出産体験記
2019年3月に第一子を出産しました。
無事に出産して子どもの顔を見れたところまでは良かったのですが、その後自分が救急車で搬送されるという一大事件になりました...。
これから出産の方をおどかしてしまったら申し訳ないのですが、せっかく珍しい経験ができたので記録に残します。
入院まで
3/20(水)
・朝早くに、おしるしが出てたことに気付く。
3/21(木)
・お昼頃からそれっぽい痛みが気になり始める。
・14時頃からタイマーで測り始める。15〜25分間隔くらい。痛みは全然耐えられるレベル。生理痛のちょっと重いバージョン。
・15:30頃産院に電話。まだ前駆陣痛ぽいので、自宅待機と伝えられる。間隔が10分切ったらまた電話してねとのこと。
・夜になっても間隔が縮まらない (ばらつきが大きい)。
・寝室で過ごす。0時〜4時くらいまで寝れた。「これで陣痛が遠のいちゃった!?」と謎に不安に思う。
3/22(金)
・5時台から測り始める。間隔は10〜40分くらいに開いている。痛みもそこまで変わっていない。
・10分を切ることが増え、痛みも強くなってきたので、お昼の12時くらいに産院に電話。つながらず。
・12:30に再度電話したら、6-7分間隔が目安と言われる。
・14時頃、夫は検査結果を聞きに病院へ。私は自宅に残ってパルシステムの受け取り。もう結構痛いけど、受け取った練乳クリームで早速パンを食べるくらいには元気。
・Twitter で先輩ママの出産体験記を見たりしながら、できるだけ自宅で耐えようと考え始める。その方がリラックスできそう。
・17時頃に夫が帰宅。
・間隔は5〜8分くらい、もう毎回10分を切っている。痛みは強くなっている。重みがすごい。位置も下の方に移動しているような。
・夫がサッカーを見てる間、寝室で痛みに耐える。
・サッカーが終わって一緒に寝室にいた夫が、「そろそろ連絡した方が、、、」と言ってくれて、電話する。深夜1時過ぎ。間隔は6〜7分くらいで一時よりも開いてたが (先輩ママが出陣したという4分を目安に考えてたので、間隔的にはまだ不十分と思ってた) あまりに痛そうだったらしい。今から向かうよう指示を受ける。
・陣痛タクシーに連絡。夫に荷物を揃えてもらって移動。
入院
・深夜2時ちょっと前に到着。まず分娩室で内診。子宮口は3cmくらい。胎児エコーをつけつつそのまましばらく待つがあまり変わらないので、いったん個室で待機。
・間隔を測るのはやめたが、あまり変わってなさそう。痛さはすごい。2時間後くらいにもう一度部屋で内診するも、子宮口は3cmから変わらず。
・ひたすらベッドの棒を握りしめて耐える。5cmになったら麻酔を打てることが心の支え。お茶とかウィダーなら少しは口に入れられるが、もう他に何もできない。夫も眠気と戦いつつ心配してくれている。
・朝ごはんの時間になっても子宮口が開かないので、当直の先生から促進剤を勧められる。その場で了承。朝ごはんは夫に食べてもらって分娩室へ。
・促進剤を少しずつ入れる。さらに痛みが増す。
・しばらくして痛みに耐えきれなくなり、ナースコールで麻酔をリクエスト。ここで助産師さんが交代。「痛い時に一番赤ちゃんが降りてくるからがんばって」と励まされるが、子宮口が5cmに達してないので麻酔はリジェクトされる。「息を吐く方に集中して吐き切って」というアドバイスが良かった。吐き切ってれば降りてきてくれると思うと、耐えやすくなった。
・痛みはさらに強くなる。激痛。膀胱あたりに移動。痛みの中心がどんどん重くなる感じ。頻度は高いが、合間に笑顔で話す余裕はある。「この状態になる前にタクシーに乗れて良かったね」と言ったら、夫が「あなたはどこまでも良い子だね」と言ってくれて和む。気が緩んで泣きそうになるが我慢。
