「詩織さんは最初から警察に強姦致傷を訴えていた」説について

伊藤詩織さんは実は、「Black Box」に書いてある「朝5時の強姦致傷」については事件当初、警察に言っていなかった。
これは山口敬之さんの一審での代理人・北口雅章弁護士が早くから指摘していたことです。
しかし、なぜかマスコミは取り上げなかったし、世間にも知られませんでした。

それどころか、詩織支持派は、「いや、詩織さんは最初から警察に強姦致傷について申告していたのだ。準強姦として処理されたのは、あくまでも警察の都合だ」という反論を堂々と展開していました。

今回はこの「詩織さんは最初から警察に強姦致傷を訴えていた」説について考えてみたいと思います。

その前に過去に書いた、私の「強姦致傷不存在」説について。

「Black Box」P51の強姦致傷の描写は致命的失敗
紅而note
2020/07/04
https://note.com/774weco/n/nb7ee59bf7ecf
「Black Box」が嘘だと分かる13の視点&警視庁情報
紅而note
2020/07/18
https://note.com/774weco/n/nc5789ba77371

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1. 告訴状と「Black Box」が物語る詩織さんの嘘

それで、「詩織さんは最初から警察に強姦致傷を訴えていた」説についてですが、この説は複数の詩織支持派の方が唱えています。

内容はおおむね、次のとおりです。

・詩織さんは当初から警察に「Black Box」に書かれているような強姦致傷の被害も隠さず申告していた。
・強姦致傷罪での捜査が行われなかったのは、整形外科医に詩織さんが膝のケガの受傷日を3月31日と申告してしまったからだ。これで警察は強姦致傷罪を諦めた。
・詩織さんは5月6日に山口敬之さんに送ったメールで膝や体のケガについて言及している。これは強姦致傷があったことの証拠だ。

結論から言ってしまえば、告訴状の記載を読めば、詩織さんが当初は準強姦のみを主張していたことが明らかです。

性被害者を侮辱した「伊藤詩織」の正体 【後編】|小川榮太郎
2019年11月20日
https://hanada-plus.jp/articles/231
『他方その間、4月30日、高輪署は山口氏に対する刑事告訴状を受理した。
 
告訴状は短いものなので全文を引く。

被告(山口)は伊藤詩織(25)を酒に酔わせて姦淫しようと企て、東京都渋谷区恵比寿の飲食店「鮨の喜一」で同女に飲酒を勧め、同女を酔いのため意識不明の状態に陥れて抗拒不能にさせた上、平成27年4月3日午後11:30から4月4日午前05:30頃までの間、東京都港区のシェラトン都ホテル233号室に連れ込み、意識不明の同女のパンティーなどを脱がし全裸にした上で、同女の体の上に覆いかぶさるなどして同女を姦淫したものである。』

ちなみに詩織さんは告訴状提出に先立って弁護士に相談しています。
強姦致傷の被害について話したのなら、弁護士の回答およびこれに基づいて書かれたであろう告訴状にその点が反映されたはずです。

「Black Box」P89
『セクハラで退社した友人Rが、弁護士などに相談できる「法テラス」について教えてくれたので、無料相談をしてみることにした。
 四月二十三日、弁護士と面会した。ここでもまた一から事件の説明だった。それまでやりとりしたメールも見せた。
 初めて弁護士に相談し、いくつかの問題点を整理することができた。ここで教えてもらったのは、

・準強姦事件の証明に必要な争点は二点。性交したか。合意の上かどうか。』

準強姦のことしか言っていませんね。

そもそも「Black Box」には、警察に強姦致傷の被害を申告したなんてことは全く書いてありません。
捜査員や検事も、強姦致傷には一言も触れていません。

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2. 整形外科のカルテの記述

詩織さんは当時は準強姦被害しか訴えていなかったとしか考えられないのですが、もう少し詩織支持派の方々に付き合ってみましょう。

詩織さんは4月6日に整形外科を受診しました。膝をケガした日についてカルテには3月31日と記載されています。(※ 事件があったのは4月4日)
詩織支持派の方々はこれをもって「当時の詩織さんはレイプ被害によるパニック状態だったから、医者に誤った日付を答えてしまった。この誤った日付のために、警察は強姦致傷の捜査を断念した」としています。

