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待ち望んだライブが帰ってきた

27回目のバンドのお誕生日。こんなめでたい日に、全国ツアーがスタートした。27年間バンド活動を続けていると考えると気が遠くなる。わたしが生きてきた年月そのまんまだもん。
ガイドライン緩和で、ライブ中の声援がOKになった。お客さんとのかけ合いが多いBUMPのライブで声を出して良いというルールに変わったのは純粋に嬉しい。
ただ、誰も仲間はずれにしたくないBUMPが、ライブ中にどう伝えるのかもとても興味があった。

「好きな時に歌っていいよ。歌いたくない人はじっと曲を聞いててもいい。ノリ悪いなんて思う人いないから、好きなようにしたらいい」という伝え方は、無難っちゃ無難な伝え方かもしれない。でもわたしは、BUMPらしいなと思った。
ただ、藤くんが「声出していいってよ」と何回もライブ中に呟いていたり、序盤で「もう感動がマックスで、ツアーファイナルみたいになってる」と言ったりしていて、BUMPのメンバーも、声出し解禁を楽しみにしていたのが伝わった。

ステージ後ろのスクリーンがなかったので、オープニングムービーないのかな?と思っていた。開演のアナウンスが流れて少しすると、なんの前触れもなく電気がパッと消えて会場が暗闇に包まれる。と、同時に広がるPIXMOBの白い光の海。アカシアのイントロが流れると手拍子が沸き起こる。下手側から、秀ちゃん、ヒロ、チャマそして藤くんが登場すると、メインステージ…ではなく花道をゆっくり歩いて出島に向かう。ボレロもQuick Oneもムービーもない始まり方が斬新だった。
2012年のGGTから「島は中盤に2曲やるのに使うもの」と刷り込まれてきたので、初っ端ここで演奏するとは意外すぎた。

キラキラとしたイントロが、「ライブが始まったんだ」という高揚感をさらに高める。アカシア聞きながら体を揺らしたり拳を上げたりしていると、「あぁ生きてるな」って感じがするし、とても清々しい気持ちになる。裏拍のイェーの掛け合いも、声出しできるようになったら歌いたいなと、アカシアを初めて聞いた時から思っていたので、それが叶えられて良かった。

2曲目、グングニル。古参大歓喜!昔の曲たくさんやって欲しい。死ぬ気で盛り上げるから。「夢の終わりは 彼が拳を下げたときだけ」って歌詞に、天高く拳を突き上げたくなる。キラキラした曲が多いBUMPだけど、昔のこういう曲を聞くと、ちゃんとゴリゴリのロックバンドだし、必死にもがきながら音楽やってたんだな、と謎に懐かしく思う時もある。

3曲名、天体観測。オーイェーヘーアハーンしたの何年ぶりですか…!古の呪文オーイェーヘーアハーン…!涙 声出し解禁ありがとう。オーイェーヘーアハーン歌えて泣きそうになるとは思わなかった。何年経っても色褪せぬ名曲、BUMPの売れっ子曲。

最近ふと天体観測を聞いている時に、「あれ?」と思うことがあった。(この先は「曲の解釈は個人の自由」という古の藤くんの言葉のもと書きます)「見えないモノを見ようとして 望遠鏡を覗き込んだ」って、果たして何を見ようとしたんだろう?と。何かと望遠鏡を覗き込みがちなこの曲だけど、それは答えが望遠鏡の中にしかないからなのかもと思った。そして「午前二時フミキリに 望遠鏡を担いでった ベルトに結んだラジオ 雨は降らないらしい 二分後に君が来た 大袈裟な荷物しょって来た」と「もう一度君に会おうとして 望遠鏡をまた担いで 前と同じ午前二時 フミキリまで駆けてくよ 始めようか天体観測 二分後に君が来なくても」という歌詞。

最初に天体観測をしにフミキリに行ったときは君と一緒だったはずなのに、終盤の「もう一度君に会おうとして」「二分後に君が来なくとも」という描写。君はいない(来ない)んだということが分かるけど、君が来なくても天体観測を始める=答えを求めて望遠鏡を覗く→空に見えるのは星=君は死んでしまった、ということでは?と思った瞬間があった。ほんとのことは藤くんのみぞ知ることだけど、こんな解釈もできてしまうなんて、深みのありすぎる曲だなぁと。さらに天体観測が好きになった瞬間だった。

天体観測終わってから、「みんなもオーイェーヘーアハーンって歌っていいんだよ。アハンなんて普段言う機会ないでしょ。お茶碗洗いながらアハンなんて言わないでしょ。アハンは終わっちゃったけどオーイェーとかはまだあるから」って言ってたの面白かった。確かにお茶碗洗いながらアハンは言わないのよ。
人生の約半分BUMPの音楽を聞いているけど、時間が経って昔は全く響かなかった歌詞に感動したり、「こういう意味かも」と言っていることが分かるようになったりすると、大人になったなぁと思ってしまう。


