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静かで新しい、瀬戸内の夕暮れ
屋島(香川県高松市)に新しくできた施設「やしまーる」は、緩やかな曲線が1周するガラス張りの回廊。根津美術館のようにガラスの向こうが林だったり、作品を飾っていない豊島美術館のようだったり、どこかで見たような風景を想起させる回廊でした。
「やしまーる」は斬新さに欠けるものの、トリエンナーレの瀬戸内国際芸術祭の関連施設の一つ。かつては観光名所で賑わった屋島に、雑誌がこぞって掲載しそうな建物ができたのです。
設計について
「SUOは18年の屋島山上拠点施設基本設計国際プロポーザルで、藤本壮介氏や石上純也氏らに競り勝ち、最優秀者に選ばれた。妹島和世建築設計事務所およびSANAA出身である周防氏は…」
SANAAは新香川県立体育館(現在建築中)を設計し、豊島美術館は建築家・西沢立衛(SANAAという表記はされない)とアーティスト・内藤礼による作品。香川県でないけれど岡山県の犬島は建築家・妹島和世(SANAAという表記はされない)とアーティスティックディレクター・長谷川祐子による集落プロジェクトがあります。
瀬戸芸の関連施設として、現代アートの建築物。
総工費が気になるところ。
当初6億円ほどと見込まれた建物の建設費は、パノラマ絵画の制作の追加や新型コロナによる工期の延長、それに天然記念物に指定された岩盤を避けるための工事などで最終的におよそ13億円となり、そのほかの経費を含めた総事業費もおよそ16億円に膨れ上がりました。
静かな夕暮れ。聴こえるのはセミと鳥の声、そしておしゃべり。日没と共に始まるプロジェクターの映像は、音楽がないので静か。海と街を見下ろしながら、月を愛でる。新しい夕暮れ時の楽しみ方を知りました。
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