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【観聴(みるきく)】わたしが あんであげる

こんにちは。おおかみの人です。

今回のトップ画像は、今日本屋さんで買ってきた絵本です。




今回の【みるきく】で取り上げる作品は…

わたしが あんであげる

です。

『ねないこだれだ』や『めがねうさぎ』シリーズが有名な、せなけいこさんの絵本です。
先日『めがねうさぎ』にひとめぼれして、購入したのと、それ以前に古本屋さんで『おおかみのでんわ』を(物語に登場するおおかみが好きなので)購入したりもしました。どちらもせなさんの作品です。

今日は編み物の本を探しに本屋に行って、そのついでに「何かおもしろそうな絵本はないかな〜」と、絵本コーナーを物色していたところ、この『わたしが あんであげる』を、運命的に見つけてしまったのでした。

背表紙を見つけたわたしは、思わず

わたしにぴったり!!

と呟いてしまいました。

そして本と本の間から引っ張り出して、試し読みしてみると…

「やっぱりこれ、わたしのための本だ!!

と確信。
というのも、この絵本の中で登場するのはかぎ針編みだからです。

わたしは基本的に、かぎ針編みが専門で、棒針編みはほとんど経験がありません。
ガーター編みやメリヤス編みでコースターやマフラーなどシンプルなものなら作れるかもしれませんが、いつもかぎ針編みであみぐるみを編むように、自由に作品を作るということはできません。
それに、シンプルな編み方は覚えているとは言っても、初心者なのでなかなか目を揃えてキレイに編むことができないのです。
慣れれば簡単かもしれないのですが、棒針編みはなかなか手が出ず、おまけにかぎ針編みでなんでも作ってしまうのでその結果今でも棒針編みは下手くそなままです。

そして、編み物に関連したグッズをよく検索したり、編み物がモチーフになった文具(?)など、見かけるとついつい買ったりしてしまうのですが、だいたいそういうグッズでは、毛糸玉の隣に描かれているのは、端に玉の付いた長い2本の棒針なのです。かぎ針をモチーフに使ったグッズは、今のところ見かけたことがありません。
かぎ針編みヤー(??)としては、寂しい限りです。が…

この絵本の中で、主人公のるるちゃんのお母さんは、

ええ いいわ
かぎばりあみなら
やさしいから
すぐ できるわよ

せなけいこ『わたしが あんであげる』より

と言って、かぎ針編みを教えてくれるのです!!

物語の開始時点で、わたしのテンションはMAX。
かぎ針編みがテーマになった絵本なんて、きっと日本中探してもこれ以外にないんじゃないだろうか??
そう思って、迷わず購入することを決めました。

鎖編みや細編み、長編みなど、見覚えも馴染みもある編み方が並んでいて、ほっこり。

るるちゃんは初めてのかぎ針編みで、いびつながらも四角い編み地を1枚編むことができてとっても嬉しそうです。
わたしも、初めてかぎ針編みで輪編みの長編みのまあるいコースターを作ったときは、嬉しかったなあ…。

編み物をお母さんに習ったるるちゃんのところに、寒くて風邪を引きそうだと、りすが1ぴきやってきます。
るるちゃんは、自分が編んだ編み地にボタンを2つ縫い付けて、即席のセーターにしてりすにプレゼントします。

わたし
もりの どうぶつたち
みんなに セーター
あんであげる

せなけいこ『わたしが あんであげる』より

と言って、るるちゃんはりすと、赤いくまのぬいぐるみのくまこちゃんと一緒に森に出かけます。

森の仲間にセーターを編んであげるるるちゃんでしたが、とうとう糸が足りなくなって、くまこちゃんのセーターが編めなくなって…?

とってもほっこりするお話でした。


せなけいこさんといえば、独特のちぎり絵の技法で作られた可愛らしくあたたかい雰囲気の絵が特徴だし、こうして編み物の絵本も出されているくらいだから、きっと手先がとても器用でなんでも編み物でささっと作っちゃうんだろうな…と思っていたのですが、どうやらそうではないようです。

帯に書かれていたせなさんご自身の話によると、

…私は裁縫、手芸が苦手でして、小学校5年で学校で習うまでは、針なんぞ触ったこともありませんでした。
…冬に娘が編み物に熱中して、親が苦手だというのに教えてくれとせがむのです。仕方なく、編み物の本を頼りに教えてやりながら、私も久しぶりにかぎ針でやさしいものを編んでみました。

せなけいこ『わたしが あんであげる』帯より抜粋

こうして、編み物が苦手なせなさんは、マフラーくらいなら安心して「わたしが あんであげる!」と言えるくらいまで上達したのだとか。

やっぱり、必要に迫られると人間なんでもできるようになるものだなあ、と思いました。
今まで苦手で避けていた棒針編みも、もしかするともっと練習すれば上手に…とまではいかなくても、ある程度は編めるようになるかもしれません。うまくいけば、もしかしたら、かぎ針編みで編んでいるみたいに自由になんでも作れるようになるのかも。
食わず嫌いをやめて、なんでもトライしてみることが大事だなあ…と思いました。