この日のライブ、脳しんとうでぶっ倒れそうになった瞬間がおおよそ5回あるんだけど、最初のそれが5曲目でした。才悩人応援歌。ウッと息が詰まった。「期待されるような命じゃない」「問題ないでしょ 1人くらい消えたって」「死にたくなるよ なるだけだけど」って、絶望したときや、勝てない人を見てしまった時に感じる、熱が冷めていくような思いが詰まった歌詞。人間の等身大の思いをそれを叫ぶように歌っていた姿が印象的だった。

昔からここぞという時によく聞いていたけど、ライブで聞いたらその時の感情や感覚を思い出した。「そんな奴がさあ 頑張れってさあ」と感情むき出しでシャウトするように歌う姿に胸打たれました。(喉痛めないでね)

「等身大の」という点では7曲目のFlareも、どこにてもいる等身大の人間の味方になってくれる曲だと思う。一人ひとりに命があって人生があることを肯定してくれるような歌だなと思う。あぁそういえば、SONGSでこの曲を聞いた時、BUMPが愛おしくてただただBUMPに会いたくなって泣いてしまったなぁ。自粛期間中に真っ先に思い浮かべたのはリスナーのこと、とSONGSで話していた。たしかに「誰も知らない 命の騒めき」という歌詞からは、大勢いる中の1人だけどちゃんと生きてる、という意味を感じれる。

左右に伸びたメインステージ。ハンドマイクで歌いながら、上手側に来てくれた。広い会場のたった一席。しかも天井に近い席。明るいステージから客席は見にくいはずだし、目の悪い藤くんならなおさら遠くの席なんて見えないはずだ。でも細い身体でこちらを見ながら思いを込めるように歌う姿に、わたしに諭すように歌ってくれているような錯覚を起こした。「一人一人にと届けるように歌うよ」といつも言っているのをちゃんと分かった気がした。

8曲目、66号線。才悩人応援歌に続いて、この曲もやってくれるの…。もしかしてたけど、ライブで初めて聞いたのでは。ちゃんとした対象がいて、その人に向けて書いた曲だった気がするけど、ライブで聞くとリスナーに向けて書いて歌ってくれているような気になってしまう。「あなたを無くしても 僕は生きていく」と伸びやかに歌っていたのが耳から離れない。広い会場なのと、たぶん見てた位置もあって会場に声が反響するのがよく聞こえた。それがなんか、あぁ会場の人みんなに届いてるんだなぁと思って、良かったなぁ。

9曲名、再び島にて。20周年ライブで初披露(だったはず)したベル「僕のことなんか」って繰り返すのが印象的。とうとうこの曲が分かるようになってしまった。「重い体を最終列車に乗せて 揺れながらなぞる 今日のこと」「疲れた心を 毛布で隠して ため息でなぞる 今日のこと」という歌詞を聞いた時に、自分のその様子と重ねた。

「話したい事は 山ほどあるけど なかなか言葉になっちゃくれないよ 話せたとしても 伝えられるのは いつでも本音の 少し手前」という歌詞がスっと入ってきてすごく共感しちゃった。
「僕のことなんか少しも知らないくせに」、誰にも僕のことなんか分からないと殻にこもってしまうのに、気遣ってくれてか「『元気?』ってたずねる君」からの電話が優しくて、電話を切ってから泣いてしまったって話なのかなぁ。とんでもなくあったかい歌なんだなぁと、胸の奥がじわっとした。

「声出せるようになったからこんな曲もできちゃうよ!」と新世界。基本手拍子でノリノリなんたけど、所々あるイェー!で腕を上げるのが楽しい。BUMPとベイビーアイラブユーだぜを言い合ったので一等賞です。

11曲目SOUVENIR。相変わらずチャリ漕ぎたくなる曲だなぁ。手拍子したり腕上げたり歌ったり、楽しい歌だなぁ。「この目が選んだ景色に ひとつずつリボンかけて お土産みたいに集めながら続くよ 帰り道」っていう歌詞が好き。今この瞬間の景色がかけがえのないものだっていうことを、こんなふうに表現できるところが好きで十数年間聞き続けてきたんだよなぁ。

ギターしょったまま下手側にハンドマイクで向かって行ったら途中から急に歌わなくなって何事?と思ったら、「自分のギターのパート忘れてマイクぽっけに入れるはめになった」とのこと。「ひとつずつリボンかけて」で両手で大きなリボン作ってたの可愛かった。「歩いて歩いて」のところ藤くんが手拍子煽ってた。藤くんが煽るの珍しい気がした。


「ライブで初めての曲やります」と12曲目、Gravity。「今日が昨日明日になって 誰かが忘れたって 今君がここにいることを 僕は忘れないから」ってこの日のライブのことを言っているみたいだ。アリーナにいる全員、ちゃんと存在を確認することなんてできない。だから壮大な綺麗事にも聞こえるけど、それでもBUMPはちゃんと1人ひとりに届けようと歌ってくれるよね。

