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みんな、今すぐフルバを見て、泣きたいほどの倖せを教えてもらうんだ。

久々に筆を採った、ということはそう、つまり、今まさに狂気に身を任せるべき時。
とは言っても今回の狂気はかなり品があるものかもしれない、狂気というか生きることへの渇望に近いかもしれない。本当はこんなことしてる場合ではないのだけれど、あまりにも感動しすぎてしまって今この瞬間の感情を書き残さないと絶対に後悔する!と思って衝動に任せて筆を走らせている。


『フルーツバスケット』とは…?

『フルーツバスケット』という作品をご存知だろうか。

『フルーツバスケット』とは「花とゆめ」にて1998年から2006年まで連載された高屋奈月による大人気少女漫画である。

「なんだ少女漫画か…」そう思った人もほんの一瞬だけ足を止めてほしい。
なぜなら『フルーツバスケット(以下フルバ)』は人間なら誰しもが共感しうる「生きる痛み」を忠実に描き読者の人生に訴えかける力を持った漫画だからである。フルバは単なる少女漫画ではない、少女漫画だからといって作品に触れることを逃している人があまりにも多いのでは無いだろうか。フルバは壮大な『人生の物語』。少し人生が生きづらい時、苦しくて道に迷った時、何が自分の幸せかわからなくなってしまった時、決してその傷の全てを塞ぐことはないけれど、少しだけ心を軽くしてくれるのがフルバなのである。

そんなフルバは2019年に2度目のTVアニメ化を果たし、3年をかけて全てのエピソードがアニメ化され、2021年の春シリーズが堂々完結。2022年2月18日から本編以前の物語を描く劇場版『フルーツバスケットーpreludeー』が公開されている。
今日、やっとの思いで映画館に足を運んだ。そこには泣きたいほどの幸せがあった。
とにかく1人でも多くの人にこの感動を経験して欲しくて、絶対にフルバを見て欲しくて、下手くそなりに作品の魅力というものを伝えたくて、今、筆を走らせている。

心に痛みを抱え、悩み、もがきながらも、懸命に生きようとする若者達の群像劇
『フルーツバスケットーpreludeー』パンフレットより抜粋

『フルーツバスケット』のあらすじ

さて、ほんの少しでも興味を持ってくれた人に向けてフルバの魅力を少しだけ話していきたい。あらすじは以下の通り。

『フルーツバスケット』の物語は、女手一つで育ててくれた母を不慮の事故で亡くし行く宛を失ってしまった主人公「本田透(ほんだとおる)」が、訳あってクラスメイトの「草摩由希(そうまゆき)」の家に居候を始めるところからスタートする。主人公が居候することとなった草摩の家は代々「十二支の呪い」に縛られており、十二支の動物に憑かれた者は異性に触れられると動物の姿に戻ってしまう。この秘密を知ってしまった本田透が、彼らの呪いの謎を解くために奮闘する中で物の怪憑きと心を交わしていくファンタジー漫画である。

フルバの魅力その①:個性豊かなキャラクター

「十二支の呪い」故に12人の物の怪憑きが登場するのだが、年齢も性別もみんなバラバラでみんな個性が強い。どんな年代の人がフルバを読んでも何かしら共感してしまうのは年齢も性別もバラバラの多くのキャラクターたちを通してそれぞれの視点から物事が語られるからであろう。そしてキャラクターの描写がとても立体的、やはり誰しも何かしら問題を抱えていて、それでも前向きに直向きに生きようと闘う姿がとても丁寧に描かれている。自身の抱える問題に対してうまく立ち向かうことができる者もいれば、不器用でなかなかうまくは乗り越えられない者もいて、本当にリアル、苦しくなるほど痛いほどにナチュラル。
そして、少女漫画なのにたくさんの可愛い女の子が登場するのが推しポイント。まぁ、とにかく主人公の本田透が健気で可愛くて仕方ないので見てほしい、少女漫画の主人公って大体嫌われがちだけど本田透だけは別。あんな人間になりたいし本田透を見てると私は人間としてなんでこんなにも薄汚れてしまったんだろう…と反省できるのでおすすめ。誰のためでもなく自分のために良い人間になりたいと思わせてくれるのが本田透。あとは個人的に馬に憑かれた「草摩依鈴(そうまいずず)」がどタイプなので見てほしい。可愛い。めっちゃタイプ。ツンケンしてるのもイイ…。