常識的に考えて、詩織さんがヒザのケガの受傷日を3月31日と答えていたなら、現実にその日にケガをしたのではないですか。
つまり、ヒザのケガは山口さんとは全く関係ないということです。

詩織支持派の方々の共通した傾向は、詩織さんが嘘をついていないことを前提にして理屈を組み立てていることです。
が、詩織さんは現にアチコチで嘘をついているのですから、この前提は成立しません。

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3. 強姦致傷罪、強姦未遂罪

仮に百万歩ゆずって、無能すぎる高輪署の捜査員が「彼女はレイプされて大怪我をしたのに、整形外科のカルテの日付が違うから、強姦致傷の線では捜査できない。残念」と考えたことにしましょう。

しかし、強姦致傷と思われる被害はもうひとつあるのです。
「Black Box」のP49以降に描かれているレイプ被害を時系列にまとめると次のようになります。

1)朝5時ごろに、詩織さんが意識不明状態から突如覚醒したらレイプされている最中だった。
2)トイレに逃げ込んで鏡を見たら、『体のところどころが赤くなり、血も滲んで傷ついた自分の姿が映っていた』(P50)
3)ベッドに引きずり戻され、『抵抗できないほどの強い力で体と頭をベッドに押さえつけられ、再び犯されそうになった』(P51)
4)加害者が強引に詩織さんの脚をこじ開けようとしたために、膝を大怪我した。

実は2)についても強姦致傷罪が成立する可能性が濃厚なのです。
詩織さんが、本当に「Black Box」に書かれたようなレイプ被害を高輪署に訴えていたら、2)が強姦致傷に問えるかどうか捜査員は検討したはずです。
しかし、「Black Box」にはそんな記述はありません。

詩織さんも彼女の弁護士も2)の出来事については今もって全く言及しません。
逮捕が中止になった(けれど捜査は継続された)ことよりも、強姦致傷の申告が警察・検察に無視されたことのほうが重大ですけどね。

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そして、3)の時点で強姦罪の実行行為である「反抗が著しく困難な暴行」が開始されています。
何らかの理由で強姦致傷での立件を警察が諦めたと仮定しても、強姦罪の実行行為の着手がある以上、未遂罪を問うことは可能なのです。

もちろん、詩織さんが「Black Box」に書かれているレイプ被害を警察に申告していれば、の話ですが。

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さらに百万歩ゆずって、強姦致傷罪も強姦未遂罪も追及できないような特殊な事情があったと仮定しても、3)は暴行罪、4)は傷害罪に該当します。

というわけで、警察・検察および詩織さんが当時相談した弁護士が準強姦罪についてのみ論じているということは、彼女が「Black Box」に書いた内容を当時は申告していなかったことを強く推測させるのです。

もしも詩織さんが申告していたとしたら、高輪署も警視庁も検察も強姦致傷罪あるいは強姦未遂あるいは暴行罪で立件できた事件を、立証が難しい準強姦罪のみで処理したことになります。
詩織さん及び彼女の弁護士たちが今もって、警察のしくじりについて何ら声を上げないのは、あり得ない怠慢です。

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4. 5月6日のメールに書かれた膝のケガ

詩織支持派の方々は、詩織さんが山口さんに出したメールの内容をもって、彼女が当初から強姦致傷を主張していた根拠としています。

「Black Box」P108-109
『あの夜、山口さんに意識がないまま強制的に性行為を行われ、肉体的にも精神的にも傷つけられました。
あの後、膣は数日間痛み、乳首はかなり傷つきシャワーを当てられないほどでした。膝の関節もずれ今日までサポーターをつけています。そして信頼をしていた山口さんにこの様なことをされ、ショックで夜も眠れず仕事に出れなくなったりしていますが、今後の自分の将来も考え、必死にこのことに蓋をしてきました。でも、現在、生理が大幅に遅れ、妊娠という可能性が大きくなり、現実的な対処に早急に向き合わなければいけない今、山口さんからの誠心誠意のある謝罪、仕事、妊娠に対しての対応を早急にしていただかなければ、もう精神的にも限界で周りに助けを求めざる終えません。(中略)
全ての内容に返答を願います。今までのようにメールの内容を無視、否定をされるのはもう限界です。」S 2015-05-06 22:28

