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スーパー銭湯で再確認した「最後はやっぱり”人”」

なんだかんだ言っても、気持ちのこもった行いが人の気持ちを鷲掴みにする。

今日、私はとても感激する出来事があった。


昨日サイズが合わない靴でたくさん歩いたせいで、今日は朝から疲労感を感じていた。足のむくみが酷かったので、熱い湯船に浸かって身体をゆっくり温めたいな〜と考えていたところ、突如近所にあるスーパー銭湯のことが頭をよぎった。

「いやいや、今日はまだ火曜日だし…」

と一瞬自分をなだめようとしたものの、

「んー…でもこの重たい足を放ってはおけない」

「平日ならきっと空いているだろうし…そうだ、せっかくなら足つぼマッサージなんかもやってもらうおう!」

と逆に盛り上がってしまった。ここまで来たらもう後には引けない。


無料送迎バスが最寄り駅を経由することになっていたが、仕事終わりでのタイミングが合わなかった為、今回は公共バスに乗って向かうことにした。

実はこのスーパー銭湯は、つい2週間前の週末に初めて訪れたばかり。その時もなんとなく身体の代謝がうまく行ってない気がして、「そうだ、岩盤浴で汗をかこう!」と急に思い立ち、ネットで調べたらたまたま近くにあることを知ったのだ。この時に自宅から片道約15分ほどの距離だということを知り、私の中でスーパー銭湯へのハードルは一気に下がった。実家に住んでいた当時は、一番近いところでも車で40分ほど掛かり週末にしか行けなかった為、スーパー銭湯に行くこと自体がちょっとしたイベントのようだった。それがまさか平日の夜にふらっと行けるようになるとは…。


現地に着くと、案の定お客はまばらでとても空いていた。まず先に1時間後のマッサージの予約を入れてから、お風呂に向かった。身体を洗い、念願の大きなお風呂に浸かると自然とハァーと息をついていた。

炭酸風呂、電気風呂などのいくつかのお風呂に浸かったあと締めくくりに露天風呂に向かうための扉を引くと、ゴウゴウと音を立てて強風が吹いていた。建物の周りに植えられている椰子の木が大きくしなっているのが見える。小走りでお風呂に入ると、熱めのお湯の温度と外気のバランスが意外とちょうど良く、誰もいない露天風呂を独り占めしている贅沢さもあり最高に気分が良かった。

広々としたお風呂を堪能しすぎて、気づいたらマッサージの予約時間が迫っていた。慌てて上がり、施設内にあるサロンへ向かう。

マッサージと表現したが、私が今回予約したのは正確には「バリ式リフレクソロジー」だ。以前”英国式”というのも受けたことがあるが、何が違うのかはよく分からない。とにかくオイルを使い、足の裏〜ふくらはぎをマッサージしてくれるという。

そして私を担当してくれたのがMさん。予約の受付をしてくれたのもMさんだった。その時の印象では、少々接客に辿々しさを感じたものだったが、いざ施術が始まると予想外に丁寧な手さばきに、最初に受けた印象はあっという間に覆った。

リフレクソロジーは過去に何度も受けたことがあるが、Mさんは今までの誰よりも”丁寧”にやってくれた。その違いは歴然としていた。足のむくみやコリを的確に捉えて、丁寧に指でほぐしていく。痛すぎることもなく、絶妙なイタ気持ちいい強さに途中意識が飛んでいた。心のどこかで所詮スーパー銭湯内のサービスだろうと、舐めた気持ちがあったことを反省した。

70分間みっちり丁寧にむくみを流してもらい、見違えるほど私の足は軽くなっていた。

とにかくその素晴らしい仕事ぶりに感謝の気持ちを伝えたくて、少し興奮気味にありがとうと繰り返していた。見た目から私より年下だろうと思われた彼女は、「良かったです」と穏やかに微笑んだ。

私は今回一気に彼女の「ファン」になった。そしてこれこそが全ての答えだという気持ちになった。極端な話、今日支払った料金が安いと感じられたのだ。そのくらい説得力があったのだ。


これはサービス業だけでなく、あらゆる業種においても同じことが言えると思う。

数週間前に「カンブリア宮殿」で紹介されていた家電量販店のノジマも、その接客術が素晴らしいと顧客から大評判で、ほとんどの客がリピーターになっておりコロナ禍でも業績を伸ばしているという。

AIなどの最先端テクノロジーは間違いなく素晴らしい。可能性をどんどん広げてくれる。しかしいつの時代になっても、こんな風に人が行う気持ちのこもった仕事にはかけがえのない価値がある。そのことを忘れてはいけないと思った。



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