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魔女息子の俺に同行したいと言ってきた変な奴

【魔女息子の俺に同行したいと言ってきた変な奴】

「あんた一人か?」

路地裏に座り込んだ俺に話しかけてきた。

「そうだけど。誰お兄さん?」

俺は警戒心剥き出しに言った。

「実は俺も一人なんだ。仲間だな」

男は手を差し出してきた。

「馴れ馴れしいよ。俺は好きで一人になっているんだ」

俺は手を取らず冷たくあしらった。


「そうだ、名前を言ってなかったな。

 俺はランファンだ覚えたか」

男は俺の隣に座った。

「俺はグニスだ」

つい会話の流れで言ってしまった。

「そっかあんたがグニスか。

 魔女の息子だというグニス」

俺の名前を聞いて笑っていた。

「名前がそんなにおかしかったか。

 俺は気に入っているんだけどな…」

俺の名前のグニスは炎という意味があり、

誇らしい名前だと聞いていた。


「すまねぇ。誤解させてしまたようだな。

 名前ではなく、こんな路地裏に

 魔女の息子がいることに笑ったんだ」

男は今まで接してきた奴と何か違うと感じた。

「仕方ないだろ、家出してきたのだから」

俺はこの男には、何でも話せてしまうのではないかと思っていた。


「グニスは家出してどこに行きたいんだ?」

男は好奇心だけで聞いてきた。

「まだ決まっていない。適当に行く」

俺は無計画に魔法書にある土地へ行こうとしていた。

「なるほどな。その旅に俺もついて行っていいか?」

急に何を言い出すのかと思った。

「ダメだ。家出を見つかったら、

 お前が真っ先に疑われるのだぞ」

男を心配しつつ一人で旅をしようとしたかった。


「一文無しでどこにいこと言うんだ?」

俺はふと地面を確認した。

「盗ったのか?母からもらった巾着を」

俺は男を睨みつけた。

「たまたま尻の方へ手が回ってしまっただけだ。

 グニス勝負しないか?旅の同行を賭けて」

男は巾着が破けないよう、腰のポケットへ入れた。


「炎の精霊よ。我が怒りを邪悪なる者へ裁きを与えよ。

 炎の柱を・・・」

俺が魔法書を詠唱している時に男が、

不意に素早く懐に入ってきた。

「なっ!?危ないだろグニス。

 返すから路地裏でも目立つ魔法を放つな」

男に巾着を返され、不服な感じに魔法書を閉じた。


「もう今日は帰る。明日の早朝、草原で待っていろ。

 今度は詠唱終えて焼き尽くしてやる」

俺は帰りの道中、変な奴に出会ったなと微笑んでしまった。

そして家出の件は、母は全て見ていたそうだった。

どこにいても、巾着を通信にして見ていることを

知るのはまだまだ先のこと。




【最後に】

『魔女息子の俺に同行したいと言ってきた変な奴』を読んでいただき、ありがとうございます。

・これからも500~1000文字程度のすぐ読める空想物語を書いています。

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・古い空想物語から少しずつ『有料化』していきます。
まだあなたが読んでない空想物語がある場合お早めに読んでください。

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