詩織さんのメールの中で、膝や乳首のケガについて言及したのは、5月6日のこれだけですね。
4月6日から始まった、山口さんに宛てたメールの中身は、準強姦と妊娠についてのものばかりでした。

詩織さんのメールは、謝罪の言葉および犯罪行為についての言質を山口さんから引き出すことが目的でした。
だとしたら、早い時期から膝のケガと体につけられた傷やアザについて言及するはずですけどね。

「Black Box」P77-78
『山口氏にメールは書き続けた。警察に行っていると、さとられたくなかったのだ。文面は、前述のように友人たちが考えてくれたが、彼女らは、今はなるべく下手に出て、謝罪の言葉を引き出すべきだ、と言った。』

「Black Box」P83
『被害届が受理されると、捜査が始まる。警察が山口氏から話を聞く前に、メールで事実関係を認めさせたい、と私たちは考えた。今まではまだ、山口氏はメールに仕事の話しか書いていない。また、海外にいる山口氏に警察がいつ聴取を行えるのか、わからなかった。時間が経ったら忘れた、と言うかもしれない。』

では、告訴状を出して数日たってから、これまで言及しなかった、膝等のケガについてメールで触れたのは何故でしょうか。
あくまでも推測ですが、詩織さんの予想に反して、警察がまったく喰い付いてこないので、何か新しい材料を探す必要性に迫られたのではないですか。

「Black Box」P116
『なぜ、新しい局面のたびに捜査姿勢が後退してしまうのか。A氏と話しながら、とうとう涙が出た。』

「Black Box」P118
『それなのになぜ、警察はこんなに捜査に消極的なのか。』

詩織さんが当初申告していたのが、時間不詳の準強姦で、しかも証拠が無かったのなら、消極的な警察の態度も仕方ないでしょう。

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ちなみに、膝等のケガについての5月6日の詩織さんのメールに対して、山口さんはこのように回答しています。

「Black Box」P110
『事実認識についても、冷静になって下さい。例えばあなたの膝が痛いのは私のせいですか?あなたは寿司屋のトイレで鍵をかけたまま寝込んでいて、外から鍵を開けた店員さんに助けられたのを覚えていますか?店員さんによれば、便器から崩れ落ちて不自然な形で寝込んでいたという事ですから、その時に痛めたのではありませんか?もし私があなたの膝を痛めるような事をしたと主張するのであれば、どういう局面だったか説明して下さい。いろいろな意味で、まずは冷静になって欲しいと思います。』

これに対して、詩織さんは何ら有効な反論をしていません。
おそらく、この時点ではまだ詩織さんは「Black Box」で書いた壮絶な強姦致傷のストーリーを考えついていなかったのでしょう。

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5. 秘密録音の音声データの公開を願う

私の推測が間違いならば、詩織さん、どうかアナタがブラジャーに隠して秘密録音した警察との会話を公開してください。

2年分の録音データすべてを公開するのが無理なら、該当部分だけを文字起こししてネット上で発表するという方法もあるではないですか。

P70
『私は何のために、この仕事につきたいと願ってきたのか。自分の中で真実と向き合えないのであれば、私にこの仕事をする資格はないだろう、と思った。』

P151
『しかし、私が一番求めているのは、「真実がどうだったか」なのだ。お金でも時間でも、曲げることのできない真実だ。』

このように、「Black Box」の中では大層な見得を切ってらっしゃるじゃないですか。
ならば真実が収録しているであろう音声データを是非とも供覧に付していただきたい。

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