彼女にはなれなかった。

高校2年生の時、1学年上の先輩を好きになった。

バスケ部の副キャプテンで頭のいいD組。
いま思えばお顔は普通だったかもしれないけれど、
当時の私には本当にかっこよくてキラキラして見えた。

普通に話しかける勇気はなくて、
当たり前だけどメールアドレスなんて聞けない。

それに先輩からしたら、
わたしは同級生の元彼女という認識だと思う。
それなのに急に話しかけられてもきっとびっくりする。

でも先輩と話してみたい、直接は無理だけど。
でも先輩に同級生の元彼女とかじゃなくて、
わたしをわたしとして認識してほしい。

どうしようって考えて、中学生の時に友達紹介のお礼ほしさに頼まれて登録したSNSで検索してみた。

そうしたら、、、先輩も登録してた。

あの時SNSを紹介してくれた友人、ありがとう、、!

名前を見るだけでドキドキが止まらない。

夏の終わりの体育祭の準備時間(だったと思う)、
他に全然人がいない下駄箱で、
友人と一緒に先輩に友達申請を送った。

送った直後からずっとドキドキしてた。

なかなか返事はこなくて、
普段は全然みていなかったSNSなのに、
何回もログインしては返事がきてないか確認した。

家に帰ってから夕方ころ、とうとう先輩からのお返事。

先輩とわたしがやり取りしてる、、!

一通一通が嬉しくて、
ちょっとした絵文字にきゅんとして
好きが爆発しそうだった。

それからたまにやり取りをして、
その度にわたしのときめきは止まらなかった。

先輩が佐々木希を好きだと言うから
写真集を見たり映画を見たりして、
佐々木希を研究したけど、一ミリも近づきはしなかった。(あたりまえだ。)

先輩と4日間だけ付き合った元彼女も教えてもらった。
むちゃくちゃ美人で絶望した。(面食いですね)

それからどれくらいかして、
わたしはついに先輩に好きと告げた。

受験があるからごめんね

という内容の返事だったと思う。
2年のわたしの1学年上なのだから受験勉強で忙しくなるのは当たり前。

好きと告げられただけでよかった。
でもわたしはそれで終わるのは寂しいから

卒業式の日、第二ボタンはわたしにください

とお願いをして、先輩は了承してくれた。

そこからは、ほとんどやり取りをしなくなった。


それから月日がたった3月1日。

卒業式が終わって体育館でバスケットボールをしている先輩のところに向かった。

SNSではやり取りをしていたけれど
直接話すなんてほとんどしたことがない。

胸が張り裂けそうで、ちょっと泣きたいくらいドキドキしていた。

けれど、わたしが先輩に声をかける直前、
本当に目の前で、隣のクラスの女の子が先輩に

第二ボタンください

と言った。

出遅れたって思った。
わたしは何も言わなかった。
だって先輩と約束したのは何か月も前だから、
覚えてないかもしれない。

それなのに割り込むなんてできない。
ちょっとというか結構悲しいけど仕方ない。

帰ろうかなって思ったそのとき、
先輩が隣のクラスの女の子に一言謝ってから

『先に約束してたから』

そう言って先輩はわたしに第二ボタンを渡してくれた。

嬉しくて泣きそうだった。
人を好きになると泣きたくなることがたくさんある。

ありがとうございますってかろうじて言えたはず。

約束を覚えてくれてたことも
ちゃんと第二ボタンをもらえたことも
嬉しい、胸がきゅんとする。

でももう会えなくなるなんて寂しい、辛い、悲しい。

泣きたかったけれど泣かなかった。
先輩を困らせることはできなかった。

けれど、その時思ったことがあって、

先輩の彼女にはなれなかったけれど、
先輩がわたしとの約束を覚えててくれて、
お願いした通りに第二ボタンをくれて、
わたしの恋は報われたって。

悲しい思い出ではなくて、
片思いのいい思い出として心に残すことができる。

10年経ったいまでも思う。
片思いさせてくれて本当にありがとうございました。

ね、🐝先輩♡

何年かしてから、LINEで先輩と連絡を取り合ったことが1度だけあった。

あの時好きだと言ってくれて嬉しかった

それは本当の気持ちなのか、優しい嘘なのか
わたしにはわからないけれど、
わたしは本当に先輩に恋をしてよかった。

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