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フランス発の異色刑事ドラマにハマっています~「アストリッドとラファエル」

 同じ生年月日を持つ自閉症の女性とやり手刑事の女性がコンビを組み、難解な殺人事件を解決する「アストリッドとラファエル 文書係の事件簿(原題:Astrid et Raphaëlle)」をワクワクして見ています。フランス産の刑事もので、NHKで深夜に放送されますので、NHK+の見逃し配信で楽しんでいます。

 主人公のアストリッドは母方の遺伝で自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害)で、“臨機応変な対人関係が苦手で、自分の関心・やり方・ペースの維持を最優先させたいという本能的志向が強いこと”を特徴とする発達障害”(Meical Note;自閉症スペクトラムより引用)を患っています。解答のないあいまいな人間関係が苦手で、逆に解答のあるパズルが好きです。また「想定内」で予定どうりの行動はとることができますが、そこから一歩踏み外すと、固まって行動不能や拒絶反応を示します。論理的な思考や会話以外は理解できません。警察官の父親(故人)の勧めで、人との関りがほとんどない犯罪資料局の文書係になります。犯罪資料の整理や検索といった、極めて単純なことを淡々をこなす仕事です。ラファエルはシングル・マザーで、猪突猛進型の殺人課の刑事です。

 アストリッドは犯罪資料室に保管されているあまたの資料に目を通す機会に恵まれ、それらをすべて記憶しているので、殺人現場を見るだけで過去に起きた殺人事件との類似性や共通点、殺人の方法まで判断できます。特に死因は、法医学者が舌を巻くほど正確で、警察が見落としてしまうようなどんな些細なことも見落としません。ラファエルはアストリッドのよき理解者となり、えてして成り立たない彼女とのコミュニケーションを根気よく続け、事件の解決に導きます。

 ここまでは日本のドラマでもありそうな平凡なストーリーですが、このドラマはちょっと違うようです。自閉症を患うマイノリティーが友人やその仲間と交わり、時には自らも勇気をふるって情報交換に加わる(「社会力向上クラブ」における自閉症者どうしの機会は別として)など、自閉症者の社会参入と健常者の理解がメイン・テーマであるようです。フランスの国家理念?である「自由・平等・友愛」が、なんら構えることなく自然に物語の根底に流れている様に見受けられます。硬い氷が少しづつ溶けるように。ラファエルの友情と本人に努力で、アストリッドが普通の社会に順応できるようになっていく過程が楽しみです。

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