草摩依鈴


あと、なんといっても蛇憑きの「草摩綾女(そうまあやめ)」。やっぱ愛すべきアホは見てて気持ちが良い。アニメを見ればどんなやつなのかはすぐわかる、説明するまでもない。結局あーやしか勝たん。

草摩綾女

フルバの魅力その②:ストーリー性とテーマ抽出の巧さ

人に勧めている時点で面白いことは大前提なのだけれど、フルバを語る上で物語性の素晴らしさは外せない。最初の方のシーズンは物の怪憑き一人一人にスポットが当てられて大体1話完結アニメのようなテンポで進んでいくのだが、エピソードが個々で完結しているように見えて実は少しづつ動きがあり、最終的に終局に向かうfinal seasonは全て回収され、それまでの積み重ねがあったからこそより大きな感動を呼ぶ作りになっている。たまに挟まれるギャグもテンポが良い。
フルバは「十二支の呪い」を描くことによって、人間の個別具体的な悩みや、社会問題を抽象化することに成功していると思っている。十二支の呪いなんてこの世には存在しないのに何故か物の怪憑きたちの「生きる苦しみ」は自然と理解、共感ができてしまう。きっと十二支の誰かしらには痛いほどの共感をしてしまうキャラクターが見つかるのではないだろうか。
フルバは人生の物語であると先述した。「心温まる」だとか「心揺さぶる感動ストーリー」だとかそんな安っぽい言葉では片付けたくないしそんなもので表し切れるような薄い物語ではない。フルバは良い意味で観た者の心に傷を残す作品だと思ってる。フルバで触れたエピソードにはこの先の人生でもしかしたら近い経験をすることがあるかもしれないと思わせられるものも多い。それほどにリアルだし、実際、傷つかないで生きていける人間なんていない。この先も人を信じることで傷つくことが山のようにあるだろうけれど、それでもこの傷を背負って人と関わりながら生きていくしかないのだと人生の根本の部分に気づくことができる作品だと思う。

フルバの魅力その③:アニメシリーズの演出

とにかく音楽が本当に越妙なタイミングでかかる。涙を誘うのが本当にうまいし、かなりキャスト陣が実力派揃いなので演技がうますぎる。やはり物語が主軸ではあるけれど、作画も力が入っていて綺麗。映像作品として総合的に芸術点が高い。
正直、原作の絵柄はあまり好みではないのでおそらくこの2度目のアニメ化がなければ私もフルバという作品に出会うことはなかった気がする。私の友人にバケモノみたいに白泉社の漫画を読み漁った歩く「花とゆめ」みたいな友人がいるのだが、その子に言わせると「アニメよりも漫画を読め」と何度も言われてしまうのだがとっつきやすさは断然アニメシリーズだと思ってる。

なんかグダグダと長々書いてしまったけれど言いたいことはひとつ。

見なきゃ良さが伝わらないのでとにかくフルバを見ろ!!!!!そして生きろ!!!!!!以上!!!

アニメはだいたい何のサブスクでも観れる。完結まで全部見れちゃう。人生のバイブルなのにお得すぎる。観ない選択肢はない。

⬇️公式から出てるPV。多分最初からこれ見せた方が早かったまである。
2本目はネタバレ多め。でも作品の雰囲気はめちゃくちゃよくわかるので観て。

以下は映画の感想!微ネタバレに注意!
あとこれはもし万が一興味を持ってくれた人がいたとしても絶対に映画から入ってはダメなタイプのコンテンツだということだけは口を酸っぱくして伝えさせて欲しい。アニメを全部見てから映画をみて。

『フルーツバスケットーpreludeー』を観てしまったオタクのクソデカ感想文

普段映画のパンフレットなんてほとんど買わないのにごく自然な流れで気づいたら買ってしまっていた。パンフレットの中身なんて大して気にしていなくて、ただただ今日、この日に感じた全ての感情を絶対に忘れたくなくて、でも人間だからきっと忘れてしまうのはしょうがないことだから、せめてパンフレットという形にしてずっと手元に置いておきたい、そう思ってしまった。

