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#電光雑学シリーズ1 今話題の黄金樹とは? 元ネタを探してみました!(10秒で読める結論付き)

昨今、某ゲームで話題となった黄金樹。とはいえ、昔からこの「黄金樹」という名前はゲームやファンタジー小説で使われてきたと思います。では、名前はどこから来たのでしょうか。元ネタ、もとい一番初めに名詞としたものは何でしょうか。。

しかし、話を進める前に一つ謝罪をしておかなければなりません。お察しの通り、元ネタという言い方は半分釣りのようなものです。現状、原作者が元ネタが何かを明言していない限り、他の方が書いたものは考察の域を出ません。

なので、「初めて黄金樹を名乗ったものは何か」という点から調べていきたいとおもいます。

※この記事では某ゲームに関しては軽く触れるのみで考察は取り扱いません。創作物における一般名称としての「黄金樹」を取り扱います。ご了承の上、読み進めてください。

目次

1.三行でまとめました!(結論だけ見たい人向け)

 ・黄金樹とは「神話や伝説に登場しない創作された名詞である」。
 ・ヤドリギの枝の異名「金枝(Golden Bough)」が最も近いと思われる。
 ・調べた限りの初出は、明治・大正時代にとある木に付けられた異名。

三行にまとめると以上です。以下はこの三行に関してもう少し詳しく書いていきます。

2.色々な黄金樹と、そもそも黄金樹とは何?

さて、あなたの黄金樹はどこからでしょうか?

太陽のような輝きと暖かさをもつ、エルデンリングの黄金樹から?

画像引用:黄金樹 - エルデンリング 攻略wiki

長き時間と大きな広がりをもつ、Fate/Apocryphaのユグドミレニア?
(異名は黄金千界樹だったり色々あると思いますが本筋ではないので割愛します)

画像引用:【FGO】千年黄金樹の効果とステータス | AppMedia 

それとも、銀河英雄伝説のゴールデンバウム王朝? はたまたロードス島戦記の古代樹の異名?

筆者はモンスターコレクションTCG(大昔にあったカードゲーム)です。
こちらは黄金樹の勇者という黄金の装備を身に纏った守護者が関係しますが、本体はそもそも植物ですらありません。

画像引用:[極稀] : ゴールデン・バウム(モンスターコレクション) - 駿河屋

 竜王バハムートがまき散らした金色の粒子が、再び光を放ち始める。それらははじめは蛍のごとき儚い輝きだったが、そのひとつひとつが繋がり、連鎖してゆき、よりまばゆい光となってゆく。
「お、黄金樹とは、普通に生えるものではなかったのだ……元素(エレメント)のバランスが崩れ、そしてそれを世界そのものが修復しようとするときに現れる、現象だったのじゃな……」

原案: 安田 均 、著:北沢 慶(1999)『モンスター・コレクション・ノベル―黄金樹の守護者』
 富士見ファンタジア文庫 p.280

色々な黄金樹がありますが、そもそも黄金樹とは何でしょうか。意外にも神話や伝説でそのままの名前では登場しない、創作された植物です。筆者は、最初にゴールデンバウムに出会ってからずっと神話に登場するものだと思っていました。上記カードゲームは神話や伝説に出てくるものが非常に多く、更にユグドラシル(世界樹)のマイナーチェンジ的な性能のカードだったのも理由のです。

3.黄金樹の元ネタについて

では、様々な創作物で登場する黄金樹という名前の元ネタは何でしょうか。
モデルとして近いものとしては、先ほど話題にした世界樹が候補に挙がると思います。

ユグドラシル[1](古ノルド語: Yggdrasill, [ˈyɡːˌdrasilː][注 1])は、北欧神話に登場する1本の架空の木。ユッグドラシル、イグドラシルとも表記する[3]。
世界を体現する巨大な木であり、アースガルズ、ミズガルズ、ヨトゥンヘイム、ヘルヘイムなどの九つの世界を内包する存在とされる。そのような本質を捉えて英語では "World tree"、日本語では、世界樹(せかいじゅ)[注 2]、宇宙樹(うちゅうじゅ)と呼ばれる。

ユグドラシル - Wikipedia

ですが、名前として近いのは金枝(Golden Bough)をもつヤドリギになります。ヤドリギ自体は聖なる樹と呼ばれているため、黄金樹の名前は出てきません。

イタリアのネミの村には、ネミの湖と呼ばれる聖なる湖と、切り立った崖の真下にあるアリキアの木立とよばれる聖なる木立があり、木立には聖なる樹(ヤドリギ)が生えていた。この樹の枝(金枝)は誰も折ってはならないとされていたが、例外的に逃亡奴隷だけは折る事が許されていた。

金枝篇 - Wikipedia

ではどこに出てくる名前なのでしょうか?

