妻と夫のアーロンチェア考
夫も私も家で仕事をしている。夫婦共座業だ。
座っている時間が長いと、当然のことながらいい椅子が欲しくなる。
そこでイス探しを始めてみたら、すぐ目についたのがハーマンミラーのアーロンチェアだ。
ちょっと素敵なオフィスには必ずと言っていいほどアーロンチェアがある。
MOMAのパーマネントコレクション、人間工学(エルゴノミクス)に基づく
グレーを多用したモダンなインテリアはもちろん、シンプルな空間や和モダンな部屋にもすんなり馴染む。さすがMOMAの永久コレクション選定品だ。
そしてもちろん座りやすそうだし、これさえあれば仕事もはかどりそうな気さえする。
ということで、私は20年ほど前に新品を、夫はおよそ5年前にネットで中古を購入した。
買ってみたら、ほんとに色んな工夫がされていて、骨盤を立てて座れるように前傾させたり、反対に、「一人掛け足投げ出しソファ」のように後ろに倒してリラックスすることもできる。
座面はもちろん、肘当ての高さも角度も、そして腰を支えるパッドの位置まで調整できる。
さすが人間工学(エルゴノミクス)に基づいた高級チェアである。
20年座って手放した経緯
そんなアーロンチェアだが、結論から言うと私は20年ほど使った昨年、フリマアプリ経由で手放してしまった。一方、夫は今も使っている。
私は170センチ56キロと日本人女性としては大柄だが、アーロンチェアに座ると大人の椅子に座った子どものような気分になる。いつもお尻が浮いているようで落ち着かない。
アーロンチェアの座面はシートではなく、ペリクルという素材のメッシュが張られている。もちろん普通のメッシュとは違って、お尻の凸部がほどよく沈む設計だ。しかも部分ごとに柔らかさを変えているという。
で、このほどよい弾力が私には問題だったようだ。私の骨格や筋肉ではこの弾力をうまく抑え込めず、ポンとはじかれてしまう感じ。
お尻プリプリのアスリートと尻相撲をしてポンと弾かれる、もしくは常に小さくトランポリンをしている、ような。
しばらく座ってメッシュが馴染めば座り心地が良くなるという声もあるが、私は20年間、最後まで弾かれていた。
またこれは、おそらくサイズの問題でもない。手放してしまったので、AかBかCかどのサイズだったかもはや不明(多分B)だが、家具売り場のプロに見極めてもらい、座り比べて自分に合ったサイズを買ったので。
椎間板ヘルニアで長年苦しんでいた父と体型が似ていること、さらに座りっぱなしのライター業ということもあって、いつかは腰を傷める予感がしていた。
だから腰痛予防の先行投資のつもりで分不相応なアーロンチェアを思いきって購入したのだが、その2年後、腰が90度に曲がるという、ものっすごく酷いギックリ腰になってしまった。
それもなんと結婚式の10日前! ほんっとつらかったっす。
そこには「こんな高っかい椅子買ったんだから、これで腰痛は大丈夫」という慢心があったと思う。アーロンチェアもそこまで期待されては迷惑である。
椅子だけに頼らず、ストレッチしたりトレーニングしたり、整体に通ったりすべきだったと今は反省している。そういうお金と手間は惜しんじゃいけませんね。
がっしり体型の夫は愛用中
一方の夫は、身長172センチ75キロ。まあまあがっしりした体格だ。中学高校大学と10年間柔道をしていたそうで、骨も筋肉もしっかりしている。コロナ禍のインドア生活で3キロ太っての75キロなので、最近は筋肉ばかりでもないとは思うが。
アーロンチェアはこういう、がっしり系の人間を対象にしているように思える。アメリカの製品だからやはり欧米人の体格が基準となっているのだろう。
とはいえ夫も、座面と背面に二つのクッション?座布団?を入れて、自分の身体とアーロンチェアとの隙間を埋めている。
ちなみに夫が使っているのは、A(いちばん小さい)、B(ミドルサイズ)、C(いちばん大きい)のうちのBサイズである。Bサイズは身長158〜198センチ、体重59〜148キロが対象なので、サイズとしては合っている。
もうひと回り小さいAサイズになると、身長148〜175センチ、体重40〜68キロなので、身長は範囲内だが体重がオーバーしてしまう。
「アーロンチェアどう?」と聞くと、「欧米人のような大きな体格の人向けな気がする」と宣う。「じゃイマイチ?」「う〜ん、まあまあ」「これからも使う?」「そう、だね。。。」。
ベストではないが、今まで使ってきたイスの中ではいちばんいいので、しばらくはこれでいこう、ということらしい。
アーロンチェアを、まあこれでいこうと思える夫は幸せである。
そういえば夫は、昇降式のデスクも数年前に購入した。座り疲れるとデスクの位置をあげ、立って仕事をしている。
こちらはとても気に入っているらしく、しかもクーポンだか何かの工夫で安く買えたと喜んでいる。
現在のアーロンチェアは初期モデルとは全くの別もの
ちなみに、アーロンチェアは今も進化している。私たち夫婦のは初期モデルで、ランバー(腰)サポートが一直線なのだが、最新モデルはポスチャーフィットSLというY字形になっている。
このポスチャーフィットSLは、腰椎だけでなく仙骨も支えるそうだ。こうして骨盤の仙骨から腰椎までを包括的に支えて、背骨をより正常な位置に保てるのだという。
ハーマンミラー社と米国の有名な整形外科医が開発したらしい。
実はアーロンチェアは2016年、全てのパーツを一新したという。だから今のアーロンチェアは私が使っていた初期モデルとはもはや別物なのだ。
