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毎日ドレスは着れないけど


「毎日ドレス着たっていいくらいだ」

そう言われて、職場のデスクでマリーアント
ワネットばりのドレスを着て、計算機をはじ
いている自分を想像してしまった。

もちろん毎日ドレスは着たくない。

掃除だってやりづらいだろうし、スースーし
て風邪をひきそうだし、そこら中にひっかけ
て、帰宅する頃にはティンカーベルのような
ギザギザスカートだろう。

やっぱりそこはお姫様だから着ていられる。

その会話は一枚の写真から始まった。
友人が招待された、とある記念パーティーで
の一枚。
友人と一緒に写っていた ”さっちゃん” の鮮
やかなピンクのドレスが発端だった。

当初は私も参加を予定しており、友人と2人
で着ていく服について相談していた。
なにせこちらは結婚式列席のピークもはるか
昔、つぎのお呼ばれは姪っ子の結婚式か?と
いうパーティー離れ甚だしいお年頃である。


肝心のさっちゃんが何を着ていくかは私達は
知らなかった。

だから写真を見た瞬間さっちゃん流石だわ!
となった。それは変なイヤミなどではなく、
本心。とても似合っていて素敵だった。

実はさっちゃんは強靭なメンタルの持ち主。
それでいていつも笑顔で品があり、柔らかな
雰囲気をもつ。
こちらの思い込みをバッサバッサと切り落と
してくれるような女性。 

「ピンクは着れないって誰が決めたの??」
勝手な思い込みでしょうということらしい。

私は目立ちたくなくて着れないけど、なぜ
かピンクや赤への憧れはある。よく考えると
自分に自信があるなら本当は着たいかもと思
った。

堂々と鮮やかな色を着こなしている人はカッ
コいい。品がなくなってしまう事もあり、お
しゃれ難易度も高い。

そこで気づいたのは赤は主役の色だと思って
いる自分。
そういえば自分の結婚式では赤いドレスを着
たことを思い出した。なんの抵抗もなく。

私の『赤は主役の色』発言に対し、友人が言
った。

「それで言ったら、
 毎日あなたの人生の主役はあなたですよ!」
「毎日ドレス着てもいいくらいだ」

思わず笑ってしまったが、想像して間違いな
く気分は上向きになった。


確かに家族のことなどで自分の優先順位が下
がったりする事はどうしてもある。
でもそれは自分が望んで選んでいること。
ただ忘れたくないのはそれが自分の全てでは
なく、一つの役割だったり、自分を構成する
一部であること。

自分の全てを知っているのは自分自身だけ。

今の自分にとってのお気に入りの服を着て
ウキウキするよう自分の機嫌をとる。
心の中では毎日ドレスを着たっていいじゃない。
少しの緊張感を持ち、言葉という心の鏡もき
ちんと磨き続けて。

そんな気づきをくれた有難く、ユーモアのある
友人の一言でした。

それにしても
一体その赤=主役の思い込みはどこから来
ているのかと考えたら『戦隊もののヒーロー』では?という男児のような答えが浮かんできた。
確かに私の中で一番応援していたのはレッドだった。

思いがけず自分の女らしさに欠ける要因にまで辿り着きそうで、私は今とても困惑している。

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