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映画「帰らない日曜日」は、秘密の恋とイギリスカントリーの夢


イギリス映画、「帰らない日曜日」を見て来ました。単館系の映画が好きです。

舞台は20世紀初めのイギリス。今でも身分制度が残る国です。革命がなかった国です。上流階級は植民地から搾取した経済的な豊かさを享受していた19世紀の名残が強く残る時代でしょう。労働者階級は貧しく、階級の壁は厚く、越えることは考えもつかないのでしょう。

舞台になっているイギリスのカントリーの美しいこと。日本人が考える田舎暮らしとは一味違う、豊かなで美しいカントリーライフ。豊かな名家であるヤプリィ家の跡継ぎの若者はすらりとした優しいジェントルマンのポール。
両親共に亡くして、メイドとして働くことになった主人公、ジェーンは隣近所のニヴン家で働き初め、二人は出会います。

二人の若さとイギリスカントリーが
とても美しい

二人の瑞々しい秘密の恋。のびのびとした二人だけの恋。身分違いの恋だから、この一瞬に全てを捧げ、夢のような世界へ導かれて行く二人なのです。ただ、惹かれて夢中になる二人ではありますが、結ばれるということは考えていません。
気品ある上流社会の当時の雰囲気を楽しめる衣装や建物、ロケ地。なんと、美しい。
そして、田舎暮らしのなんと窮屈なことよ。同じ階級同士での、決まりきった顔ぶれでの、食事会。キチンとした装い、ボーイやメイドによるサービスで提供される料理。美しい花柄の皿に銀食器。昼食会は、庭で行われ、夕食会は重厚な屋敷のダイニングルームで行われます。ポールには婚約者がいて、弁護士になって家を継ぐことになっているのです。ジェーンは隣家のメイド。
ジェーンがポールしかいないアプリィ家を訪ね、二人は愛を確かめ会う、が。ポールは婚約者一家と両親と共に昼食会に遅れて行くことになっているのです。ポールは全裸で窓際に立つシーンがありますが、往年の名作、ロミオとジュリエットのレナードホワイティングを思い出しました。レナードの後ろ姿もキュートでしたが、ジョシュオコナーのキュートなこと。育ちの良い男子はこうでなくては。
また、天真爛漫なジェーンが留守の邸宅をこれまた全裸で歩き回るシーンがあるのですが、時代めいたしつらえの屋敷に、初々しいまでの若いジェーンの肢体のコントラストが眩しく見えます。

コリン・ファースが、ジェーンの働くニヴン家の主人役で出ています。いや、年を取ったね。いつの間に、お爺様です。品性のある役はぴったりですが、今回は知らずにジェーンを傷つけます。これは悪意ない。善意が傷つける階級格差社会。

昼食会の思いがけない展開があり、やがてジェーンは書店で働くことにします。そして、40代になり、更に年老いて行きます。

特殊メイクはいったいどうなってるのか、主人公のジェーンの20代と40代がとても自然。

時代は20世紀の半ば。何もかも、世の中も大きく変化して、ジェーンの生活もメイド時代とは違います。が、ジェーンの眼差しの先にポールが?

更に時は流れ、20世紀後半でしょうか。流石に年老いたジェーンは別の女優さんです。ジェーンは、こんな時代を生きて、今も心はあの頃と同じ瑞々しさなのでしょうか。

ストーリーに胸が締め付けられるだけでなく、美しい映像が心のひだに染みて行きました。

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