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【感想】夜の描き方

画法の話かと思って読んだ。 そうだけど違っていた。 違っていたけど違っていなかった。 「地上の星」が聞こえた。 銀河交流電灯の瞬きが見えた。 この感動を伝えたいと思ったが、それを表すにはあまりにも自分の語彙は乏しかった。 だから、他の詩の力を借りた。 古来星天幾人描 古来星天 幾人か描ける(反語) 元は、有名な詩なので気づく人も多いだろう。 涼州詩 王翰 葡萄美酒夜光杯 葡萄の美酒 夜光の杯 欲飲琵琶馬上催 飲まんと欲すれば、琵琶 馬上やこうに催す 酔臥沙場君莫笑 酔

    • たいらと【ショートショート】

      「先にお飲み物お伺いしましょうか?」 「さ、先に? お飲み物? どうしたいつもの側女は」 「といっても、お茶しか無いんですけどね」 「んっ、冷たくて旨いな。どうしたんじゃ?これ」 「ふふふ、秘密です」 女は赤い唇で笑った。 「まぁよい。今度こそ源氏の阿呆共め、目にもの見せてくれるわ」 「まぁ勇ましいこと。ささ、どうぞもう一杯」 「これはかたじけない。おや? この茶は一杯目と違って温かいな?」 「三拝目はアツアツのお茶、いっきますよ〜」 「それ、別の武将の逸話ではないの

      • 三題噺 「わたしを芝浜につれていって(仮題)」【ショートショート】

        文章修行に薦められた「三題噺」を書いてみました。 三つのお題は由緒正しい「酔漢」「財布」「芝浜」です。 「芝浜? ・・・ああ、虎さんが産まれたところか」 「せんぱい、芝浜は葛飾にはないよ。港区だよ」 本樫はあきれ顔でそう言った。 「あと、『虎』じゃなくて『寅』だから」 (おまえ、これ映画になったらそのネタわかんなくなるぞ) 「大丈夫だよ、ならないから」 「モノローグにツッ込むんじゃねぇよ。エスパーかお前」 「えへへ」 「・・・それで、その栄養取りすぎた寅さんみた

        • ヒトリシズカ【ショートショート】【叙述トリック】

          みんなと別れて一人になると考える。 あの人が好き。でも恐らく私のこの想いはずっと伝わることはないだろう。 伝えたことはある。幾度となくある。でも私がこういうふうに想っているなんてあの人は思いもしないだろう。 あの人なんて言い方は変かもしれない。 私が心の中でこう呼んでいると知ったらみんなきっと驚くだろう。 あの人の優しい笑顔が好き。 あの人の少しハスキーな声が好き。 あの人の手が好き。白くてやわらかで、ずっとつないでいたい。 でも、手をつないだことはほとんどない。 毎週の

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