あんなに書きたいこといっぱいあったのに後半1時間くらいずっと泣いてたから記憶がほとんどない。私、感動の涙という物をあまり流せないらしく、感動系の映画やアニメを見ても泣くことが滅多にないのだけれど、今日は130分の映画で恐らく半分以上の時間泣いたんじゃないだろうか。確実にここ3年で1番泣いた。泣きすぎて今ちょっと頭が痛い。

映画に関しては何を言ってもネタバレになってしまいそうなので感じたことだけをメインに。
とにかく、良い意味で人生に対して諦めがついた。
どんなに幸せを手に入れたとしても無慈悲にもその幸せが壊れてしまうことは十分にあり得る。だからこそ今この瞬間自分の周りにある「幸せ」を大事にしたいと思うのだ。
便利は人を不幸にするのか、「幸せ」へのステレオタイプがSNSを通じて一人歩きしている気がする。私を含めそのステレオタイプに囚われてしまっている人間は多いと思う。でも、そのステレオタイプにハマれていないからと言って幸せでないということはないと思うのだ。たぶん気付けていないだけで誰しもどこかしらで幸せを感じるタイミングはあるはずなんだ。その幸せに気づける人間でありたいし、最後の時に私は私の人生で良かったと心から思えるように日々を積み重ねようと思うことができた。

2021年水族館に行ってどの魚を観ても「美味しそう」しか感想が出てこなかった自分では幸せレーダーの感度がだいぶ鈍ってしまっている気がしたので、まずはもう少し意識的に感性を磨こうと思った。自分が感じたことをちゃんと自分の言葉にしてアウトプットすることと、同じものを見て自分以外の人はどう感じるかを聞いて知見を広めたい。だからぜひもしこのnoteを読んでフルバを見る気になってくれた人が1人でもいたとするならば、貴方の感じたことをぜひ聞かせてほしい。

劇場版は透の両親の物語と言うだけあって、家族愛のような物にもかなりフューチャーされていた。実は、つい最近、いろんな不幸が重なって家族不和で、親がいない空間に身を置けた瞬間、安心して泣きそうになってしまったくらい心が疲れていたのだけれど、そんな私が、映画を見終わって、とても素直に「私は今の両親の元に生まれてこれて実はかなり幸せ者なんじゃないか?」と思うことができた。普段からそんなこと思えるようないい子じゃない。自分の不遇をいっぱい親のせいにしてきた。いつも親の顔を伺いながら機嫌を損なわないように生きることに必死で、気づいたら自分がやりたかったこととはかなりかけ離れた場所にきてしまっていたし、自分の夢を応援してもらえなかったこともいまだに引っかかっているし。全然完璧な親じゃないし、子供ながら親に対して情け無いなと思うこともしばしばある。
それでもなんだかんだで私は今の両親のおかげで笑顔に包まれた家庭で生きることができているし、両親の元に生まれてこれて幸せなのかもしれないと本心で思えた。幸せってこうやって見つけていくんだな。
もし私が世界から消えたとしても(いきなり激重)、世界は普通に回るし、朝日も東から登る。私のことを知らない人間にとっては何にも変わらない日々が始まるだけで結局のところ人は他の誰かの心の中にしかその存在意義を持ち得ない。そのことはあまりにも辛辣で、でも確実に的を得ていて。だから本当に、人との繋がりを大事にしようと思えた。いつか私に「出会えて良かった」と心の底から思ってくれる人に出会えるように、丁寧に生きたい思った。とりあえず生きていることが大事。100点の人生を送ることは私にはできないと思う。それがいい意味での諦め。どんなにボロボロで歪でも愛すべき人生に自分で塗り重ねていく。

生きる意味がわからなくなってしまった時、心が良くない方向に向いてしまいそうな時、必ず『フルーツバスケット』に立ち返れるようにそのうち漫画全巻買おうと思ってる。映画の円盤出たら多分買っちゃう。人生のバイブルなので。

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