カレーとぶっかけ飯  (1)

どうして世界は、カレーが好きなんだろ? 

その1、魯肉飯

過日、とある会合で魯肉飯(ルーローファン)をいただく機会がありました。いずれ期間限定商品として店に出す前の試食用とのこと。別のお友達のお家で収穫したとれたての美味しい新米と、いっしょにいただいたのだけれど、甘くてもっちりしたコシヒカリに、とてもよく合っていた。

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新米のお振舞いとともに供された、試食用魯肉飯ほか有志によるオカズ

台湾の「かけご飯」魯肉飯は、国内でも人気だから食べた人は多いかと思う。作り方としては、刻んだ豚肉を、八角(スターアニス)や五香粉(ウーシャンフェン)、月桂樹の葉などの香辛料(スパイス)とともに油で炒め、ほんのり甘酸っぱく味付けして、白米にかける。

このとき使う五香粉は、中国料理を代表するミックススパイスだ。日本の七味唐辛子みたいに、3種から5種類の粉末スパイスを混ぜて作られる。魯肉飯だけでなくさまざまな料理に使われ、いかにも中国風な香りを添えてくれる。(香りが強いので使いすぎには注意)。

五香粉の中身は、シナモン(桂皮)、クローブ(丁字)、ホアジョー(花椒)、フェンネル(小茴)、スターアニス(大茴)、陳皮(ちんぴ)など。なんだかカレーに使う「ガラムマサラ」の構成にも似ている。たとえば、辛味を出す役目のホアジョーをチリ(唐辛子)に替え、爽やかさを演出する陳皮をコリアンダーに入れ替えて、クミンを足せば、リッチなフレーバーのガラムマサラになりそうだ。

つまり、白米にぶっかけていただくスパイシーな魯肉飯はカレーの一種である。……、のかな? うーん。その判断は、いまは留保しておきましょう。

さて、魯肉飯のように、ご飯に具、またはスープをかける「かけご飯」は、米食文化圏には、多様にあるようだ。東アジアなら、日本では「お茶漬け」「ねこまんま」や「冷や汁」、また、戦国時代から武将が食していたという「ぶっかけ飯」が思い浮かぶ。韓国だと「ソコギクッパ」や「テジクッパ」などのクッパ系(ただしこちらは汁にご飯をいれる方式)、中国だと広東料理の「ボウジャイファン」の土鍋飯系など。さらに、タイ、ベトナム、インドネシアといった東南アジアまで、範囲を広げて見てみると、そのままカレーライスと呼んで良さそうな「かけご飯」が増えてくる。

世界が、ぶっかけ飯を好きなのは、間違いないだろう。

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