見出し画像

パーム油発電の失敗を考える

8月16日の朝日新聞で、国内のパーム油発電所が止まったまま、再開の見通しが立っていないことが報じられていました。
記事をかいつまんで言うと、「ディーゼルエンジンを使えるバイオマス発電」として参入する業者が多かったが、不作やウクライナ侵攻で価格が高騰して採算が合わない、だから動かせないとのことでした。

私はこのパーム油発電には問題が多く、再生可能エネルギーの長所をことごとく消していると考えています。主な理由としては

1.パーム油は食料品としても使われるため、競合してしまうこと
2.日本で生産できないため、輸入に頼らざるを得ないこと
3.生産のために熱帯雨林を切り開かれ、本末転倒なこと
の3つです。

再生可能エネルギーの長所として、国内でエネルギーを生産できること、今まで利用されてこなかったものが利用できること、温室効果ガスを排出しないことなどが挙げられます。
例えば太陽光発電であれば、太陽の光は輸入せずに得られます。屋根の上や耕作放棄地など、利用されていなかった土地を利用することが出来ます。そして、温室効果ガスを排出しません。

バイオマス発電を行うのであれば、こうした利点を踏まえた設計にしなければなりません。
使用するものは国内産の木材や植物。元は建築などのために木が植えられたものの活用されていない山の木材や、耕作放棄地を利用した燃料の栽培が考えられます。

耕作放棄地であれば、元が使われていないので植えられるのが食料になるものでもあまり問題にはならないかもしれません。山林は一度人間が手を加えたならば、維持をしていく必要があります。
外国産の植物油に固定買い取り制度を導入するくらいなら、国内の田畑や山林の維持と電力を結び付け予算をつけた方がよほど合理的です。

国際情勢によるエネルギー価格の変動に巻き込まれにくくなりますし、輸入による外貨流出も防げ、第一次産業の活性化にもつながります。
化石燃料からの転換は、国内でのエネルギー自給への転換でもあるはずです。パーム油発電所の問題は、そこを見落としたがために起きたことではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?