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デキる営業マンはなぜモテるのか

デキる営業マンはモテる。

そのことに気づいたのは、外資系金融機関の営業マンになってからのことだった。

ここでいう「モテる」とは、男女問わず様々な年齢層の人々にモテる、いわゆる人気がある、ということでもあるが、一般的な意味合いでの異性にモテる、ということでもある。

既婚者になってしまうと、異性にモテるというのは必ずしも嬉しいことでもないのかもしれないが、とはいえモテたくないという人もいないと思う。

男女ともに、デキるなあと思う営業マンはたいてい異性にも同性にもモテていた。

今日はその理由について私の推察をお話したいのだが、その前に、かつて私が検証したもう一つの現象をご紹介しよう。

私は以前航空自衛官だったことがある。
航空自衛隊全体に占める女性の割合は3%だ。

女性が少ないからだろう、と当時の私は思っていたのだが、どういうわけか私はモテた。
だって、3%しか女性がいないのだから、必然的に可愛くなくてもモテるだろうと私は理解していた。

しかしある時、仲良くしていた女性の後輩が、ずっと彼氏がいないということに気が付いた。
その子は顔がとても可愛くて、事実、人気があった。
私の周りの男性でもその子を可愛いと言っている人はたくさんいたし、他部隊からのそんな声も聞いていて、基地内での人気はかなりのものだったと思う。

付け加えると、私の知る限りは性格もいい子だった。
なので複数の男性から告白されていると聞いたこともある。

それなのに、たまに会うといつも「先輩、彼氏欲しいですー」と言ってくるのだ。

この私には彼氏がいつもいるのに、なぜにこの子にはずっといないのか?

不思議でたまらなくなった私は、検証しよう! と思い立ち、安易な手段ではあるが、合コンを開催することにした。
とても可愛いその子Aちゃんと、A ちゃんほどではないけど普通に可愛くて性格もよいBちゃんと私。

男性陣は、自衛官ではない友達に声をかけ、3人集まってもらった。

当時私は30代前半、他の5人は全員20代後半。
私には彼氏がいたので、もう一人女性を連れていければよかったのだが、ちょうどよい子がいなくてその3人の布陣になったのだったと思う。

私の立ち位置としては、盛り上げ役兼引き立て役だ。

男性陣を集めてセッティングまでする、面倒見のよい先輩なわけだが、私の裏の目的としては、なぜ彼女たちが可愛いのにモテないのかを検証するという、超個人的な関心の謎を解くことである。

開始からものの30分で、私にはその理由がわかった。

さて、なんだったと思われるだろうか。

言ってしまえば身も蓋もない話だが、要は彼女たちは、コミュニケーション力が低かったのだ。
合コンの場での、と付け加えたほうがいいのかもしれないが、合コン以外でもデートには誘われていたはずなので、いわゆる職場外での男性とのコミュニケーションが苦手だったのかもしれない。

加えて彼女たちが不幸だったことは、顔が可愛いがゆえに、特に自衛隊という男性社会にあってちやほやされてしまったということだ。
当時の自衛隊は宴会が非常に多かったが、20代で可愛い女性自衛官は、おじ様からも若い隊員からも宴会の席で大事に扱われていたことだろう。
自分が盛り上げようする必要はないし、気が利かなくても怒られはしない。

努力しなくても「付き合ってください」と言ってくる男性隊員はいる。
サラリーマンでもないので、コミュニケーションスキルを磨こうなんて思ったこともなかったのだろうと思う。

それゆえに、本人たちに悪気はないし、気づいてすらいないのだが、合コン中、傍で見ていた私からすると、そこ! 今! もったいない! という場面が何度もあった。

案の定、一番元気な男子がAちゃんに猛烈アプローチをかけていたが、そこのやりとりがちぐはぐなのだ。

2時間経って帰る時には、私だけ男性陣と方向が同じだったこともありいろいろ質問してみたのだが、なんだが男性陣は異様に消耗していた。そして盛り上げ役に徹していた私が、「ななさんが一番よかったっすわ」と言われてしまっていた。

そうなるよなー。と正直思ったわけなのだが。

その時私は改めて、顔が可愛ければモテるわけでもないんだな、と思った。
いや、ある程度人気者になってちやほやはされるが、本人が望んでいる幸せとは別物なんだな、とちょっと感慨深く思ったりしたものだ。

そんな経験があったので、営業マンになって、デキる営業マンがモテるのを目の当たりにした時、そりゃあ当然だよなと思った。

ご想像がつくと思うが、デキる営業マン、つまり成果を上げている営業マンというのは、コミュニケーション能力が非常に高い人たちだからだ。

デキる営業マンはものを売らない。
自分を売っている、と言ってもいいが、それすら売りつけるのではなく、相手に喜んでもらうことを考え、その結果感謝されて選ばれている人たちだ。

当然、顔の造作うんぬんではなく、思いやりがあって面白くて、相手の話をたくさん聞いて、相手を喜ばせるからモテるのだ。
本物のデキる営業マンで、モテない人を私は見たことがない。
男女問わず、本当の意味でデキる営業マンはもれなくモテる。

残念ながら、逆もしかり、とはならない。

モテる人が必ずしもデキる営業マンになるわけではないが、コミュニケーション力の高さでモテている人なら、十分素養はあるだろう。

後輩たちを合コンに連れて行った後、気づいたことがある。

私は、自衛隊という女性の少ない組織にいるからたまたまモテているだけだろうと思っていたのだが、どうやらそうでもなかったということだ。
なんだかんだ、仕事で困っても助けてもらえたり、目をかけてもらえたりしていたのは、ざっくり言ってしまえば、自分のコミュニケーションのたまものだったということかもしれない。

自分にはコミュニケーション力がある、なんて思ったことはなかったが、おそらくこれは、私に授けられた強みなのだろうと理解した。

「可愛くないのにモテる」を武器にして、恋愛セミナーまでやったりしたものだ。私がやるから説得力があるというもの。

その後期せずしてフルコミッションの営業マンになった私は、おかげ様でチャンピオンになったり、ヘッドハンティングされるまでの業績を上げたりした。

モテる人もデキる営業マンになることがある、の一例かもしれない。

コミュニケーション力を上げたい人、そしてモテたい人は、下手なセミナーを受けるより、デキる営業マンに弟子入りしてみるのもありではないだろうか。

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