとえば「家に帰ったら読む本がある」としっかり計画を立てていれば、同僚から酒を飲む行為に誘われても断ることができるだろう。
・1日、なにかをやめてみる。
 私たちの24時間という器には、すでに中身がパンパンに詰まっている。ついつい見ちゃうネット、友人との付き合い、仕事終わりの寄り道。それらを一つでいいからやめてみれば、代わりに自分のやりたい事を詰め込める。
・よく「意識を変えよう」と言われる。だけど人の意識というものは変わらない。そこにあるのは「意識を変えたい」という願望だけ。理想の自分になりたい、意識を変えたいと思いを巡らせている時は楽しいし、何よりラク。だから、意識を変えようとするのは「逃げ」である。
 意識ではなく、やりたい事を達成するためにもっと具体的な行動を変えていく。
 こうすると決めた行動を実行するために、そうせざるを得ない環境を作る。たとえば「テレビを見ない」ならテレビの電源プラグを引っこ抜く。そうすればテレビを見たい衝動に駆られた時も踏みとどまることができる。
 サボらせないために、サボりへの道筋の途中にワンステップ、段差を作る。心の逆バリアフリー。簡単にはサボらせない環境を作る。それが「変わる」ということ。
・やりたいことをやるのに努力はいらない。なぜなら、やりたいことなら楽しんでやっているはずだから。手塚治虫は亡くなる直前まで病室で漫画の仕事をしていたが、それは「彼が努力家だから」というよりも、漫画が彼にとって何よりも「やりたいこと」だったから。
・たとえ夢を諦めても、自分だけは諦めるな。自分にしかできないことがあるって強く思え。
・自分の才能が見いだされる場所に身を置くこと。小説の才能を見出されたいなら新人賞に応募したり小説サイトに投稿したり。
・巻末で要点をまとめてくれているのがありがたい。本の内容が読み終えた頃には頭からスッポリと抜け落ちているタイプの人にもオススメの親切設計。
・偉人がやっていた習慣を見習い、自分の悪習慣を見直す。そうして目標に向かって努力していけば夢が叶う。ものすごくザックリ言うとそういう感じの内容でした。読みやすいし、本文で示される「やるべきこと」の内容も具体的なので実行に移しやすい。フワッとしたことを言うことが多い自己啓発本の中ではかなり実践的なほう。なるほど、売れるわけだ。

『はしゃぎながら夢をかなえる世界一簡単な法』本田 晃一


・「せっかくなので今週は自己啓発本やライフハック本を読もう」と思って手に取った本。なんか、ものすごく叶えたい夢がある人みたいな読書傾向である。
・「はしゃいだ気持ちになれる方へ行きましょう」「楽しくてラクな道を選びましょう」という主張の本。
 だがしかし、そ れ が で き れ ば 苦 労 し な い 。
 そもそも、職業選択の自由があるとはいえ第一志望の企業に就けるケースが稀なのが今の日本社会ではないか。この本に書いてあることを実践できる精神的・時間的・金銭的余裕がある人がどれくらいいるのか。って思っちゃうね!
・「セルフイメージを高めていきましょう。高いほど夢の実現性が上がります」という主張もある。これには同意。
「セルフイメージを高めるだけだと、現在の自分とのギャップを感じて逆に苦しむことになる。セルフイメージを高めること自体を目的とするのではなく、高めたことで何がしたいかを明確にしましょう」、これにも同意。
・自分を褒めろ。なにかを頑張れたら褒めろ。頑張れなくても「ダメな自分、サイコー!」って褒めてしまえ。別に凄いことでなくてもいい、ささいなことでも褒めろ。そして他人も事あるごとに褒めろ。そうすれば褒め返してくれるから。
・・・などと「なんだかんだで良いこと書いてるじゃんこの本」と思ってきたところで「女は共感してほしい人間、男は認めてほしい人間ですから」などと言い出したので、またぞろ「大丈夫かこの本」と思ってしまった。その男女論は危険であるぞ。

『いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学』センディル ムッライナタン (著)エルダー シャフィール (著)大田 直子 (翻訳)


・「時間がないあなたにオススメの、効率的な時間の作り方!」的な内容かと思って読んでみたけれど、実際はもっと複雑だった。
・人は大なり小なり「欠乏感」を抱いている。時間が無い、お金が無い。それらは視野狭窄を招き、時に正しい判断力を狂わせる。
・とある農民の借金情報を調査したところ、利子の少ないローンよりも高利貸しの地元の金貸しにお金を借りに行く割合が高かった。ローンは営業時間が限られているけれど金貸しは家のドアを叩いたらいつでも貸してくれる利便性が理由だという。しかし農民はそんなに急な出費が多いのかというと、そうでもない。事実、借りたお金の用途で多いのが「子供の学費」であった。前々から分かっている出費なので深夜に金貸しの玄関ドアを叩かなくてもローンで余裕をもって借りられるはずだ。本書はこの奇妙な行動の理由として、トンネリング(トンネルの中の視界のように物事への見方が視野狭窄になること)を起こしていることを挙げる。生活に余裕が無いから、将来的な学費の工面まで頭が回らない。だから直前まで金策を忘れてしまい、高利貸しに頼ってしまう、という理論。
・同じことはお金の他にも「時間が無い」「やることが多すぎる」にも言える。本書ではこの、問題を抱えていっぱいいっぱいな状態を「ジャグリング」と呼ぶ。タスクをいっぱいお手玉している状態なので、頭が目の前のことで埋め尽くされて中長期的なことまで頭が回らなくなる。投資、健康、などなど。今のうちにやっておけば将来的に得することをやる余裕がなくなって、総合的にみて損をしてしまう。
・出張の荷物をカバンに詰め込む際に、大きなカバンと小さなカバンの二種類があるとする。大きなカバンは特にスペースを考えることなく好きに詰め込めるが、小さなカバンは限られたスペースに効率よく全ての荷物を詰めるために頭を使わないといけない。大きなカバンでは必要のない欠乏感と、それによる頭の処理能力への負荷を背負わないとならなくなる。
・時間やお金が無くて欠乏感を抱いていると「頭の処理能力への負荷」というデバフが常に掛かっている状態になる。この傾向は低所得者や貧困層に常に多い。処理能力が下がると効率的な金策や働き方を考えられなくなり、お金が欠乏した状態からますます抜け出せなくなる負のスパイラルに陥る。
・欠乏感からのトンネリングを起こした時は、本来やるべきことを忘れがちになる。だから、そうした際にやるべきことを思い出させる仕組みを作っておくことが大事。
〇ここからは私なりの意見を述べる。私たちはお金や時間の他にも、「情報」に欠乏することが多々ある。「情報中毒」という言葉を聞いたことがあるだろうか。SNSの発展で大量の情報が分刻みで更新されるようになったことで、「なにか新しいことがないだろうか」と気になってついついSNSを開いてしまう、アレだ。仕事や勉強など、本来やるべきことがあるのにSNSを見てしまうようなら、それは立派な情報中毒である。
 情報中毒、すなわち情報の欠乏による集中力の欠如と戦うにはどうすればいいか。私なりの解決策は「いまやるべきことを見えるところに貼る」である。小型のホワイトボードでもポストイットでも、そのへんの紙に書いて置いておいてもいい。ネットが気になったら反射的に「やるべきこと」に目をやるようにすれば、意識を「ネットを見て情報を得なければ」というトンネリング状態から抜け出させることができる。もしよかったら試してみてね。
・まとめ:
 時間・お金などの欠乏は私たちをトンネリングという視野狭窄に陥らせる。
 トンネリングは将来的な目標の達成や合理的な金策など「やるべきこと」するための正しい判断力を狂わせる。
 欠乏自体を完全に無くすことは難しいため、トンネリングに陥った際に「やるべきこと」を思い出させる仕組みを作っておくことが重要である。

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