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ひとり旅日記ギリシャとイタリアへ56日目:どうしても訪れたかった世界遺産、クレスピ・ダッダ

2018年2/26クレスピ・ダッダ

2.26事件。って、別に自分に事件が起きてたわけではないが。今日は自分が行ってみたい世界遺産リスト上位のクレスピ・ダッダへ。19Cにまだ社会保障や労働者の権利という概念があまり確立していなかった頃、紡績業で成功したクレスピさんが目指した理想郷。従業員の為に家を建ててあげて、学校も聖堂も娯楽施設もお墓もとまさにゆりかごから墓場までを実践したクレスピさん。ダッダは村という意味。

reception のお姉さんに行き方を教えてもらったのがどうしても信用できず(わざわざ紙に書いてくれた駅がネットで検索してもヒットしなかった)、自分でも調べてみると、とても親切なサイトが見つかったから、それで行ってみようと思う。

朝食後、メトロ乗車と行き着いた先のバス利用も見込んで、片道4.1ユーロの郊外チケットを買って、メトロ2に乗り込む。途中から地上を走り、終点ジェッサーテ駅着。バスの接続悪く、30分待ち。でもバスの運ちゃんは親切で、発車15分前にはバスに乗せてくれて、自分が降りて行きたい所をスマホで調べてくれた。発車してしばらくして、運ちゃんが「着いたよ。この先左に行くとあるよ!」と伊語で言ってくれた。ジェスチャーで理解できた。グラッチェ。

ここから先は、昨日見つけた親切な行き方を参考にしながら、世界遺産クレスピ・ダッダへ歩いて行く。途中、大きな館の脇の芝生のけっこうな坂を下ったが、帰りはここ上るんだよね…。澄んだ川にかかる歩行者とチャリンコ用の細い橋を渡り、クレスピ・ダッダまでの案内看板を頼りに進む。

お城みたいのが見えてきた。ここは経営者が住んでた所。隣は工場。いつでも駆けつけられる様に、工場の隣の住んでたのかな?今日は月曜日。インフォメーションは休館日。工場は2004年まで操業していた。この町のは元従業員の子孫たちが住んでいるとの事。

到着したのは12時前。静かな村だった。住宅地は古さを感じさせないし。通勤に便利だからかか知らないけど、工場に近い家ほど立派だったし、可愛いらしい建物だった。重役の家?世界遺産に住んでるって、いいなぁ。従業員の先祖から受け継いでる家だけど、家賃とか地代ってどうなってるんだろ?クレスピさんがいなくなっても住めるってことは買い取ったのかな?

工場の外観も可愛いくて、夢がある感じだった。自分の工場のイメージって、無機質な冷たい感じだけど、ここは違う。工場は1800年代終わりから1900年代始めにかけて拡大を続けて、1927年に最盛期を迎えて3600人の従業員が働いていたとの事。まだ行ったことないし、自分が行きたい世界遺産のランクには入ってない富岡製糸場もそうだけど、産業の一時代を担ったって、感じだよね。1本ずつの道をゆっくり歩いた。今日はイイ天気。

ねこさんたちにも会えた。一般従業員用らしきお宅は、一つの家が真ん中で分けられてるタイプの家。築100年くらいの家って、どうやって維持してるんだろう。庭に小さい小屋があるけど、厠なのかな?共同洗濯場もあった。流石に今はもう使ってないみたいだけど、各家庭の洗濯機なんてない時代はここは女性の社交場だったんだろうな。賑やかなだったであろう日々を想像しながら歩く。

世界遺産はただ見るだけじゃなく、想像しながら歩くから楽しい。高台で今日はサンドイッチランチ。米ランチはもうコリた。昨日ラーメンに投入した鶏ムネ肉の3枚のうちの1枚を納豆のタレとにんにくチップで漬け込んで焼いたのをサンド。これを作ってた時、独の女子たちがイイ匂い〜と言ってたらしい。AUSのキモ男が「しょうゆだね云々」ウンチク垂れてたが。ってか、自分は鼻詰まりで匂いわからなかったし。ってか、この鼻声いつ治るんだろう…。チキン、食べてみたら、悪くない味付けだった。

ランチ@世界遺産もう何か所目だろう…。と思いながら、観光客いないクレスピ・ダッダの町を見下ろす高台で、冬の米ランチは2度とやめようと強く思った。
さて、また来た道戻ろう。メトロ駅行きのバスが14時台にやたらあった。

そっか。学校帰りか!バス停に停まったバスはティーンエイジャーで大混雑。チケットの打刻ができない!気付いてくれた女の子に打刻してもらったら、自分のすぐ側の子が機械を塞いでたことに気付いて「ゴメンナサイ」と。笑えた。バスの運ちゃんのスマホが鳴った。着信音がかなりの懐メロで、え?と思ったのは自分だけではなかったらしく、隣に立ってた別の女の子と目が合って微笑みあった。バスは各駅停車。伊の学校はこの時間に終わるのか?夕方からまた学校あるの??よくわからん。

メトロ駅に着いた。宿に戻るには早過ぎるし。メトロのチケットもったいないし。美術館に行くか。今日は月曜。本命は休館日。もう一つは明日が休館日。決まり。ボルディ・ペッツオーリ美術館へ。ここの目玉の絵は日本にも来たハズ。この美術館は元貴族の館。第二次世界大戦で建物は被害を受けたが、復元されたとの事で、内装も見学しながら絵も鑑賞。なんとなく贅沢なひととき。目玉の横顔の女性の肖像画がちゃんと展示してあった。良かった。どっかに貸し出しではなくて。見終えた後、チケット売り場のお兄さんに、「去年だかいつだったか、横顔の女性の絵、日本に来ませんでした?」とたずねたら、「2年前に東京に行ったよ」との事だった。やっぱそうだったね。「彼女はチケットに使われてたよね?」と続けたら、「そう」と答えた。2年ぶりの再会か。日本に来てくれた絵を現地で観られるのは、やっぱり嬉しいと思った。

宿に戻る前に、駅のスーパーで冷凍mussels を買った。そこまで腹減ってないし。鍋にmussels 入れて、ひと煮立ちさせて、にんにくおろしたのをブッ込んだ。貝はあんまり火を通し過ぎると身が硬くなるしね。出汁がそこまで出なかったから、納豆のタレも投入。1階の夕食会場からルッコラをもってきて、それも投入。スープだね。

食後、明日どこに行くかを決めた。今日去ってしまったシェアメイトがくれたベルガモは世界遺産じゃないし(一部登録はされてるけど)、トリノ、ジェノバ。うーん。トリノは世界遺産だけど、サヴォイア家の宮殿巡りはなかなか難しそう。ジェノバ。そうだよ。世界遺産テキストのnew streetがある所だ。思い出した。ネットで検索してみると、イイ感じの町。ジェノバに決めた。電車は安いのだと、7:20am発か。OK。もう寝よう。0時近いのに、たぶん仏女子が声のトーンそのままで喋ってるから「静かにしてくれる?」と注意した。ナポリで出会った仏女子は特別だったのかな?


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