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詩/いざない

もっそりと茂る森(むい)
幾重にも重なる常緑樹の奥に
異界へつながる闇が口をあける。
感覚のすべてが、闇に呼応する。
気を抜くと吸い込まれてしまうから
僕は必死に目を背け
闇の前を通り過ぎるのだが、
どこまでも、闇は
僕のうしろ姿を見つめているのだ。


詩集「この上なく美しきもの』(2008年)より
初公開作品
©︎2024九竜なな也

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