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そのアトで

とっても好きだった子がへそピを開けてた
その子は子供っぽくて。
でもやさしくて ピュアで つよい女の子だったと思う。でも時々、難しい顔をして遠くを眺めてた。
そんなことを思い出して、彼女の下腹部に突き刺したニードルから滴った血液のことを想像してみる。たぶんそれはぬるかった。
きっとそれは淋しかった。
居場所のない不安や苦しみは痛みを欲しがる。
僕は彼女を知らなかった。
彼女の白く薄い肉に突き刺さる鉄は携帯のフラッシュを反射し、鈍い光を放っていた。
それはけっこう綺麗だった。
その夜、僕は初めてコデインを流した。
少なくとも、その夜オピエイドは俺を許した。

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