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空気を読むってなんやねん


 中学の野球部の顧問だったか、高校の数学教師だったか、バイト先の社員だったか、父親だったか、 

「お前は空気が読めるタイプだ」

何回かそう言われたことがある。
おそらく褒めてくれている。
そこにきっと悪気など1ミリもない。
定義が下記の通りであるならば、プラスにとれる褒め言葉と言っていいだろう。

【空気を読む】
その場の雰囲気を察すること、暗黙のうちに要求されていることを把握して履行すること、などを意味する表現。
Weblio辞書国語 実用日本語表現辞典

場の雰囲気を察することに長けている
求められたときに要求に応え、そうでないときは変に出しゃばらない

とでも言いたかったのだろうか。 
言われて抱く感想は人それぞれ違うだろうが、

私は全然嬉しくない。
なんならムカついたかな。
今でも結構腹が立つ。

なぜなら
「空気を読む」という抽象的な表現が「人の顔色を伺って、自己主張をしない型にハマった面白みのない人間」と言われているように聞こえてならないから。

自分でこう言っちゃ何だか、「空気を読む」が
上の定義通りなら、私は読める方なのかもしれない。
人が嫌がることや迷惑のかかる行動はしない。
人前で周りを仰天させるような言動もそんなにはとらない。ただ、心を許している人間の前では平気でボケるし、下ネタだって言う。こんなふうにその時々の人や場所で付き合い方は変える。   
黙れと言われれば黙るし、ずーっと喋るよりかは、ここぞを狙って喋るタイプだとも思う。
秘密事は外に漏らさない自信もある。
人に世話を焼くことだって嫌いじゃない。

自分がそういう人間なのは良くも悪くも理解している。しかし、長所であり短所でもあるその個性を、相手によって受け取り方が異なる「空気が読める」という表現で片付けられるのには納得がいかない。まるで周りから嫌われることを恐れた保守的な人間であると言われたかのようで嫌悪感しか抱かない。



そもそも別に空気なんか読んでいない。
空気を読んでこういう人間になった覚えもない。

私が大事にしてきたのは「想像」だ。

相手の気持ちや心情、
自分に何が求めらているか、
何をすればあの人は喜んで、
何をすれば傷ついてしまうのか。
自分の行動が相手にどう映るか。
謝ったときに理屈が立つ行動をとっているか。

こういうことは常に考えるようにしてきた。
想像力を働かせる、その上で、行動や言葉の選択の決定を下す。
これは今でもできるようになりたいと思っている。

考え方はシンプル。

誰かが悲しむ姿を想像するから、
当たり前に反社会的な行動はとらない。

誰かが喜ぶ姿を想像するから、
自分以外の仕事もこなせる。

逆に想像しないから、
      想像できないから、
当然相手のニーズには応えられない。
相手の話を聞こうともせず、自分の優位性を示そうとマウンティングをする。
平気で人も傷つける。思い込み、決めつけで物事を語る。
法だって犯す。

想像力の有無は、
その人自身、人間関係、人生など、全てにおいてを天国へも地獄へも左右し得る超重要な条件であると、年齢を重ねるたびに強く思う。

しかし、決して簡単じゃない。
相手の心情を常に想像しようと頑張ってはいるけれど、自分の欲が先行してしまうことだってあるし、配慮が足りず相手を傷つけてしまうことだってある。
悪気がなくとも、正直な気持ちや改善してほしい点をズケズケと言い過ぎて、彼女を泣かせてしまう。この過ちを何度繰り返したことか。
俺の想像力なんかまだまだ未熟すぎる。

ただ、
そんな反省と教訓からも、日頃から想像力を鍛えようとする意識は人一倍あって、努力はしている。
質はともかく、そこは揺るがない。

だから心外なんだ。
「お前は空気が読める」だなんて。

「想像」を「空気を読む」なんかと一緒にしてくれるな。
その場の空気?社会の雰囲気?
そんな不透明でふわふわしたものに目を向けていない。

こっちは一人ひとりの個人に、気持ちに目を向けている。

想像と空気に
正解が目に見えないという共通点はあるけれど、空気よりも、同じ人間である相手の心を思った方が何100倍も何1000倍も、正解に近いかつ
思いやりのある判断や選択が下せると思う。


そもそもなんなん空気を読むって。
「今はこの空気として読みとることが正しい!」なんて誰が決めてんの?
場の雰囲気の感じ方が一人ひとり違うのは当たり前。その足並みを揃えることなんかできるわけがない。
「空気を読みなさい」が、俺には一定の価値観や幸せの尺度を他人に押し付けているように思えてならない。


どうだろうか。
これを踏まえたあとだと、
冒頭で言った「お前は空気を読めるタイプだ」
が不快になってこない?笑
あの人たちは当時褒め言葉として言ってくれたんだろうけど、俺はムカついちゃうな。
空気が読めるタイプって。


勝手に読ますな。
空気は吸わせろ。




多数派にいるのは空気を読んだからじゃない。

“自分の意思で、想像力で、その選択をしたんだ”

そう解釈してほしいものだ。 

「空気を読む」 

俺がこの言葉を認め好きになる日は来ない。

最後に、これも言っておきたい。


「空気読めや」って言う奴はもっと嫌い‪‪︎︎︎︎ 





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