・もうしばらく待ってから内診を受けると、子宮口が7cmになってた。赤ちゃんも回転してると教えてもらい、励まされる。
・院長先生が登場。麻酔してもらう。だんごむしみたいな体勢でカテーテルを入れてもらうが、丸まってると痛みに耐えにくいのでとってもつらい。入れた瞬間、背中に清涼感あり。すぐに麻酔が効いてるかどうか確認されるも、1割減くらいであまり変わらない...。
・また痛みがmaxに近付いてきて、麻酔を追加。
出産
・もうしばらく耐えた後に内診。子宮口は9.5cmで、自然破水。院長先生に診てもらうと「もういつでも出せる状態だから、できるだけ自力で出してからにしよう」とのこと。その方が傷が浅くて済むからだそう。山は越えたと思ってちょっとほっとする。
・いきむ感覚がつかめず、苦戦。"おなかを引っ込める"とは...?そしてどう考えてもうんちの感覚なので、出していいのか不安。陣痛 (おなかの張り) はまだあって、そのタイミングでと言われるも、感覚が弱くてよく分からない。
・もう一度院長先生に診てもらい、吸引を実施。出てきた!
・赤ちゃんが完全に出てきた。すぐにしっかりした声で泣いてる。助産師さんがひょいっと抱き合げ、軽く拭いてから抱かせてくれた。ちょっと泣く。
・「胎盤が出てこないので、手で取る」という話に。twitter で読んだ先輩ママさん、とりさんの出産と一緒...。やっぱりというか、まさか私もとはというか。一応想定はしていたので、特に動じずに取ってもらう。
・しっかり子宮にくっついてるようで「なんで取れねーんだ」とか院長先生がぼやく。会陰はもちろん切られているし、力ずくではがすのでめちゃくちゃ痛いはずだけど、あまり痛いとは感じない。体の内部にあるはずのないものがあるという違和感。
・なんとか取ってもらって、エコーで問題 (取り残しとか?) がないかどうか確認した上で縫合。院長先生が退室。
・助産師さんが外から子宮をマッサージしつつお話してくれた。子宮が収縮する必要がある (じゃないと出血が止まりにくいとか) とのこと。「終わったんだ...」という気持ち。
・子どもは泣いたりくしゃみしたりして元気そう。夫は「あなたは天才だ」と褒めてくれる。また泣きそうになる。
・私はそのまま分娩室で待機して経過観察待ち。その間に夫は部屋でお昼をいただくことに。
緊急搬送へ
・1時間後くらいに傷の経過観察。出血が止まってないので、助産師さんがナースコールで院長先生を呼ぶ。
・すぐに院長先生登場。もう一度傷を確認し、縫合し直す。「○○できる手が足りない!(医師じゃないとできない処置?)」と言って、いつも産科健診で診てくださってる先生も呼び出される。
・夫が呼ばれて、輸血の可能性について院長先生から説明を受ける。「使うかどうか分からないけど、同意書は書いといてください」とのこと。血液の発注もしてくださったっぽい。
・しばらく眠ってたら、出産から2時間くらい経ってたらしい。14時過ぎ。夕方くらいかと思った。夫にLINEする。夫はこれから部屋で寝るとのこと。
・ちょっとしたら助産師さんが3時間後の経過観察をしてくださった。止まったと思った血が一気に出てきて、すぐにナースコールで院長先生を呼ぶ。
・院長先生登場。傷を診てもらう。どこから出ているのか、特定が難しそう。119番への連絡と、他院 (?) への直接の連絡も指示。そうこうしてるうちに血がどんどん出てくるので、輸血を指示。
・血液がなかなかこないので院長先生が助産師さんたちに怒る。別の薬も点滴する。解凍が追いつかず凍ったまま右腕に入れられて、めちゃくちゃ痛い。助産師さんが腕を温めてくれてちょっとましになる。
・血液のクロスチェック (?) のために採血するが、両腕とも点滴と輸血に使ってるので足の甲から採る。後で「痛かったでしょう」と言われたが、何も感じなかった。
