ノット×渾身のショスタコーヴィチ~名曲全集180~一流のオーディエンスを目指して
10月、3つ目のコンサート。秋は良いコンサートのある季節で嬉しいですね。今回は東京交響楽団の定期演奏会、名曲全集です。
前半はラヴェルの「鏡」から道化師の朝の歌でした。
しかしながら、当日の私はどうしても抜けられない用事があり、どうにか滑り込みセーフ。夏でもないのに汗が噴き出しながらのスタートになりました。と、いうわけで集中できず、キレイだなー。で、終わってしまった。残念。
そして、ラヴェル歌曲集「シェエラザード」は、ソプラノ安川みくを迎えて。やっと落ち着いて聞けました。良かったー。安川さんのソプラノはあくまでも涼やかな上品さがあり、好感が持てました。華やかさもあってご本人のビジュアルそのものの音楽になっていましたね。おキレイな方です。
曲は当時のヨーロッパ人から見たアジアは憧れのミステリアスな世界。現代の日本の私たちからもエキゾチックと思える魔法の国です。その世界観にすっと立つディーバは乙女のような姫で、その魅力をノットが引き出してる、という感じがしました。とにかく、美しかったです。
後半は、ショスタコーヴィチの交響曲4番。私は本当はこういう音楽は苦手と思っていて、実は当日は午前中に重要な用事があったのでチケットはあるけど、無理して行かなくてもと、ちょっと思った位でした。
が、ノットの振る東響に呆れるほどの熱気があり、第一楽章の最初の音からいきなり胸ぐらを捕まれたみたいでした。来て良かった!いきなりそれを感じた!
曲は鋭くリズムを刻みながら盛り上がっていき、激しく、響きも厚みも増していきます。いや、参った。
何しろ、ステージ狭しと大編成のオケ。弦も、管も、一体何人いるのか2階後方席の私には見えない人もいます。ハープが二人、打楽器だけでも6人、チェレスタまでいました。こうした編成は、コロナ禍ではステージが密になるからと、演奏できなかったと思います。演奏したくてもできなかった時間の分だけ余計に熱量があったのか?聞く方も集中力が凄かったです。
ノットはまるで競馬の騎手が前傾になってレースを走るようでした。激しいタクトはグイグイとオケを鼓舞して止まない。オケの熱気がまた凄い。湯気が出そうなムンムンの熱気が迫り来る。あらゆる奏法を駆使し、あらゆる力を集結して、あらゆるアンテナ、あらゆる感性を張り巡らせてひとつの音楽世界がいま、目の前に構築されている臨場感がたまらなかったです。
3楽章はラルゴで葬送行進曲のよう。そして、あんなに激しかったこの曲はピアニッシモで終わるのでした。
全く、完全にやられました。ショスタコーヴィチが好きかどうかは置いておいて、ノットと東響の力業に、情熱に。特に東響の、ノットへのリスペクトと忠誠にぐっと来ました。
このコンサートから、名曲全集ではカーテンコールの時に撮影可能となりました。SNSにあげる時は、#ミューザ川崎、#東京交響楽団 と、つけて下さいと。
よ!話がわかる。
そう来なくちゃ。
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