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サラリーマンはサンクコストを恐れない

今日はサラリーマンのキャリア開発とサンクコストについて書いてみたいと思います。

サンクコストって何?

サンクコストって、聞いたことありますか?
コストなので経費や費用に関連することなのかなーっていうのは想像がつくと思いますが、デジタル大辞泉の定義ではこのようになっています。

すでに支出され、どのような意思決定をしても回収できない費用のこと。埋没費用。(デジタル大辞泉)

英語表記は sunk costs です。sunkは形容詞で「沈んだ」を意味します(動詞は「沈む」を意味するsink)。
つまり、沈んだコスト=回収できない費用、というわけですね。

サンクコストの例

サンクコストの例としては、このようなものが挙げられます。
 ・セミナー開催費用として50万円投入したのに、台風でセミナー開催が中止になってしまった。
 ・設備を100万円で導入したものの、耐用年数を待たずに壊れてしまった。 
 ・新規事業に1,000万円を投入したものの、黒字に転換することなく赤字のまま撤退した。

身近な生活の例でいうと、
 ・体調を崩して飲み会を欠席したため、キャンセル料を支払った。
 ・予備用に買っておいた年賀状を購入しておいたものの、結局使わなかった。
 ・コンサートのために地方から上京したものの、沢田研二が当日ドタキャンした(懐かしい)。
などが挙げれられます。

どれも、想定していたとおりに物事がうまく運ばず、費用を回収できるだけの売上やサービスを得られなかったものです。
これがサンクコストです。

サンクコストはネガティブなこと?

サンクコストを別の言葉で表現するならば、「うわ、やってもうた...」とか「めっちゃもったいない...」とか「買わなければよかった…」とか「生きているのがツラい…」などになるでしょうか笑
回収不可能なわけですから、そう思うのも仕方ないことです。

とはいえ、新しいことに挑戦するのにリスクはつきものですし、経費をかけないと売上も利益も出すことはできませんから、サンクコストを必要経費としてみなせるかどうかがポイントになってきます。

つまり、重要なことはサンクコストを避けることではなく、資金とリスクをコントロールすることです

・失敗しても致命的なダメージを受けないレベルで投資する(資金管理)
・あらかじめ撤退の基準を決めておき、実際にうまくいかなかったらルール通りに撤退する(リスク管理)

この2つが最も大事です。

資金管理とリスク管理ができていないと、立ち直れないほどのダメージを受けてしまいます。冗談抜きで死ぬほどしんどくなります。金銭的だけでなく精神的にもダメージが大きいです

借金までして大量にCDを買ったのに、握手会当日になって、推しメンが体調不良で欠席ですとかアナウンスされたら、立ち直れないじゃないですか。そういうことです(知らんけど)。

サンクコストあるある

サンクコストでよくあるのが 「ここまで資金を投入しておいて、もう後には引けるかッ!」という考え方です。

誰もがこういう体験をしたことがあるのではないでしょうか?
UFOキャッチャーで1,000円つぎ込んでも景品が取れず、「ここで止めようか、いや、止めたら1,000円が無駄になる。次で取れるかもしれないし......」みたいな笑

上述のセミナーの例でいうと、「広報や会場手配に50万円も払ったんだから、もう後には引けないいいいッ!台風の進路が逸れることを信じて、セミナーを開催するぞ!!!!」のような考え方ですね。

台風が上陸せずにセミナーを無事開催できれば良いのですが、逆に台風が直撃してセミナー来場者が会場から帰宅できなくなってしまったという状況に陥ってしまった場合、中止するよりも事態は悪化してしまいます(コストが増大するだけでなく、最悪、信用まで失う)。

台風が逸れることに期待するなんて、もはやギャンブル以外の何物でもありません

事業はギャンブルではありません。そういう意味でも資金とリスクはきちんと管理しておくことが必要です。

でも、人間は不思議なもので、コストが膨らめば膨らむほど引くに引けなくなります。客観的にみれば「どう考えても撤退ライン超えてるやろ!撤退、撤退いいいッ!」というところでも、いざ自分がその立場になると「張らせてもらうぜっ・・・!限界を超えてっ・・・!」とか思っちゃうんですね笑

そういう人は破滅型ギャンブラーですので、資金管理とリスク管理をより強く意識して、ルール遵守を徹底しましょう。

なお、先ほどのセミナーの例でいうと、当日は中止にし(リスク管理)、予算が許せば日程を変更して後日開催するのが妥当な判断かなと思います(資金管理)。
開催費を回収することはできませんし追加の支出もありますが、新たに募集すること無く申込者を引き継げるという点では悪くないかなと。
もちろん資金的にこれ以上支出できないとなれば、後日開催はせず、完全に中止にしてしまう判断もあると思います(追加支出できるようにしておくのが本来の資金管理ではありますが)。

サラリーマンにとってのサンクコスト

で、資金管理とかリスク管理とかって考えると、サラリーマンって起業家に比べて恵まれているように感じるんですよねー。そもそも経営者ほど資金とリスクを考えなくていい立場ですし。

失敗したら降格人事や減給もありうるのでリスクがゼロというわけではありませんが、最終的な責任は会社がとってくれますし、大きな金額を動かす経験って個人では普通、できないじゃないですか

また、ほぼノーリスクでサンクコストを自身の知識や経験に取り込めるので、ラーナビリティを発揮できる貴重な機会になりますし、エンプロアイアビリティの獲得にもつながるので良いことづくめです

ということで、サンクコストは自分の成長のための投資でもあるとサラリーマンは捉えたら良いんじゃないかと思います。

最後に

要は、サンクコストは捉え方なんですね。
サンクコストを必要経費として今後に活かせば将来の利益に変わりますし、活かさなければコストのままです。

京セラ創業者の稲盛和夫さんが「成功するまでやめなければ失敗ではない」とおっしゃってましたが、それに近いものがあるのではないかと思います。


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