う〜ん、そうか。そうなってくると話は別で、この最新モデルに座ってみたくなるのが人情である。
カラーも濃いチャコールグレーのグラファイトに加えて、新色が2色加わっている。
これがもとからあったグラファイトという色。
[正規品] ハーマンミラー アーロン リマスタード ライト サイズ:ミディアム グラファイト アーム AER1B22PWZSSG1G1G1BBBK23103
こちらはグラファイトよりやや明るめの「カーボン」。
[正規品] ハーマンミラー アーロン リマスタード サイズ:ミディアム/アームパッド:ビニール/フレーム:カーボン/ベース:サテンカーボン/キャスター:カーペット用 AER1B23DWALPCRBSNCSNCBBDCR23102
そしてホワイトに近い淡グレーの「ミネラル」。
[正規品] ハーマンミラー アーロン リマスタード サイズ:ミディアム/アームパッド:ビニール/フレーム:ミネラル/ベース:ダークミネラル/キャスター:カーペット用 AER1B23DWALPVPRSNADVPBBDVP23101
ちなみにいちばん明るい「ミネラル」がいちばん高額だそうだ。
この「ミネラル」はちょっと、かなり、可愛いぞ。これならおうちに一個あってもいいかもと思ってしまった。一度どこかで座ってみたいな。。。
現在は無印の5000円のスツールを使用
一方現在の私は、無印のポリプロピレン製の5000円くらいの椅子に、同じく無印の丸いクッションを敷いて座っている。
あ、今 確認したらこれ椅子じゃなくてこれはスツールと呼ぶらしい。
11万だか13万だかしたアーロンチェアをやめて、今はポリプロピレンのしかもスツールである。ははは。
満足しているわけではないが、まあ悪くもない。
座業に疲れたら立ち上がってHIIT(タバタ式ともいう。20秒運動して10秒休むを8セット、計4分。運動はその場ジャンプやジャンピングジャック、もも上げなど体調に合わせて)をしたり、ストレッチや室内スロージョギングをすれば身体がリセットされ、また座業を再開できる。
いいな、と思っているイスたち
とはいえ、ときどき背中をもたれたり、パソコンに向かう肘を置けたらいいなとは思う。
そこで、今いいなと思っている椅子を挙げてみたい。
【配送・組立・設置込】 コクヨ オフィスチェア シロッコ CR-G2621E1CG4Q4-V ローバック ランバーサポート付 T型肘 ホワイトフレーム 背ホワイト/座ライトオリーブ フローリング用
コクヨのシロッコは、どこかの会議室で座って、あまりの心地よさに驚いた。後日、「御社のチェアがあまりに座りやすかったのですが一体どちらのですか?」と恐れながら問い合わせてしまったくらいだ。
相手の方は丁寧に返事をくださり、シロッコを知った次第である。
すぐにも購入したいのだが、問題は脚がコロコロするキャスターである点。アーロンチェアもキャスターで、じっとしていたいのにちょっと体勢を変えると椅子も一緒にズルッと滑ってしまうのがイヤだった。
とはいえ、シロッコにはカーペット用とフローリング用の二種類があって、フローリング用ならこのズルッと滑りにくい工夫があるのだろう。
ただ、こういうキャスター付きだと、広いオフィスならいいが、家の小さいデスクに収まらないということがあるから注意が必要だ。
以前、なんでも作っちゃう父と当時駿河意匠でバイトしてた弟が作ってくれた長〜いデスクは、真ん中の棚を挟んで椅子が入るスペースが二ヶ所あったが、片方にはアーロンチェアは収まらなかった。
床に接する面が丸く大きいキャスタータイプを家で使う場合はサイズに注意が必要だ。
でも、シロッコは背面が白のものを始め、いろんなカラーバリエーションがある。何より目の玉が飛び出るほど座りやすい。
さすが国内メーカー。きゃしゃな日本人の体型をよく研究している。
このシロッコの座面と背もたれはそのままに、脚が固定された「回転式椅子」があれば即、購入したい。コクヨさん、いかがでしょうか?
↓こんな感じ。
「コクヨ シロッコ 脚固定版」。 あったらいいな。即、買うな。
もう一つの候補は、イデーのフェレチェア。これも座ってみてあまりの座りやすさにびっくりした椅子。
しかも北欧で和モダンなデザインが刺さります。
お値段は税込¥38,500。
★公式サイト(https://www.idee-online.com/shop/g/g200751/)から画像お借りしました。
こちらはイデーの公式サイト もしくは 無印のオンラインショップ で購入できます。
イデーのサイトからだと張り生地とフレームが自由に選べる受注生産がオーダー可能。
イデーのスタッフさんによると、この背もたれがちょっとした肘掛にもなり、長時間の作業でも腰は痛くならないとか。
キャスタータイプではないし、今のところこれがいちばんの候補だ。
おまけ
ところで、まだ実家暮らしだった30年以上前、親に頼み込んで猫背対策椅子「バランスチェア」を買ってもらったことがあった。
だいたいこんな感じのだったと思う。
[1年保証] 3D バランスチェア ショートフレーム 姿勢が良くなる椅子 学習椅子 姿勢 矯正 椅子 猫背
「これさえあれば正しい姿勢で机に向かえる!」と思ったのだが、気づくと私は、膝を当てる部分になんと足を置いていた。
結果、これ以上ないくらい背骨は猫背カーブを描いており、すぐにお役ご免となった。
つくづく椅子は座ってみないと、いや、買ってみないと分からないものである。
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