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名残りのあまおうタルト

ケーキ屋さんに行って、ショーウィンドウの前に立ち、まず一番に心奪われるのはどのケーキだろうか。人によって違うのでみなさんに聞いてみたい。王道のいちごショートかしら。シックにガトーショコラの人もいるだろう。チーズケーキも外せない。はたまたプリンやシュークリームに目が行く人もいるかもしれない。

みなさんに振っといてなんだが、私のnoteなので自分の話をします。この手法を俺の話を聞け法と言います。とにもかくにも私はというと、ケーキ屋さんに行くとどうしても、いちごのタルトを探してしまう。


いちごにときめく

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好きな果物のランキングでいつも王冠を勝ち取っている、それがいちごである。ランキングの上位を見ると、桃や梨など旬が限られているものが多い気がする。たしかにいちごも冬から春にかけてしかスーパーに並ばないので、レア感がある。しかしその裏腹に、ジャムやヨーグルト、市販のお菓子も「いちご味」というものは欠かせない存在になっている。旬のいちごは加工され、いつでも我々の生活の中にある。子ども時代なんて、歯磨き粉にまで侵略してくるものだから、いちごは美味しいということが幼少期から刷り込まれている。まあ実際美味いんだが(苦手な人ももちろんいるだろうが)。

また、品種が多いのも魅力の一つだ。味わいの違いが素人目ならぬ素人口にもわかる。私の住む県でも様々な品種が栽培されているので、スーパーでどの品種を買うか吟味するのもまた楽しみのひとつである。

とある土曜日

いちごの旬も終わりに近づく四月中旬、土曜出勤を終えた身体でスーパーへ行く。無意識にこれは今週労働したご褒美だからいいんだと言い聞かせてカゴへ突っ込んだのがこの子たちだ。

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圧倒的王者感。

この赤みの強さというか、鮮やかさというか。他の追随を許さない雰囲気を醸し出している。全くもって可愛い果物ではない。てか表示ちゃんと見てなかったけど、あまおうって商標登録してあるんだ。紅まどんなと一緒じゃん。ゆえにいつも一パック698円なんかで売ってるわけだが、終わりがけの時期らしく398円になっていた。こんなに美しいのに。

そういや3月にも、週末小麦粉活動をしているancoちゃんがお誕生日ケーキをつくる時あまおう二パック買いしてたなあ。わたしゃ誕生日でもなんでもねえのに二パック買いました。


あまおうタルトを作る

前述した通り、ケーキ屋さんやカフェのデザートメニューで真っ先にいちごタルトに目が奪われる私だが、「あまおうのカスタードタルト」とか「紅ほっぺのチーズタルト」とか見ると、もう字面だけでごちそうさまでしたッッ!!となってしまう。産地とか品種が書いてあるメニュー、愛を感じるので好き。ということで、お馴染み週末小麦粉活動。あまおうタルトを作ります。


パート・シュクレを仕込む

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決まったら前夜、生地を仕込む。フープロ研究を進めたいところだが、夜10時だったのでフープロを回そうもんならど叱られること間違いなしだからやめといた。手動でちゃっちゃか作る。

ちなみに粉はエクリチュールを使い切りドルチェに戻った。でも結局エクリチュールもポチったのでまた粉との対峙が始まるのだろうな……。

レシピはクックパッドで絶大なる信頼を置いているnyontaさんのもの。クックパッドで最近お見かけする回数が減って寂しかったのだが、ここんところ製菓通販のcottaのHPでアカウントを見つけ、飛び上がるほど喜んだのはまた別の話である。


タルトリングに視線を送るうさぎたち🐇

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タルトの型離れがよくなるよう、うさちゃんを配置。個人的なおまじないなのでお気にせず。


カスタードを炊く

今回迷った末アーモンドクリームは詰めずに、その分カスタードをたっぷり詰めたタルトにしようと思う。レシピはこちら。もはや写真すら撮ってねえ。こちらはものの5分で作れるので、タルトを焼いてる間に炊いて冷やしておく。


あまおうに心の中で話しかける

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この工程は暇ならお好みでやってくれ。「かわいいね」「美味しそうだね」そんな風に心の中で声をかける。しかし返ってくるのは「あったり前だろうが」と言わんばかりの輝き。ウッッッ、眩しい、、、。さすが果物の王様、いや、王女様だ。自己肯定感が強すぎる。

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半分にカットしておく。あまおうって断面も鮮やかなのがいいよね〜。断面萌えだぜ。旬真っ盛りだとデカいサイズばかりなので、今くらいが製菓にはちょうどよいな。


さてと

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仕上げにとりかかろう。粉糖でタルトのふちにさらっと雪化粧しとく。

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ちなみに、左が百均、右は無印の。粉糖は細かめの茶漉しの方がきれいに仕上がるので無印がお気に入り。製菓用品って百均でいいものとあかんものがあるよね。元百均店員として色々紹介したいところだが、それはまた気が向いたらやろう。

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ナパージュは少し色付けする。赤色がなかったからピンクで。少し色がついたナパージュをかけると隙間から見えるカスタードが隠れて綺麗に仕上がるので。

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山盛りのフォルムにしたいのでいちごのお立ち台を作る。みちはバブル崩壊してから生まれました。いわゆるゆとりです。

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カスタードを絞る。ぐるぐるぐるぐるグルコサミン♪あのCMってなんか歌っちゃうよね。あとタルトのカスタード絞るたびに守口漬けを思い出すな。愛知県民ならみんな知ってる、とぐろをまいたあの狂気的な粕漬けだ。


あまおうON!🍓🍓🍓

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真ん中からあまおうをつめつめ。密ですね。最高のぎゅむぎゅむだ〜い。上からすかさず、隙間を埋めるようにナパージュをぬりぬりして、冷蔵庫へ。1.2時間置くとナパージュが落ち着いて固まってくる。

いちごっていつもちょうどよく組み立てるのが難しいな。大きさ見ながらうまいことやらんとぴったり入らんくない?


完成

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やっぱりいちごは白いお皿が映えるねえ。おまじないのうさちゃんも乗せちゃお。

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おすわりうさちゃん、ちょっと焦げたけどそれもまたかわいいね。きっと夏毛のうさぎに違いない。


至福のティータイム

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見てくださいこの断面。あまおうならではの鮮やかさ。あとやっぱりカスタード単体にして正解だったな。いちごとカスタードの組み合わせを世界で一番最初に思いついた人に、ノーベル平和賞を授けたい。

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日曜昼過ぎ、あまおうタルトがワンホール家にある、この事実だけで笑顔が溢れてしまう。単純明快でよろしい。

4人家族なのになぜ4等分ではないのか。答えはただひとつ。弟はいちごが苦手なのである。果物の王女様と言えど、やはり食べ物ってのは苦手な人は苦手なんだなあ。同じように育ったはずなのに不思議だ。

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そしてやっぱりタルトって切るのむつかしいわあ。


走り、旬、名残り

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この言葉を知ったのは、たまたま仕事で行った和食の講習会だった。それから料理家の土井善治先生がTwitterで「はしり」という言葉を使っていて、なんとなく心に残っていた。日常の会話では、走りと名残りはあまり使われないから。

走りは丁寧に扱われてる初物だとか、名残りはあっさりとした味になってきてるとか。旬の味って変化を楽しむものなんだなと今では自分なりに解釈している。

終わりがけは美味しくないと言うんじゃなく、名残りの味だねえ、と感じていけたらいいね。



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