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家庭

「皿洗い、僕がやっておくよ」
「え?やってくれるの?いいのに、ありがとね」

わかってる。
"僕がやるしかない"
良いのは聞こえだけで、内面はもっと残酷だ。

やれば褒められる。いや、やらなかったとしても別に僕は怒られないのかも。
ただあの子が僕を責め立てるのは間違いない。

「ねぇ、やっておいたよ」
「当たり前だろ」

わかってる。
"あの子を殺してしまえばいい"
全てが解決する気がした。でも気づいてしまった。

家庭の崩壊こそがあの子の死だ。
でも僕もこの愛する家庭を壊したくない

だから今日も僕は皿を洗う。

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