・「救急車はまだか」と院長先生が怒る。
・ほんとに死ぬかもと感じる。9.11で最後に身近な人への愛を伝えた人たちを思い出したり、夫を励ましたいと思ったりしたので「がんばるから一緒に帰ろう」と言ってみる。夫は「大丈夫だから自分のことに集中しよう」と言う。
・ほんとは、最後に愛情を残して去れるように「大好き」って言いたかったけど、こんなに救命に一生懸命な人たちに囲まれてそれは言えない...。
・院長先生から夫と私に対して説明あり。胎盤の部分なのか、縫合部分なのか、自然に裂けた部分なのか、要因が多くて特定が難しい。他院に着けば手術で治すこともできると言われてちょっと安心。
・救急車が到着。目は開けていてと言われたので、周りはよく見える。意識もはっきりある。鼻とのどがかさかさで息が吸えなくなりそうなのが怖いけど、酸素マスクで自力で息ができる。声を出してコミュニケーションも取れる。
・外は寒くてちょっと雨。みんなでエレベーターで移動。
・救急車にはあと3人乗れるとのことで、院長先生、助産師さん、夫が同乗。時々路上の車に指示を出しながら病院に向かう。院長先生が「このペースなら間に合う」とおっしゃっていて、だいぶ安心する。
搬送先の病院
・処置室に運ばれて、担当医師に挨拶してもらう。先生だけで3人もいる...?
・ここでも意識ははっきり。ちょっと寒いけど耳鳴りもせず、状況ははっきり分かる。むしろ意識を失いたい。また縫ってまた失敗ということになるのが怖い。
・会話を聞いているうちに、1人は研修医の先生で、ベテランの先生がサポートしてることが分かってくる。研修医の先生にすべてを判断させつつ、抜け漏れがないようしっかりフォローされていて、安心。
・「ゼンイ」という言葉が飛び交う。「前医」という意味だとだんだん分かってくる。夫から後で聞いたところ院長先生はしっかり引き継ぎをしてくださったそうだけれど、やっぱり細かいところで分からない部分が出てくるみたい。
・ベテランの先生がしっかり確認した結果、動脈に沿って切れている部分が原因だと特定。ちょっと奥だけど外から縫えるので、麻酔をして縫うことに。
・前医でどんな麻酔をしたか不明なので、麻酔科の先生を呼んできてくださる。この先生もやたら優秀そう。「出産終わってるんなら、がっといっちゃっていいね」とのこと。
・背中のカテーテルから入れてみるが、効いていないことを確認。別の方法で入れてもらう。
・酸素マスクの方にもその痛み止めが入ってきたらしく、くらっとして一気にすごい景色が見え出す。やたらスケールの大きい、グラフィカルな世界。夫に見せたいなとか、ピエール瀧さんのことを思う。
・その後も意識ははっきりしていて、周りの声もよく聞こえるし状況はよく分かる。麻酔が効くのを待っている間に先生の1人が「早く縫いたいな」っていう話をしてたり。鼻が詰まりぎみでいびきが出そうなので、意識が飛ばないように必死で目を開けてたり。
・処置は早く終わったように感じた。まだガーゼを中に残していること、明日以降に取ることなどをベテラン先生から説明していただく。先生方が去り、夫が入ってきて、だんだん看護師さんも去っていく。
・痛み止めの影響で、目をつぶってても全然眠れず、声をかけられればすぐに適切な返事ができる状態が続く。最初は普通に話していた看護師さんたちがそれに気付き、「眠ってはいないみたい」と誰かが言ってからは、ひそひそ声で話すようになる。
・夫が1人だけ残ったので、「大好きだよ」と伝える。感極まって泣いてしまったので、心拍か何かが上がって周りの機械がビービー鳴り出す。それを見た夫が「今は落ち着いて、後でそういう話をしよう」と言ってくれる。
