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白👀クリーム色ね

 969 文字

 ガッタンゴットン、ボン、保温ボトルの小さな穴から、熱いコーヒーがぴょ〜ん、瞳の端にぴょ〜んを捉えて、嫌だわ~半分以上飲んだのに、ぴょ〜んと飛んで車のフレームにタラ〜と流れた痕跡見つめ、濃霧で視界が遮られている、ハンドル握り、後で拭かなければと思うも、年のせいか忘れてしまう。
  
 食べて美味しいタラの芽、天ぷらが特に美味しい、胡麻和えも私的には捨てがたい、春はふきのとうが出て蕗が食べごろを迎える頃に、タラの芽もスクスク育ち、食べごろを今か今かと待ちわびる、もうそろそろと思う頃に、なんらかの事情により採りに行けないでいると、可愛いタラの芽はぐんぐん成長してしまい、葉を万歳して30センチくらいまで成長してしまう。
 未だ柔らかいトゲが至る所にあるけど、一年に一度は自然の恵みをお与えくださいましと、すいません、採る時はそんな事思っていなかったです。
 柔らかいトゲとは言っても矢張り痛い、大きくなってしまったタラの芽も充分に美味しい、タラの木が枯れない様に3本の木から頂戴すると結構な量になる。
 そんな有難いタラの木は路肩にワンサカ生えていた数十年前、心ある方は木が枯れない様大事にタラの芽を採っていたが、殆どの方達はそんな事関係ない、タラの木を見つけると全部の芽を一つも残さず綺麗に採ってしまう。
 そして現在は殆どなくなってしまった。
 危険から免れたタラの木だけが花を咲かせ始めた、この花が咲き出すと秋の始まりを瞳が知らせて来る。
 
 己の持ち物を大事にするが、人の持ち物や、自然の持ち物には容赦しない、人という生き物、全ての物にはルールがあり知識が必要、私も勉強だわ。

 秋になると黒光りする1.5センチ位の種がビッシリと付、地面に落ちて次の年、芽を出すタラの木は数本あるといい方だろう、
 トゲトゲの小さな赤ちゃんタラの木、天辺に小さなタラの芽ひとつ、一本の木からふたつ、みっつ、と採れるまでは3回目の春を待たなければならない。
 タラの木の花が咲くと、良かったわ、今年も咲いている、伐採されないで今年も咲いているわと、人の土地のタラの花を見つめて安心、車は濃霧の中にガッタンゴットン、ぴよ~んに気を付けて走り込んでいくわよー。

 50キロ走って、たった7本しかなかったタラの木の芽は成長して、これがタラの木の花なんです。
 
 
 
 

#エッセイ

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