見出し画像

人の暮らしが見えない、アートが塗り替えた島

犬島(いぬじま/瀬戸内海)は、島民がわずか26人です。これでは住民自治が成り立たないだろうと思います。岡山市の離島として行政サービスを受ける暮らしの中に、巨大アートがやってきました。資産家による精錬所も、資産は島外だと聞きました。明治の時からすでに犬島は島民の島でなく、基幹産業の島だったのでしょう。当時、住民自治があったのか。おそらく全国にある企業城下町のような構図ではなかったかと思われます。

そこへきて巨大アート構想。いつから始まったのでしょう。島の歴史をアートで塗り替えた公益財団法人 福武財団(運営団体)。アートに置き換えたら、元々の事実が口承になってしまいます。事実、パンフレットの文章をいくつものメディアがなぞります。いつの間にか、歴史をきちんとなぞる研究も、事実確認も「テレビでやっていたから」というお墨付きで、手を抜かれていきます。負の遺産を投げかけると言いながら、アートで塗り替えてはいないだろうか。福武總一郎氏とキュレーターは誰だったのでしょう。

豊島には住民自治が残っています。なんとか踏ん張って今はエネルギー問題について国をはじめとする各方面と調整を図っています。

直島。三菱マテリアルの企業城下町です。住民自治の体力がないところへ瀬戸内国際芸術祭が始まりました。疲弊しているところへトドメのようなトリエンナーレです。自分たちで暮らしを取り戻そうなんて思いは、芽生えないのでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?