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七草日記

絵やマンガなどの創作物、WEB記事やTwitterに書ききれなかったこと。あとは映画やいろいろな作品について、ネタバレを含むのでTwitterなどに書けないことなどを書いていきた… もっと読む
絵やイラスト、身の回りのプライベートなこと、それからむやみにネットで拡散したくない作品への苦言など… もっと詳しく
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記事一覧

父が死ぬ前に読んでいた漫画の話

何度か書こうとして書きあぐねて大晦日になってしまったのだけど、やはり今年のうちに書いておこうと思う。『週刊文春cinema!』に書いた通り、父が死んだ。『恋人はアンバー』を映画館で見ている最中に容体が急変して、映画を見終わって携帯の連絡に気がつき、病院に駆けつけた時にはもう亡くなっていた。それはいい。父はずっと難病を抱えていたし、その最後はその病気について想像していたよりもずっとマシな、安らかなものだった。おそらくはもっと悲惨で壮絶な最後になることが予期されていたのだけど、そ

『クローズアップ現代』の新海誠監督特集に取材協力してわかった、放送で使われない99%の圧倒的な下準備の話

12月12日放送『クローズアップ現代 “物語”にできることを探して 新海誠監督と東日本大震災』に取材協力という形で関わりました。本来なら放送直後くらいに書いておくべきだったのだけど、週刊文春cinema!の『私の映画日記』でも書いたように父が亡くなったあとの色々な後始末、それからまた別に書きますがある理由で体調を崩したことなどもあり、年末ギリギリの報告になってしまいました。 以前にお声かけいただき2秒くらい出演したことのある『クローズアップ現代』のディレクターさんから取材協

対話型AI『ChatGPT』は『検索できない若者たち』を救うか?その奇妙な間違え方が引き起こすブラックスワン

毎日毎日、いろんなAIの話で持ちきりだ。多分僕たちは人類の歴史にそれぞれ一回だけ起きる、なかったものが登場して世界が変わっていく瞬間にいるのだろう。 今日の話題は対話型AIだ。 何を聞いてもちゃんと答える、プログラムの書き方を聞いたらコードを書いてくれる、など、その性能の高さにみんな驚いている。 同じ日に「検索が苦手な若者」の話題がバズっていた。 2つのツイートを読むとなんとなくわかると思うけど、Googleで検索して情報を見つけるというのは意外に高度な情報作業である。

クリスタがAI画像生成を基本機能に盛り込むことについて思うこと

こういうニュースがありました。 クリスタにも話題の画像生成AIが来ると。まあ無料公開されてるものを組み込んだだけとは言え、今までやり方知らなかった絵師、興味なかった絵師には「AIが勝手に向こうからやってくる」構図になります。 で、気になるのはここ。 利用規約が書いてあるんだけど、 この部分ですね 要するに、画像生成aiを機能として組み込むけど、それを使用して訴えられても責任は取らないと。これ、普通の人はまず読まない所に、読んでも分かりにくく書いてあるけど、かなり大事なこ

『新聞記者』と『エルピス』はどこがどう違うのかという話

まず、文春オンラインで『エルピス』について書いた記事が公開されました。こちらになります。 この記事が出た後、昨夜放送された『エルピス』第6話の視聴率は5.5%。苦戦していると思います。視聴率がすべてではないのはもちろんですが、脚本の渡辺あやさんや佐野亜裕美プロデューサーが「視聴率なんか気にしてません」というスタンスなのかと言うと違うと思う。記事でも書きましたが、「数字を取りたい、多くの人に見てほしい」「民放地上波テレビという場で発言権を得るには数字を取るしかない」と思いなが

劇場版ONEPIECE FILM REDで描かれる、ジャンプとディズニーの思想の激突

もう言われているのか、言われていないのかわからないけど、劇場版ONEPIECE FILM REDに登場するウタという少女は、明らかに『ディズニー的思想』のもとに世界を統合しようとする。彼女は海賊という男の子文化、その戦争と略奪に傷ついた世界中の弱者を代弁し、暴力が完全に排除された世界をバーチャル空間に作り出し、すべての人類の魂をそこに繋ごうとする。そしてそれはもちろん、ある種のファシズムなのだ。 上の世代は、なんとなく尾田栄一郎という作家を理由もなくバカにしてきたところがある

高円寺フェスで『茨城県北ブース』に行ってきた話

山本夜羽音先生のミサ以来に高円寺に行ってきたのだ。お目当ては茨城県北高校ブース。 知らない人もいるかと思うが、茨城県の公式YouTubeチャンネルでドラマを作っており、そのクオリティがとても高くて話題になっているのだ。 以前、こういう記事を書いた。 上記の記事に詳しく書いたのだけど、このチャンネルは茨城県が県のお金で番組を作り、コンテンツも茨城県が権利を所有するNetflix方式で運営している。これはけっこう、面白いベンチャーだと思う。 朝ドラや大河から新海誠アニメまで、

