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木々の無常と畑の幼虫

 1281 文字

 空を切り刻む木々の梢、未だ大量に雪が残る路肩の柳の白いポンポンのふくらみに、瞳細めて喜んだのは何時だったろう。
 ノロノロと足踏みしている様にさえ感じた季節は、気付けば瞬時に進んだかの如く、柳の白いポンポンは長いのや丸いのや、黄色の毛虫の如くに花粉を付けて落ちている季節に驚き、ひんやりとした朝の空気を頬張り、陽が登った青空に春の嬉しさ噛み締める。
 自然界は無常がひしめき合って流れて行く。
 私はそれでも今日も食べれて、明日も食べれて行く事だろう。
 広い牧草地の真ん中に野ウサギがうずくまっていた、白い冬毛を脱ぎ捨ててグレーの枯草色は二度見をしなければ、うさぎがたった一匹うずくまって居る事など、トンビや鷹ではない者にはわからないだろう。
 冬の湿った雪のせいで木々の枝は風景の中に無情に折れている、折れた幹の中身が明るくなった空の下で肌色に光輝く無残な姿。。
 路肩の草は日増しに緑が濃くなり、柔らかい葉は美味しそうに春の冷たい風に、あっちを向きましょう、今度はこっちねと風に逆らわずにクネクネウエーブの様に波打っている、珍しくもない風景が微笑ましい。
 
 例年なら5月のゴールデンウイークを過ぎた頃から畑を耕す事が出来るが、今年はすでに畑の氷は無くなり掘り起こす事が出来る、これも温暖化のお陰なのだろうかとしみじみ花畑を見つめて、秋に飛ばされて来た枯れ葉や倒れて枯れた草の残骸を片付けていた。
 今年は何を植えましょうか ? 立ち枯れていた菊を綺麗にしましょうね、積もった枯れ葉を取り除いてね、春の陽気にウキウキお片付けを始めた。
 積もった枯れ葉や草を土の上からひっぺ返した。
 ウヨウヨグニョグニョ・・50匹以上いる、私にはそう見えた 💀 ギャー メデューサを見てしまった、心が凍る立ちすくみ暫く見つめて我に帰った。
 幼虫が枯れ葉の下で越冬していた、思わず又枯れ葉を戻して動揺ドキドキどうしましょう !! 場所を変えて枯れ葉を恐る恐る取り除いた、キャンキャンキャーキャーやっぱり此処にもいた。
 それから暫く花畑には行けなかった、あれはなんだったのだろうか ? 冬のミミズの姿なのだろうか ?? イヤイヤ白っぽくて2.5㎝位、太さ1㎝位はあったよね~(´;ω;`) やはりミミズの越冬姿な筈はないわね。
 暫くしてからある方に聞いて初めて知った「蛾の幼虫なのよ」「えーっ」その後の会話は全く覚えていない。
 私にとってこれ程の恐怖体験を、この年(言えない(笑))になって経験するとは身体の骨がずり落ちた様な感覚を味わってしまい、あのグニョグニョグニュグニュが脳裏に焼き付いてはなれなくなってしまった。
 後日、蛾の幼虫と聞いたからには退治しなければと意気込んで重装備、手袋の上からゴム手、長いトング片手に蛾の幼虫へ突進して行った。
 蛾の幼虫がいた場所には・・・何処を探してもいなかった、安心した様な複雑な気持ちを味わいながらネギの植え替え終わったわ。
 秋に花畑を放ったらかしていた自分が悪いんだわ💦餓の幼虫に教えられた自然界の教訓、これから役立つ筈だわね~
  

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