創作物なので、国語辞典にも載っていません。図書館で数種類確認しましたが全く載っていませんでした。黄金週間(ゴールデンウィーク)は載っているのに……。
検索しても数多の創作物に埋もれて捜索は困難を極めました(特に黄金樹という育毛剤が行く手を阻みました)が、多重の除外検索の結果とあるネット辞書にたどり着きました。

おうごん‐じゅ ワウゴン‥【黄金樹】
〘名〙 (黄金にも比すべき価値があるとして、日本で名づけたものという) 植物「はなきささげ(花木豇豆)」の異名。

黄金樹とは - コトバンク

ありました!!! 花木豇豆(花木大角豆)という木だそうです!!!
ようやく一番知りたかった情報にたどり着きました!!!

4.どんな木?

画像引用:花木大角豆(ハナキササゲ) - 季節の花

花木大角豆(ハナキササゲ)はノウゼンカズラ科キササゲ属の落葉高木である。
原産地は北アメリカである。
湿った森林、沢地、川辺などに生える。
明治・大正時代に「黄金樹」の名で大量に輸入されたが、現存するものは少ないという。
樹高は15~30メートルくらいである。
葉は大きな三角形状の幅広い卵円形で、向かい合って生える(対生)。
葉の形は桐(キリ)に似ている。
開花時期は5~7月である。

花木大角豆(ハナキササゲ) - 季節の花

上記サイトによると、現存するものは少ないとのこと。せっかくなので本物を見たいのですが、どこに植えられているのでしょうか。
上記サイトによると「小石川植物園」という場所に植えられているようです。

 日本庭園の池の辺に生えるハナキササゲ(花木大角豆;ノウゼンカズラ科キササゲ属)の大樹。満開になっていて木全体が白い花で覆われていました。
(画像省略)
 白黄色のふわふわとふちが縮れたような花には紺や黄色のスジが入っていて独特な文様です。やがて秋になると、ササゲ(大角豆)に似た細長い果実を付けます。

緑豊かな小石川植物園、大樹ハナキササゲが満開 - 団塊人の散歩道

他にも、東村山市北山公園や、東京都薬用植物園で見ることができるそうです。基本的には都内のみみたいです。
更に、木目が美しいという理由で、高級な家具やオーディオ・テレビの外装にも使われているようです。もしかしたら、自宅にある方もいらっしゃるかもしれませんね。

あまり知らない木の話をしても飽きてしまうので、最後に同じノウゼンカズラ科の植物に、アメリカキササゲというものを少し紹介します。

【アメリカキササゲとは】
・北アメリカを原産とする落葉広葉樹。中国を原産とするキササゲの仲間で、日本に来たのは明治時代。新宿御苑に植えられたのが始めで、今では各地の学校や公園等に広く使われる。

庭木図鑑 植木ペディア > アメリカキササゲ

なんと、仲間の木が全国あちこちに生えているようです。黄金樹の仲間だと思うと、身近な木への見方が少し変わるかもしれません。

5.余談+最後に

余談ですが、調べた中で「黄金の木」というフィリピンの伝説も見つけました。ざっくり言うと、純金に変換するオレンジの果実をつける木をもらうという話です。ですが、やはり黄金樹は大樹であると私は考えるので、候補からは外しました。

最後に、今回は筆者の勘違いをスタートに、黄金樹という名前がどこで発生したのか調べてみました。長い間、黄金樹についての神話があると思い込んでいたので、とてもいい勉強になりました。

また何か調べたら、個人的な備忘録としてもまとめていきたいと思います。


6.関連資料集

キササゲとは?名前の由来や、樹木の特徴、生薬としての効果をご紹介!

GKZ植物事典・ハナキササゲ

ハナキササゲ | Catalpa speciosa | かぎけん花図鑑

ハナキササゲ(花木大角豆) - FC2

樹木の花 総覧(科属名の分類順)

Aboc - アボック社 -ユリノキという木(岩手緑化研究会発行:研究論文)

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