のたんぷ-NOT AMP-なな緩解のリーディング4本立て▲「霧香白夜-むこうびゃくや-」B鑑賞

久しぶりに演劇を見てきました。ツイッターやトピアでも活動している宮本晴樹さん、過去に朗読劇を配信で見たことがあったのですが、今回は舞台での生観劇。 AとBの2チームに分かれ、その中でもさらに2本の物語が並演されるという、2x2=4の構成で、僕が見たのはB公演の方でした。 B公演の一幕、『白痴は気付かない』を演じたのは宮本晴樹さん、糸巻こまきさん、志村茜さん、花房律希さん。公演前にSNSから募集した台詞をアドリブで盛り込んでいくといった趣向もあり、SF的、実験的な演目でした。

先月、noteクリエイターサポートプログラムに申し込んでみた話(現時点で結果未判明)

ダメかもしれんので、どこでも言ってなかったのだけど、先月末が締め切りの第一回noteクリエイターサポートプログラムに申し込んでみました。これまで文字原稿などは商業媒体や月額マガジンなどで書いてきたのですが、映像や動画の制作などもやってみたくなったので。ツイッターなどは文字のメディアですが、YoutubeやTikTokなどは映像と音声がないと見てくれないところもあります。 お薦めしたい、世の中に知られていない作品があり、ツイッターや記事ではそれなりに読んで頂けたりもするのですが

『女は自宅で洗濯ばさみで髪を止めない』とトレンド炎上したイラストの漫画『生徒会にも穴はある!』を購入して読んでみたら、そういう人ではなかった話、というかすごく優れたマンガだった話

発端は、講談社で連載中の漫画『生徒会にも穴はある!』公式のこのツイートであった。 このイラストに対して、「女は自宅でブラジャーの後ろだけ外したりしない」という主張をする人たちが現れ、それに対して「いや私はするけど?」「おかんがよくやってる」などの反論が出た。やがて論点は「女は自宅で洗濯ばさみで髪なんか止めない。女のことをわかっていない」「そもそも洗濯ばさみでポニーテールの髪は止まらない」「いや止める、止まる」という論点に移った。 健全な社会人の皆さんは「バカじゃねえの」と

細田守アニメを批判するSNSと、SNSを批判する細田守アニメ『竜とそばかすの姫』

細田守アニメが放送されるたびに、SNSでは批判やツッコミがあふれる。人後に落ちず細田アニメには突っ込んできた方だと思う。まあサマーウォーズの大家族に対する批判みたいなのについては「まあ田舎は田舎らしく描かなきゃしょうがないだろ」という擁護派だったが、『おおかみこども』のシングルマザー無双、ろくにバイトもやったことがない女子大生があっさり死んだ狼男の子ども2人を農業で育て上げる、というストーリーにはいくらファンタジーとは言え無茶だと思わざるをえなかった。「狼のおしっこの臭いで害

AI論争と漫画文化の行方について思うこと

数日前に公開されたmidjourney、そしてstable diffusion、さらに日本ソフトのmimicが出て、かなりの議論になっている。 実際にAIがどれほどイラストレーター市場を脅かすかはまだ未知数だし、そもそもイラストレーター市場はよく言われるように常に荒波に襲われている。無料のいらすとやが多くの市場を奪った話などは有名だし。 ただなんというか、非常にここ数日心が暗くなったのは、AI技術の台頭そのものというより、その台頭の尻馬にのったような言説のえげつなさという

ツイッターで炎上した、樹村みのり先生の漫画が収録された『女性学・男性学ージェンダー論入門 第3版』を購入して全部読んでみたら微妙に印象が違った話

まずは発端となったこのツイートから。 まあ、ここだけ読むと非常に表現規制的だし、キャンセルカルチャー的であります。ヌードポスターを破り捨てる男の子のモノローグ「お母さんが見たら泣くよ…」というフレーズも非常に家父長的で抑圧的であり、もうネットのダメフェミニズムの見本みたいに見えてしまう。樹村みのり先生もネットに影響されてこんな漫画を描くようになってしまったのか…という反応がツイッターに溢れたのもまあわかる。 しかし本当だろうか?と思って引用元の書籍を購入してみたら、微妙に

故・安倍元総理と映画『ゴッドファーザー』のこと

7月最後の日だから書いておこうと思う。亡くなった安倍晋三という人について思うことである。 事件のあと、こういう記事が出ていた。 「主人は、映画監督になるのが夢なんですよ。DVDを見ながら、『おれだったら、こう撮るのにな』とか『このセリフはいらない』なんて言ってますよ(笑い)。だから、総理大臣を辞めて、議員も辞めた後は、映画監督に……」(女性セブン2014年5月8・15日号) 実は、この映画についての話というのは、何度か出ている。 安倍元首相(2013年10月 高松宮殿下