見出し画像

馬が歩けば・牛が歩けば

 1154 文字

 ぷりっぷりっのお尻麗しい〜♡
 11月の中頃になると、朝、夕がとても暗くなって恨めしくなる。
 まだ9月だと言うのに11月頃の話しは書きたくないが、記憶は11月頃、ピリリと寒く良く晴れた朝、4時半頃牛舎の仕事が始まる。
 餌場の牧草の漬物{スタック}を寄せて、大きな横長のスコップの持ち手をお腹より少し下に押しあて、膝を曲げ腰に力を入れて押して行く。
 150メートル程あったと思う。
 そして一輪車にハイゴウ{穀物やデントコーンを細かくした食べ物}山盛り、ハイゴウをすくうこれまた   ?? スコップで寄せたスタックの上に振り掛けて行く。
 この作業はきつい、初めての人なら10メートル作業するだけで悲鳴を上げるだろう。
 身体の馴れとはいかに素晴らしいか、現在の私はせいぜい出来て50メートル程で、ヒーヒーハーハー暫く動けなくなる事だろう。
 そして徐ろにホイッスルをけたたましく鳴らす。
 放牧地に転々バラバラに散らばっている、我が子分共乳牛に準備出来たよ~、早くおいで〜とホイッスル鳴らす。
 餌を押す音を聞き付けて、若い牛達は既に来ていて陣地争い、急勾配の放牧地を見上げると、白み始めた空の中を黒い影の様になって、牛達が長い列を成して歩いて来ている。
 だが、半分以上は10~15歳位のお年を召していらっしゃる、人間なら60~80歳頃のお年頃、立ちたくない歩きたくないお婆ちゃん達が必ずいる。
 向かって歩いて来る牛達と逆に、急勾配の放牧地に迎えに歩き出す。
 薄暗い放牧地、窪みに黒い牛を見つける、名前を呼びお叱りすると、仕方がない起きるとするか〜の態度

「コスモ早く起きなさい、美味しい所全部食べられてしまうよ」

 あっちにもこっちにも黒い影がモソモソ立ち上がる、その度に名前を呼び「早く来なさい」と色んな言葉をかけながら、文句を言いながら一緒に歩いて餌場に向かう。
 手には懐中電灯、急な下り坂は寒さで牛が歩く道はトゲトゲで歩きづらい、自分達が歩く道さえ牛は嫌がる。
 馬が歩く道は平らになりパンパン、とても歩き安くなるが牛は違う。
 牛の蹄はふたつに別れて居る為、歩く道はジャガボコ、非常に歩きづらい、オマケに土は掘れて穴ぼこだらけになって行く。
 牛達は夜しっかりと目が見えているとばかり思っていた。
 数頭
の牛達が中々進んで行かない、年のせいかとばかり思い込んでいた。
 何気なく足元を照らしてやると、安心した様に歩き出したのには驚いた。
 はっきりとは見えていなかったのね~新発見、慌てて牛達の前に行き全体に足元を照らす、スムーズに全頭早く歩き出した。
 餌を食べている間に仔牛にミルクをね、ミルカー設置して、これから5時間位の朝の戦いが始まる 
 蹄の違いを書くつもりが流れ流れて、いや〜ん、搾乳は大変でした。


 
 



 

#エッセイ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?