そして、
せなさんは、ちぎり絵で素敵な絵を描くことが上手。でも、編み物はちょっぴり苦手。
わたしは、かぎ針編みでなんでも作るのが(どちらかといえば)得意。でも、絵を描くのは、どちらかというと苦手です。

誰しも得手不得手がありますが、「これが得意ならきっとあれも得意なんだろう」というのは、意外とあてにならないと言うことがよくわかります。
絵を描くのが得意で手先が器用だから、編み物も得意かと言われればせなさんはその限りではないし、わたしも編み物が多少できるから、デザインするのが得意で絵を描くのが上手か、と言われれば、そんなことはありません。特に編み物に関しては、同じ作業を延々と繰り返すことが苦手な人は、どれだけ絵を描いたりデザインする力があったとしても、編み物はきっと向いてないんだろうな、と思います。

得意なこと、苦手なことを通して、その人がどんな人かを知ることってとても楽しいな、と思いました。
得意なことだけじゃなくて、苦手なことを知ることも大切ですね。

最近は、特に発達障害と診断される人が増えてきていて、「得意なことを伸ばしていこう」という話もよく聞きます。
確かに、その人の得意なことを伸ばしていくことは大切だと思います。それがきっと自己肯定感に繋がって、その人の人生をプラスに導いていってくれると思うからです。

でも、得意なことを伸ばすことには限界もあります。それに、ずっと得意なことひとつに集中してそれをやり続けるというのも、考えもの、というか…なかなか難しいと思います。

苦手なことにも目を向ける。というより、程度によると、もしかすると「目を向けざるを得ない」に近いかもしれないけれど、とにかく、苦手なことを知っておく。これは結構大事なんじゃないかなあ、と、最近思っています。
せなさんの「編み物は苦手」のエピソードで、さらにそれを実感しました。

苦手なことって、確かにマイナスになることはたくさんあると思います。
例えばわたしの場合には、「片付けができない」という苦手ポイントがあります。
ほんとうに片付けが苦手で、常にリビングには使いさしの毛糸玉やら裁縫箱の中身やら、毎日のイラストに使う道具なんかが散乱している状態で、見る影もないような有り様です。
毎週訪看さんが訪ねてくるので、そのために片付けようとも思いましたが、だんだんそれもしんどくなってやめてしまいました。
整理整頓ができなくて、買ったはずのものを見つけられなくて、同じものを買ってくる…なんてこともしばしば。

じゃあ、苦手なことから生まれてくるマイナスを、一体どう扱ったらいいのか?
これには、未だに答えが出せていません。
でも何もできないかと言われると、それは違うと思います。

せなさんが、娘さんにせがまれて編み物を覚えたように、苦手なことにもトライして、上手なやり方を覚えていくのもいいでしょう。
逆に、苦手なことから上手に距離をとってみることもできますし、うまくいけば、自分の持っている他の能力を使って、苦手なことの埋め合わせをすることもできるかもしれません。
たとえば、わたしは棒針編みが苦手ですが、かぎ針編みで棒針編み風に編む方法を模索中です。

それから、片付けに関して言えば、その苦手な状況の芽を摘むためにできることもあるかと思います。
不要なものは買わない、とか、出したものは出した場所に返す練習をする、とか…。
まあ、自分でもなかなかできてないので難しいなとは思っていますが、諦めずに続けることも大事かな、と思います。

そして、苦手なことにうまく対処できたら、それはもうはなまるまんてん💮💯
苦手なことにエネルギーを使った分、自分をゆっくりいたわって休み、そして充電がたまってきたな〜と思ったら、また得意なことや好きなことをやり始めればよいのです。

苦手なことも、生きていれば避けて通れないこともあります。
わたしは、それでくしゅん…と自分が小さくなってしまっても、それでいいんじゃないかな、と思います。
苦手に遭遇すると、世界のすべてが自分の苦手で溢れていて、自分に生きる場所なんてないんじゃないか…と、わたしにはそう思ってしまう癖があるのですが…

得意がその人のすべてではないように、
苦手もその人のすべてではない。

今苦手な場面に遭遇しているからと言って、それがずっと続くわけじゃないし、もしかしたら今は苦手に思っているかもしれないけれど、そんなに苦手じゃなくなる日が来るかもしれません。

苦手なことと向き合う勇気とか、気力を持つことも大切なのかな、と思いました。もちろん、自分が元気で、少し負荷のかかることでもできそうなくらい体力があるとき限定ですが。

わたしも、ようやく体調が戻ってきたので、苦手なことと向き合わなきゃな、と思っています。


やっぱり今回【わたしが あんであげる】を買って読んでみて、自分の得意なことが既に絵本の作品になって存在していることを知って、と〜っても嬉しい気持ちになりました。
得意や苦手について考えるきっかけにもなったし。

個人的には、表紙にも出てくるくまのぬいぐるみのくまこちゃんがとってもかわいくて好きなので、この子を作ってみたいし、セーターも作って着せてみたいな〜と思います🐻


思ったことや考えたことまで綴ったらやたら長い記事になりましたが、今回はこれでおしまいです。
ここまで読んで頂きありがとうございます。

次回は未定です。
編み物の作業が少しでも進んだら、そのことについて書くのもいいかなあ、と思っています。

次回もお楽しみに。それでは。

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