・本当に助かった、全部終わったんだ、という実感がわいてきて、しばらくの間泣きそうな状態が続いた。
・輸血が終わる24時くらいまでは処置室で過ごすと言われたため、夫も室内のソファで休みながら過ごす。
・輸血が半分終わるくらいまでは、痛み止めが効いて意識が混乱状態。現実と脳内世界のつながりがまったくなく、自分の感覚が信用できない。寒いししびれるしくらくらするけど、ただそう思ってるだけな気がする。目を閉じた時に感じる具合のわるさが、目を開けた瞬間に説明できなくなる。なので、具合はどうかと聞かれても「大丈夫です」と答えるだけになってしまう。現状をちゃんと認識できてはいるが、何が現実なのかいまいちよく分かってないので、夫にひとつひとつ説明してもらう。現実とのつながりがほしくて、目を開けたり顔を触ったりお茶を飲んだりして過ごす。目を閉じると現実から離れてしまうのが怖いけど、しばらくしてなんとか目を閉じれるようになり、ちょっと眠る。
・次に目が覚めた時にはだいぶ現実感が戻ってきていた。どういう感覚だったのか夫に説明できた。顔色も良くなっていたとのこと。夫は夕飯を食べ、私は夫が買ってきてくれたガリガリ君を食べて、またしばらく眠る。輸血が終わるちょっと前に目を開けた時にはだいぶ普段の状態に戻っていた。
・輸血が終わったので、ナースステーションの近くのベッドスペースに移動。夫はタクシーで帰宅。私の荷物はスマホしかないので、電池が減らないように飛行機モードにして、メモ帳に次の日の朝やることを書いておいてくれた。
・まだ混乱状態が続いていて、導尿がついてたり縫ったまわりが打撲したみたいに結構痛んでたりで、すごく居心地がわるい。眠れず、kindle での読書も5分ともたず、時間の進みが遅い。ずっともぞもぞしている。たまに看護師さんたちが来て点滴とかをしてくださる。眠れないと思ってたのに、そんな時にはほぼ反応できず、まどろんでいたことに気付く。
回復期
・5時くらいからずっと起きていて、時々看護師さんが声をかけてくださる。7時に朝食。おしりが痛いけどなんとか座って食べれた。もうスマホを普通に見れるようになっていて、現実感はまったく問題ない。
・お昼前に診察。ガーゼを取ってもらう。立ち上がれたので導尿も取り、一人で歩けるようになる。おしりは痛いまま。
・母乳も出てたので、搾乳してもらう。
・13時頃に夫が面会に来てくれた。ちょっとしたら岐阜から来てくれた両親も到着して、しばらく話す。
・夫と両親とで産院へ。
・麻酔科の先生に診ていただいて、背中のカテーテルを取ってもらう。
・個室に移る。
・夫が戻ってきて、産院に置きっぱなしにしてた荷物を受け取る。
・夫が帰ったあと夕食。産休中に会った各所に連絡したり読書したり、ゆったり過ごす。21時には眠くなり就寝。23時に点滴に来てくださったそうだけど、まったく気付かずに寝ていた。
・4時ちょっと前に目が覚める。7時に朝食、午前中に診察してもらって退院許可をいただく。この女性の先生もやたら優秀そう。担当看護師さんも優秀かつ共感性が高く、能力の高い人の多さにびっくり。診察室内のカーテンの長さについてざっくばらんに話していた。ちょっと話しただけで「優秀!」と思える (思ってしまう) のはなぜなのか。。。
・昼過ぎに別の先生にも様子を見に来ていただく。女性の医師が診察してくださったことが伝わってなかったみたい。それにしても優しい。
あとがき
生きててよかった〜。
産院での処置が遅れていたら、搬送先でも止血がうまくいっていなかったら、と思うとぞっとします。
命を救ってくださった医療者のみなさま、本当にありがとうございました。
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