日本でいちばん大切にしたい会社
今回は坂本光司さんの「日本でいちばん大切にしたい会社」という本の一部で紹介された、「日本理化学工業株式会社」のお話の感想を書こうと思います。
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「日本理化学工業株式会社」は、昭和12年(1937年)に設立された、主にダストレスチョーク(粉の飛ばないチョーク)を製造している会社です。この会社はなんと、従業員のうち、およそ70%以上が知的障害を持った方々で占められています。
そのきっかけは、会社を設立してから22年後のある日、近くにある養護学校の先生が、障がいを持つ2人の少女を採用してほしいと依頼してきたことでした。社長である大山さんは、何度も断りましたが、何度もお願いしてくる先生の姿に心を打たれ、「一週間だけなら…」と職業体験をさせてあげたところ、一生懸命に働く彼女たちの姿が社員の心を動かし、正社員として採用することが決まりました。こうして、日本理化学工業株式会社は、障がいのある方々が一生懸命働くことができる場となる素晴らしい会社になりました。
しかし、現在も障がい者に対する偏見はまだまだ残っています。この本を読み、働くことの意味や、障がいを持つ人々やその家族の思いを知り、本当に良い会社とはどのような会社なのか、私たちがすべきことは何かについて考えさせられました。
未だに消えない障がい者への差別や偏見
企業には、障がい者の法定雇用率を達成することが義務づけられており、現在は2.3%となっています。しかし、47都道府県の達成企業は、わずか42%となっているそうです。達成しない企業には、納付金を徴収されるにもかかわらず、障がい者を雇おうとしないのです。これは、障がい者を雇うよりも納付金を払う方がマシだという考えのあらわれなのです。
また、ある会社では最初に障がい者を雇った時に、ある社員が、「俺たちまでおかしく見られるよ」という発言があったという内容のように、障がい者への差別的な発言は未だにちらほら耳にします。たとえ法で定められても、障がい者に対する差別や偏見はなかなか消えないため、これから私たちがこの社会を変えていくべきだと思いました。
「働く」ことの大切さ
大山さんは始め、なぜ障がいを持つ人々は働こうとするのか、施設でゆっくり過ごしていた方が幸せなのではないかと考えていたそうです。私もこの本を読むまで、障がい者の方々は、どのような目的をもって働いているのだろうと感じていました。しかし、あるお坊さんは「幸福とは①人に愛されること②人に褒められること③人の役に立つこと④人に必要とされることであり、②➂④の幸福は施設では得られない、働くことによって得られるのだ」と教えてくれたとありました。これを見て、私の「働く」という事に対する考えが一瞬で変わりました。働くことで、人の役に立っていることを実感し、認めてもらうことで、自分が存在する意味を見つけ出し、生きることの目的をみつけることができるのです。つまり、障がいのある人々は、生活をするうえで必要なお金を稼ぐために働いているのではなく、生きるうえでの幸福を得ようとしていたのです。
障がい者、健常者に関わらず、私たちは、働くことで得られる「お金」が真の目的ではなく、働くことで得られる「幸福」が目的なのであることに気づかされました。
家族の思い
この本を読んで一番感動した部分があります。それは、障がいを持つ65歳ほどの女性の働きぶりについての記事を載せた時、それを読んだ90歳ぐらいであろう母親が感激をして手紙を書いてきた。という話です。何歳になっても子を思う親の気持ちや、今まで育て見守ってきた子供が社会の役に立っているということを知れたことに感動しました。障がいを持つ人々の家族も、人々の役に立ち、生きる喜びを感じてほしいと願っていると思います。私たちは、その家族の願いもかなえるべく、障がいを持つ人々が生き生きと活躍できる場を作っていくべきであると感じました。
わたしたちにできること
これからわたしたちにできることは、障がい者への差別や偏見をなくし理解を深めること、障がい者が活躍できるような働く場を作っていくことでると思いました。障がいがある人もそうでない人も、働くことを通じて互いを認め合えるような社会にしていくべきだと思いました。
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