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この世とあの世をわける骨

 ひとにはいろんな特徴があって、それを個性と言ったりするんだけれど、ぼくらの身体にもそういった部分がある。たとえば背骨にも個性があって、背骨にも性格があるのだと観ていて思う。


 整体操法を行うときには、背骨を観察することで、その人の個性を観ていくことが多い。もちろんそればかりではないのだけれど、背骨をていねいに観察していくことはたいせつなことだ。

 頭痛がするんだという人は胸椎8番、胸椎10番、腰椎1番などに異常があることが多い。そればかりではないのは当然なのだけれど「頭痛がするんです」って言われたら、それらの骨を確認するし、そこに異常があると、そこを調整する。そこに異常が仮になかったら、また違うことを考えて、身体を観て行かなくてはならない。

 そういうふうになにかの事項に対して、考えうることを想定し、確認していくことをするのだけれど、骨を観察していると、その骨ひとつひとつをとって観ても個性があるなぁって思う。

 たとえば胸椎6番という骨。この6番という骨は、なんとなく、ちょっと恥ずかしがり屋さんの骨だ。まわりの5番や7番という骨が特徴的過ぎるからなのかわからないが、とても奥ゆかしい骨である。

 ちなみに胸椎5番という骨は胸椎のなかでは大きい骨だし、肩甲骨と肩甲骨の間くらいにある骨たちのなかでは群を抜いてサイズが大きい。

 他に、胸椎7番というのはあっち向いたりこっち向いたり、下を向いたりする骨である。

 そういった骨たちに囲まれていると、没個性というのか、目立ちたくない精神、もしくはどうせおれなんか精神というものになるのだろうか?胸椎6番は、比較的目立たない骨なのである。

 胸椎5番を基準に考えると、ほんとうに小さい。小さいというか隠れるのだ。胸椎5番という、強烈な個性に埋もれているのか、わざと目立たないようにしているのか、とにかくわかりにくい。

 じっくりと観察しないと、つい見過してしまう。そうなると、骨を順番に数えていても、胸椎が11番までしかないことになる。「あれ?この人、骨が少ないぞ」


 そんなことはないのである。


 このような胸椎6番という骨だが、あまりにも目立たない目立たないといわれると、反抗したくなるのもひとの常である。胸椎6番もりっぱな役割があるはずだ、と。

 もちろんその通りで、胸椎6番という骨はいろんな粘膜のはたらきに関係している。そういった意味で言うと、胃の粘膜なんかもそうだし、鼻の粘膜やのどの粘膜もそうだ。

 この粘膜が異常を起こすとつらい。鼻水や鼻づまり、のどの痛みなどの風邪症状を起こしている人は、粘膜に異常がある。

 食べすぎとかで胃が痛い人も粘膜に異常があるといえるだろう。

 アレルギーを持っている人は、少なくともアレルギーが起こっている間中は粘膜に異常があることになる。


 そういった人たちは胸椎6番に異常があるのです。


 風邪やアレルギーで異常を起こす、粘膜というモノのはたらきを考えて行くと、身体の防御反応を担っていることに氣が付く。

 粘膜というのはある種、外界と内界とを隔てている。粘膜のバリアが突破されると、外界の病原体やウイルス、ばいきんなどが内界に侵入してくる。

 粘膜は、わたしというものを守っている。粘膜がサボっていると、外敵に襲われ放題だ。それでは困る。粘膜がしっかりとわたしを守ってくれているから、わたしたちはわたしたちを維持することができるのである。そう考えると、胸椎6番はそういったわたしを守る骨なのだ。

 奥ゆかしい、目立たないものに支えられているというか、縁の下の力持ちとはよく言ったもので、胸椎6番もそういった分類に入るだろう。


 先ほど、粘膜は外界と内界を隔てているといいましたが、師匠であります一般社団法人愛光流の山本清次先生は、人間はみな、女性から生まれてくるものである。人間は女性を通してこの世に生まれてくる。そういう意味では、女性はこの世とあの世をつなぐゲートだ。と言われました。


 その言葉から考えると、胸椎6番はとても女性的な骨ということになります。胸椎6番も粘膜というモノを通して外界と内界を別けている。


 

 おもしろいもので、胸椎6番に異常のある人は心理的にさみしいと感じるようだ。さみしいと感じている人は胸椎6番に異常がある。


 粘膜に異常のある人は、もしかするとさみしいと感じているのかもしれないし、風邪をひくとさみしいと感じるのも、そういったところが影響しているのかもしれない。

 さみしいと思っていても、ただ粘膜が異常を起こしているだけかもしれないし、もしそうだとしたら、温かくして眠ってしまったほうがいい。

 胸椎6番の異常が取れたら、さみしい気持ちもどこかへ行ってしまっていることだろう。



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