「雨でも 晴れでも 空のない世界でも また明日 明日がちゃんと来ますように 一緒じゃなくても一人だったとしても また明日の中に 君がいますように」って、果てしなく君のことを想っている歌詞に胸がギュッとなった。どんなになっても、君の命が明日まで続いていきますようにって、祈りみたいな綺麗な言葉だな。寒い季節、外を歩いてしんとしながら聞きたい曲です。

寒いからやるよね〜な13曲目、スノースマイル。「誰だよ冬が寒くてほんとに良かったとか言ったやつ」と昔のMCで半ギレで歌い始めたエピソードがよぎる。クロノスタシスの時のミラーボールの演出が綺麗で、「雪みたいだなぁ、スノースマイルでこの演出やったら映えそうたなぁ」と思ってたら同日中にフラグ回収してくれた。

14曲目、サザンクロス。「言葉選んで 挙句間違えた よく晴れた日をいまだに思い出す 目を伏せたらもう動けなくて 嫌われていないこと祈るばかり」。この曲を聞くと今でもちょっと苦しくなる。震えながらこの曲を聞いてた日がある。間奏とかアウトロで、感情をぶつけるようにギターを弾く姿が焼き付いてる。

15曲目、GO。この曲を聞くと、コンフェッティがひらひらと舞う様子が浮かぶ。今回はテープもコンフェもなかったけど、色とりどりの紙吹雪が会場に舞う、幻想的な景色が浮かぶんだ。「とても素晴らしい日になるよ」というありふれた歌詞に、何度踏み出す勇気をもらったことか。怖がりながらでも進んだらいいよと言われているようだ。

17曲目、本編最後はfire sign。BUMPのライブと言えば、天体観測のオーイェーヘーアハーン、ガラスのブルースのみんなで歌うやつ、supernovaのランラーララーラー、そしてfire signのラーラララララララーなのよ。アコギの小気味よいリズムが心地よくて、歴代BUMP曲に登場する猫とか旗とかがたくさん出てくる、(個人的に)ハートフルな感じになれるの曲。

たくさん歌わせてくれてありがとう。ライブで声出して、バンドとかけ合いしてる時が一番幸せなんだ。一方的に聞いてるだけじゃなくて、ちゃんとコミュニケーションできてるみたいで。(おこがましいけど)


ツアーTに着替えてステージに戻ってくると、「珍しい曲やります」とアンコール1曲名。ホリデイ。「失敗しない 後悔しない 人生がいいな」と誰もが思ったことのある思いを、手拍子が起こるような軽いメロディに乗せて歌う。

「27年間、聞き続けてくれてありがとう。一言で言うとありがとうたけど、ありがとうだけでさ表せない想いもある。全部ひっくるめて次の曲を聞いて欲しい」とガラスのブルース。どんな気持ちで歌ってたんたろうな。何百回この歌を歌ってきたんだろうな。「あぁ 僕の前に 暗闇が立ち込めても あぁ僕はいつも 精一杯 唄を歌う」という歌詞が、若かりし頃の藤くんの決意に聞こえる。その日から今まで、ステージに立って演奏し続けた4人が、今どうか幸せであってほしいと思いながら聞いてた。歌うとこはちゃんと歌った。最高だったな。

「ツアーファイナルみたいになってるけどまだ初日なんです。こんな気持ちで初日を迎えられたのも、これからツアーに行けるのもとっても幸せなことです。ベタベタだけど言いたいことがあって…いってきます!」「喋りすぎる癖があるから喋り過ぎないようにって1か月前くらいからイメトレしてたのにだめだ」とギターに手を伸ばして、下手(にいる、たぶんスタッフさん)に片手で「ごめんごめん」のポーズをして軽く頭を下げる(姿をカメラに抜かれる)藤くん。

「何やっかな〜。冬ゥ…はもうやったんだった。あ、今日結成記念日だ」って流れるようにBUMP OF CHICKENのテーマやり始めたの、20を思い出した。後世に語り継がれるべき伝説のライブ。最初はギターと藤くんの声だけで始まった歌が、気付けばステージに4人が揃って、いつの間にかバンドサウンドになってた。なんだか曲作りを見ているようだった。4人であぐらかいて円になって、藤くんがデモを演奏し始めると「いいじゃんそれ!」ってなって、その場の即興でギターとベースとドラムが加わるみたいな。あくまでイメージなんたけど、なんか微笑ましいなと思ってしまった。

アンコールでイヤモニぶらんとさせながらステージ上を駆け回る秀ちゃんは犬みたいで可愛かったし、有明アリーナの綺麗さを「どんな綺麗さ?」と藤くんに突っ込まれるヒロの言葉足らずな感じはお決まりですねって感じだし、チャマは肩の力が抜けてて、控え室のことを興奮気味に話す姿は少年のようだったし、藤くんは相変わらずおっちょこちょいね。島から横並びで帰る時に、藤くんとヒロの足並みがピッタリ揃っていたの、仲良しだなーと思ったし、曲終わったと花道でグータッチしてたの良かったなー。

ツアー行ってらっしゃい。たくさん素敵な景色を見て帰ってきてね。途中でまたおじゃまするから、その景色の中に混ぜてね。
君たちなら、どこからだって帰って来られる。

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