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ASD息子が中学卒業後、プログラマーになるまでの経緯

息子は、3歳でASDの診断を受けました。
現在23歳のプログラマー。
東京で普通の会社員として働いています。

息子が中学卒業後、どんな経緯でプログラマーになっていったのか。



息子は3歳まで言葉が出ない、オウム返しをする、人に興味がないなどのASDの特徴はあったものの

多動行動はさほど見られず、知的な遅れもあまりなかったので(当時は詳しい検査がなかった)
小学校では普通級に入りました。

算数と理科が得意で、国語や英語などの言語が超苦手な凸凹タイプ。


小学校までは、なんとかごまかせても
中学生になるころには、大きな壁が。

長文の日本語を読むことが苦手
小説や物語が読めない
作文が致命的に下手

国語の成績は、もう限界を迎えていました。


これ以上は特性的に無理だと考え
得意科目を伸ばすことに専念。

彼に簡単な目標を立ててやることにしました。


数学と理科のテスト問題くらいの
短い文章を、速く確実に理解できるようになろう。


数学や理科の問題文は、わりとパターン化されているので
さほど難しい作業ではありませんでした。

もともと数式や図形は得意だし
文章題さえクリアできれば
国語のマイナス点を、理数でフォローできるのではと考えたのです。


一方、英語は、というと
なんと、国語よりはマシでした。

なぜなら

言語そのものが苦手な彼にとって
中学英語の文章は、国語テストの日本語よりも簡単な文章だったからです。

例えば

I play baseball .
 (わたしは野球をします)

こんな単純な文は、国語では出てきませんが、中学英語ではよく見かけます。


さらに、英語には SVOC などの基本文型があり、パターンが決まっているので、穴埋め問題などは回答しやすいということが、のちに判明しました。


しかしながら、複雑な文や長文問題になれば、それも通用しません。

一般的にテストというものは、基礎問題と応用問題に分かれているので、苦手科目は基礎問題だけきっちり解ければよしとして

とにかく得意な数学と理科に力を入れました。


そして親のわたしは

理数科目だけでも受かりそうな学校を、ひたすら探したわけです。


■ 高専という選択肢

高専」といえば

NHK高専ロボコンで有名です。
国立の5年制の学校。工業系の高校と大学が合わさったようなかんじで、正式名称を「工業高等専門学校」といいます。

大体の都道府県に一校はあるようで

ロボット製作やプログラミングなどの専門的な学習を、15歳から始めます。


一般の認知度は低い学校ですが、優秀な学生が I Tベンチャーを起業したり、産業界からの求人は多く

近年、1人の高専生に対しての求人倍率は、30~60倍ともいわれています。




偏差値は60前後と高めではありますが、受験が通常の高校とはちょっと違うので、抜け道もあるのです。


・ 受験がマークシートなので
  字を書かなくてよい

・理数科目の点数だけ2倍にするなど
 傾斜配点がある

・ものづくり、パソコン・携帯
 ゲーム大好きのオタク大歓迎

・化・科学系コンテスト推薦や
 通常の推薦もあり面接重視



入学後の暮らしも、彼に合っていました。

例えるなら、中学を卒業して
すぐに工学部の大学生になるようなイメージです。



• 制服なし。服装、髪型は自由

コミュ障やオタク学生が密かに多く在籍する。ここで才能を磨いたのち、IT系で活躍している

があるので、家から遠くても通える

• 留年は普通なので誰も気にしない

• 求人数が多いので、卒業さえできれば楽に就職できる。

• 卒業後、成績次第で国立大3年に編入可


先生たちもやさしい。

担任の先生と私の面談は、こんなかんじでした👇


わたし:うちの息子、おしゃべりが苦手なんですが、就職面接とか大丈夫でしょうか。

先生: 大丈夫ですよ。ちゃんと会話ができますから。うちの学校には、返事や会話がうまくできない学生もいます。
そ〜いう人には練習してもらいます。

といった具合に、先生方が発達障害の扱いに慣れている。

そして、IT系には、電話も接客もせず、パソコン一つでできる仕事が結構ある。

こんな風に
ASDの息子にとっては、最高に居心地のよい、唯一無二の学校だったのです。

* * *

息子は、15歳での高専受験はぎりぎり可能でしたが

もし普通高校へ行って、高校英語や現代文や古文で受験をするなんて、考えただけでも無理だと、当時の私は予測していました。


理数科目がこんなにできるのに、なんともったいないことか。

だったらここで今、高専に行くしかない。

こんな経緯で息子は高専を受験し、
なんとかギリギリで合格し
現在のプログラマー職に就くことになったわけです。
(高専受験の話は、後日詳しく書きます)




もし、ASDのお子さんが、工作やものづくり、電子機器や数学大好きの理数特化型であれば、高専をおすすめします。

ただ、かなり個性的な学校なので、入学してから、自分に合わないと感じる人が一定数おり、途中退学者がいるのも事実です。

事前にオープンキャンパスへ行くことをお勧めします
ちなみに、我が家は中1から中3まで毎年連れていき、最終的に本人が受験を決めました。



(補足)

理数特化型ASD児の進学先として、もう一つ私が視野に入れていたのは、地元の伝統ある工業高校

同じく大好きな理系分野の勉強ができるし、昔からの地元の繋がりを生かした、多様な就職先があります。

さらに、地方国立大学•工学部への推薦枠を持っている場合があります。


* * *

一般的に、今は普通高校が人気の世の中ですが、全教科を平均して勉強するなんて、発達障害児にとっては時間のムダだと私は感じています。

言語が苦手でも
数学が得意な人は多い。
だったら得意を伸ばせばいい。

それは定型児でも同じこと。

工学系の世界には、案外、生きやすい世界が広がっているのです。


※ 学校の受験情報は随時変わります。各学校のHP等でご確認下さいマセ🙇‍♀️


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